事前認定とは
事前認定とは、交通事故によって受傷し、後遺障害が残されていると考えられる場合に加害者側の保険会社が後遺障害等級認定の申請を行うことを意味します。
交通事故後の後遺障害の認定は、被害者請求と事前認定の2種類がありますが、事前認定では、加害者側保険会社が診断書や画像の準備、自賠責保険調査事務所への認定申請などを一元的に行います。
保険会社が申請一式を担うため、被害者側には資料準備などの負担が生じませんが、自賠責保険から支払われる傷害部分や等級に基づいた賠償金が先払いされませんので、被害者側は慎重に請求方法を検討する必要があります。
事前認定が検討されるケースとは
事前認定が検討されるケースとはどのようなものでしょうか。
事前認定は保険会社側が事務手続きの一切を行っていくため、以下のようなケースで検討されます。
① 後遺障害の認定に争いが起きないようなケース
交通事故による受傷で、明らかに加害者・被害者双方に「後遺障害認定に異論が生じない」ケースでは、事前認定が検討できます。
例えば、交通事故により「両眼の視力が0.02以下になった」症状のみがある場合、後遺障害認定は2級1号の認定を得られる可能性が高いため、事前認定が検討できます。
しかし、その他の後遺障害も予想される場合は、慎重な検討が必要です。
② 併合認定が無いようなケース
後遺障害等級の認定には、「併合認定」と呼ばれるものがあります。併合認定とは、複数の障害を併合し、上位の等級の認定を得るものです。
併合認定は複雑であり、慎重に手続きを進める必要がありますが、①のように争いがなく併合認定が無いようなケースも、事前認定が検討できるでしょう。
③ 保険会社側に対応を任せたいケース
被害者請求は被害者側が診断書の取り付けや画像の取得などを全て行う必要があります。加害者側保険会社に書類を依頼し、書式一式を求める必要もあり、労力がかかります。
書類の取得が難しく、まとめて保険会社側に対応してほしい場合も、事前認定が考えられます。
事前認定であっても異議申し立ては可能
事前認定は加害者側保険会社に後遺障害等級認定を一式依頼するものであり、等級認定の結果に不満がある可能性もあります。
ただし、等級認定は保険会社ではなく、損害保険料率算出機構の傘下である自賠責保険調査事務所が行っているものであり、被害者請求であっても審査機関は同じです。
もしも事前認定による結果に不満がある場合は、被害者請求時と同様で異議申し立てを行うことができます。