結論から言うと、公的機関が認定した「入ってはいけない自動車保険ランキング」は存在しません。
ネットで見かける「ワーストランキング」の多くは、日本損害保険協会が公表する苦情件数データを件数順に並べたものですが、この件数は自動車保険限定ではなく全保険種目の合計であり、会社規模の違いも調整されていません。
この記事では、2025年度の公式データから自動車保険を取り扱う会社のみを抽出した苦情件数TOP5と、件数だけに頼らない選び方について解説します。
この記事のポイント
1公的機関による「入ってはいけない自動車保険」の認定ランキングはない。
2公表されている苦情件数は全保険種目の合計で、自動車保険限定の数字ではない。
3苦情件数と満足度調査の結果は一致するとは限らない。
4会社を一社に絞る前に、満足度・事故対応・補償内容・見積額を組み合わせて判断することが重要。
【2025年度】お客様の声(苦情)件数TOP5
日本損害保険協会は、会員会社に寄せられた「お客様の声(苦情)」の件数を四半期ごとに50音順で公表しています。「お客様の声(苦情)」とは、同協会の説明に沿えば、お客様から寄せられた不満足の表明を指します。直近では2026年5月29日に、2025年度(2025年4月〜2026年3月)実績分が公表されました。この公表データから自動車保険を取り扱う会社のみを抽出し、件数の多い順に並べたワーストランキングTOP5が以下です。
日本損害保険協会が公表する「お客様の声(苦情)」件数をもとに、自動車保険を取り扱う会社のみを抽出して件数順に並べたものです。件数は自動車保険限定ではなく全保険種目の合計で、会社規模や契約者数の多さにも影響されます。件数が多いことだけで「悪い保険会社」と断定することはできません。
| 順位 | 保険会社 | お客様の声(苦情)件数 |
|---|---|---|
| 1位 | 東京海上日動火災保険 | 38,326件 |
| 2位 | 損害保険ジャパン | 38,104件 |
| 3位 | ソニー損害保険 | 25,155件 |
| 4位 | あいおいニッセイ同和損害保険 | 23,751件 |
| 5位 | SBI損害保険 | 18,364件 |
出典:日本損害保険協会「会員会社にいただいた『お客様の声』の推移」(2026年5月29日公表)
上位に東京海上日動火災保険や損害保険ジャパンなどの大手損害保険会社が並ぶのは、契約規模の大きさも影響しています。件数だけで契約先を判断せず、後述の満足度調査や補償内容とあわせて確認してください。
入ってはけない保険会社ランキングではない
お客様の声(苦情)が多いと、大丈夫かなと不安になってしまう方もいるかと思います。
しかし、お客様の声が多いからと言ってその会社がおすすめできない理由にはなりません。
その理由について解説します。
全保険種目の合計であり、自動車保険限定ではない
日本損害保険協会は会員会社ごとの苦情件数を公表していますが、自動車保険・火災保険といった保険種目別の内訳は公表していません。上記の件数には火災保険や傷害保険なども含まれています。
会社規模を調整していない
契約件数や収入保険料の規模が大きい会社ほど、苦情の絶対数も増えやすくなります。東京海上日動火災保険や損害保険ジャパンが上位に来るのは、業界最大級の契約規模を持つことも影響していると考えられます。契約者数あたりの苦情率で比較できる分母(契約件数など)を、全社で同一の定義でそろえて公表した資料は見当たらないため、本記事では苦情率を算出せず、件数のみを示しています。
代理店型・ダイレクト型で商品構成が違う
自動車保険は、対面で加入する代理店型と、インターネットや電話で契約するダイレクト型に分かれます。代理店型は火災保険や傷害保険など複数の種目を幅広く扱う会社が多く、ダイレクト型は自動車保険の比重が相対的に高い会社が目立ちます。同じ苦情件数でも、会社によって自動車保険が占める割合は異なるとみられます。
なお、苦情(お客様の声)の定義そのものは、日本損害保険協会が「お客様から不満足の表明があったもの」として統一的に定めており、集計基準は会員会社で共通です。
苦情件数と満足度は同じ指標ではない
苦情件数が多いことと、契約者の満足度が低いことは必ずしもイコールではありません。次の章で具体例をもとに説明します。
苦情件数と顧客満足度を照合すると何が分かるか
苦情件数の順位と、満足度調査の順位は一致するとは限りません。オリコン顧客満足度調査「自動車保険 ダイレクト型」2025年(回答者6,156人)では、ソニー損害保険(以下、ソニー損保)が総合1位で、評価項目別の「事故対応」でも1位と評価されています。
ソニー損保は今回の苦情件数TOP5で3位に入っていますが、満足度調査では高い評価を得ているということです。苦情件数の集計と満足度調査は、調査主体・調査年・対象会社・回答者数・評価項目がそれぞれ異なるため、順位の合算や単純な比較はできません。それでも、「苦情件数が多い=満足度が低い」と単純に結びつけられないことは、この対比からも分かります。
各社の事故対応の評価については、当サイトの自動車保険の事故対応満足度ランキングでも補足的に解説しています。
自動車保険STATION↗苦情件数だけで判断せず、補償内容・保険料・事故対応・ロードサービスを同じ条件で比較しましょう
入ってはいけない「会社」ではなく、避けるべき「契約・選び方」
苦情件数だけで会社を選別するのではなく、契約前に自分自身で確認できる次のようなポイントを避けることが、後悔しない保険選びにつながります。
- 保険料の算出根拠を説明してもらえないまま契約する
- 補償内容・免責金額があいまいなまま契約する
- 必要性の低い特約をセットで付けられ、内容を確認していない
- 事故対応の体制(受付時間・初動対応の流れ)を確認せずに契約する
- 更新のたびに保険料が上がる理由を確認しない
- 複数社の見積もりを比較せず1社だけで決める
- 苦情件数や満足度など、単一の指標だけで会社を判断する
契約前に確認するチェックリスト
見積書や重要事項説明書を見ながら、次の項目を確認しておくと安心です。
- 対人・対物賠償は無制限になっているか
- 人身傷害の補償範囲と金額は十分か
- 車両保険の免責金額はいくらに設定されているか
- 弁護士費用特約が、同居家族などの自動車保険や火災保険に付帯する補償と重複していないか(補償対象となる家族の範囲は契約ごとに異なるため、約款・重要事項説明書で確認する)
- 事故受付の対応時間と、実際に示談交渉や担当者対応が始まるまでの流れは同じか
- レッカーで運べる距離、宿泊・帰宅費用が出る条件は何か
- 修理を依頼できる工場に指定条件があるか
- 同じ補償条件で複数社を比較したか
自動車保険の見積もりを取る際に確認しておきたい注意点は、自動車保険の見積もりを取る際の注意点とは?でも解説しています。
トラブルに遭ったときの相談先
保険会社とのやり取りで納得のいかない対応があった場合、契約者本人が一人で抱え込む必要はありません。次のような相談窓口が用意されています。
日本損害保険協会が運営する、保険会社と契約者の間の紛争解決を支援する窓口です。
交通事故に関する法律相談を無料で受けられる、日本弁護士連合会の相談センターです。
自動車保険・共済に関する示談交渉のあっせんや審査を行う機関です。
保険会社の一次対応で解決しない場合の選択肢として、これらの窓口を覚えておくとよいでしょう。
まとめ
自動車保険の「ワーストランキング」としてよく紹介される苦情件数データは、自動車保険限定の数字ではなく、会社規模の違いも調整されていません。自動車保険を取り扱う会社に絞った件数順のTOP5自体は事実ですが、それをそのまま品質の優劣と結びつけることはできません。
苦情件数だけで判断せず、補償内容・保険料・事故対応・ロードサービスを同じ条件で比較しましょう。満足度調査などの外部データもあわせて確認することが、後悔しない選び方につながります。
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よくある質問(FAQ)
投稿者プロフィール
- 経歴:大手損害保険会社に勤務後、弁護士事務所で秘書として交通事故訴訟の調査に従事





