さまざまな種類の自動車保険が販売されていますが、基本補償や特約内容はどの保険会社も似ているため、どのように自動車保険を選べばよいのか悩む方も多いでしょう。「どの保険会社で加入しても同じ!」と感じても不思議ではありません。
しかし、実際には補償や特約は各保険会社によって異なっているためじっくりと比較されることがおすすめです。そして、自動車保険は比較をすることによって、保険料を節約する効果もあります。
この記事では、自動車保険の比較をテーマに、保険選びのコツを紹介します。見積もりの取得方法や比較時の注意点もあわせて紹介しますので、ぜひご一読ください。
この記事でわかること
- 自動車保険の比較の重要性
- 自動車保険を比較する際のポイント
- 自動車保険を見直すタイミング
- 自動車保険を比較し、見直すべき理由
- 自動車保険でよくある疑問や悩み
なぜ自動車保険の比較が重要?
自動車保険を販売する保険会社は共済も含めると多数あるため、自動車保険選ぶ際には一体どこに依頼をするべきか迷ってしまう方もいるでしょう。テレビやネットで流れるコマーシャルを見た時に、初めて知る保険会社もあるのではないでしょうか。
どこで加入しても同じ!と感じるかもしれませんが、自動車保険に加入する際には「比較」をしっかりと行うことがおすすめです。
では、どうして自動車保険の加入には比較が必要なのでしょうか。この章では自動車保険を加入する際に、なぜ比較が重要なのかわかりやすく3つの視点で解説します。
1.保険料が各社によって異なるため
自動車保険を販売する保険会社は、大きく2つに分類できます。
- 1.代理店型
- 2.ダイレクト型(ネット型)
この2つは自動車保険の「販売方法」が異なっています。代理店は自動車保険などを販売する保険代理店を経由して販売されています。一方のダイレクト型は、パソコンやスマホを経由して、契約者に直接保険会社側が販売を行っています。
この2つの販売方法は、店舗や人件費などの面で大きな違いがあり、保険料の違いにも影響しています。
一般的に人的コストが少ないダイレクト型の方が、自動車保険の保険料は安く設定されています。また、保険会社によっては商品にさまざまな工夫を行っているため、全く同じ補償内容でも、見積もりで比較すると保険会社によって保険料が異なります。比較をすることでお得な保険料の自動車保険が初めてわかるのです。
自分にとってお得な保険を知るためにも、自動車保険の比較は大変重要です。
2.補償内容が異なるため
自動車保険の補償は、2本の柱によって構成されています。1つは「基本補償」、そしてもう1つは「特約」です。
この2つの補償を組みわせることで、交通事故に備えることができます。
自動車保険は基本補償の部分は各社ほとんど補償内容が同じですが、車両保険における免責金額の設定方法や、特約の内容などは異なっています。自動車保険の補償内容は事故時に大きく影響を与えるため、加入時にはしっかりと比較することが重要です。
3.ライフスタイルに合わせられる
自動車保険は事故に備えて加入する保険ですが、交通事故以外にも補償を用意しています。ファミリーバイク特約や、搭乗中以外も補償できる人身傷害保険、事故以外の賠償責任発生に備える個人賠償特約などは、自動車による交通事故以外にも補償を行ってくれるものです。
ライフスタイルに合わせて自動車保険も定期的に見直すことで、自動車保険内で日常生活もカバーできます。比較することでさまざまな保険会社の特徴が掴めるため、今の自分に合った自動車保険が見つかりやすくなります。
自動車保険の比較における3つのポイントとは
自動車保険は、保険料だけではなく、補償の面でも定期的に比較する方がお得です。では、実際に比較する場合には、どのような点を押さえておくと良いでしょうか。この章では比較時に知っておきたい3つのポイントを紹介します。
ポイント1:代理店型とダイレクト型を比較する
自動車保険には代理店型とダイレクト型があり、一般的にはダイレクト型の方が保険料は安く設定されています。しかし、等級や契約する車両などによっては、代理店型の方が安い可能性も否定できません。
そこで、自動車保険の比較の基本は、「代理店型とダイレクト型を比較すること」から始めましょう。自動車保険会社名については、以下の保険会社一覧をご確認ください。
【代理店型とダイレクト型】保険会社一覧表
代理店型保険会社 | ダイレクト型保険会社 |
---|---|
あいおいニッセイ同和損保 AIG損害保険 共栄火災 損害保険ジャパン 東京海上日動火災 三井住友海上 | アクサ損害保険 イーデザイン損保 SBI損保 セゾン自動車火災 セコム損害保険 ソニー損保 三井ダイレクト損保 楽天損害保険 |
この他に、こくみん共済やJA共済と呼ばれるような共済型保険もあります。共済型保険は非営利を目的とする団体によって運営されており、給与から天引きなどの方法で保険料を支払います。一般的な代理店型自動車保険と契約方法は類似していますが、共済によっては等級継承ができない場合があるため、加入は慎重にご検討ください。
ポイント2:見積もりの取得方法を知ろう
自動車保険を販売する会社や共済は多く、実際に保険を比較しようと思うと大変な労力がかかります。1つずつ各保険会社に見積もりを求めようとすると時間もかかります。そこで、見積もりの取得方法には、以下の方法が考えられます。
1.見積もりサイトの活用
見積もりサイトとは、多くの自動車保険会社の見積もりを一度に取得できるしくみが作られています。必要情報を入力すると、メールやはがきなどで保険料の算出結果が届きます。
ただし、すべての保険会社が見積もりサイトを経由して見積もりを取得できるわけではありません。共済も含めて自動車保険を比較したい場合は、気になる保険・共済に対して見積もりを直接依頼する必要があります。
2.保険代理店の活用
代理店型の自動車保険も知りたい場合には、保険代理店で見積もりを取得する方法も考えられます。代理店には以下2つの種類があり、取得できる見積もりも異なります。比較した上で代理店に依頼をするようにしましょう。見積もりサイトと組み合わせれば、代理店型との比較も可能です。
- ①専属代理店
専属代理店とは特定の保険会社の保険商品を販売する代理店です。
特定の保険会社の見積もりしか対応できません。 - ②乗合代理店
複数の保険会社の商品を販売できる代理店です。取り扱いできる保険会社については見積もりを提示できます。
街角や駅構内などで見かけるチェーン店型の保険代理店は乗合代理店です。
3.気になる保険会社があれば直接依頼
テレビコマーシャルなどで目にする機会も多い自動車保険ですが、気になる保険会社がある場合は直接サイトにアクセスしたり、営業店に問い合わせる方法でも、見積もりは取得できます。代理店型の場合は、お近くの代理店に問い合わせることもおすすめです。会社を経由して入れる共済がある場合は社内の担当者に確認してみましょう。
ポイント3:勧誘されることがある
自動車保険の見積もりサイトや代理店への見積もり依頼を行うと、メールや電話などで勧誘が行われることがあります。もちろん、勧誘は断ることができますが、複数の見積もりサイトを一気に活用すると、たくさんの勧誘メールやはがきが届くことがあるため注意が必要です。
なお、こうした勧誘メールは配信停止が可能です。代理店からの営業電話についても、電話を控えるように伝えれば、執拗に営業されることはありません。
自動車保険の補償内容とは|補償別で比較する方法
自動車保険は保険料で選ばれることが多いですが、各保険会社は補償内容にも工夫を行っています。事故に備えるためにも、しっかりと各保険会社の補償内容についても確認されることがおすすめです。
そこで、この章では補償によって自動車保険を比較する方法を紹介します。
基本補償は各保険会社とも類似
自動車保険には基本補償が用意されています。基本補償の内容とは以下の5つです。
- 対人賠償保険
- 対物賠償保険
- 人身傷害保険
- 搭乗者傷害保険
- 車両保険(無保険車傷害保険や自損事故保険を含む、という考え方もあります)
基本補償は相手方のケガや車両などへの補償、自身や同乗者のケガや車両などへの補償が用意されています。
基本補償や付随する特約には差異はあるものの、各保険会社とも基本補償の内容は類似しています。そのため比較はしにくいと覚えておきましょう。
特約は各社によって異なる
特約内容は保険会社によって個性があります。そのため、補償を比較しやすい部分です。特約の基本的な考え方は、自動車保険の基本補償を補うものですが、日常生活における補償も用意されています。「あったら良いな」を実現するような補償も多いため、ライフスタイルに合わせた特約選びがおすすめです。では、参考に特約の比較例を紹介します。
【特約の比較例】
車内の荷物を守る補償を充実させたい場合
保険会社名 | 車内の荷物への補償方法 |
---|---|
ソニー損害保険株式会社 | 車両保険+車両身の回り品で補償 特約保険金額を限度に、時価額または修理費のいずれか低い方から5,000円(免責金額)を差引いた金額を支払う |
チューリッヒ保険会社 | 車両保険+車内身の回り品特約で補償 修理費または減価償却分を差引いた額(保険価額)から保険金額を限度に免責金額1事故につき5,000円を引いて支払う |
アクサ損害保険株式会社 | 車両保険+身の回り品保険金で補償 車両保険金が支払われる場合で、同一事由により車内やトランクに積んでいる個人所有の身の回り品に損害が生じた場合に、1事故につき10万円を限度に保険金をお支払いします。 |
セゾン自動車火災保険 | 車両保険+車両身の回り品補償 保険金額の上限は10万円、30万円、50万円の中から選択できる |
車内の荷物への補償には、「車両身の回り品補償」などの名称で特約が用意されています。この特約は自動付帯で用意されていたり、セゾン自動車火災保険のように保険金額の上限を自分で定められる場合もあります。
補償の充実ならセゾン自動車火災保険のように保険金額の設定が柔軟なものを、車両保険とセットで補償を用意しておきたい場合には、アクサ損害保険などを検討すると良いでしょう。
基本補償と特約で自動車保険を比較するための2つのポイント
基本補償と特約の2つによって、自動車保険の全体の補償内容が決定されています。では、補償内容で自動車保険を比較する際には、どのようなポイントを押さえておくと良いでしょうか。
以下の2つのポイントをご確認ください。
1.比較時は免責金額や補償範囲に注意
基本補償は各保険会社とも類似していますが、車両保険で設定できる免責金額が異なっていたり、補償や特約でカバーできる補償範囲が異なっていたりします。免責金額が高く設定される保険会社は車両保険が安くなるものの、事故時の被保険者側の負担は大きくなります。
自分にはどちらが向いているのか、しっかりと比較して決めましょう。
2.補償の重複はカットする
基本補償や特約の比較をする際には、家族がすでに加入している特約はないか確認することが必要です。ご家族の中で既に別の自動車保険に加入している、別の損害保険・生命保険に加入していると特約がある場合は、補償の重複が生まれやすくなります。
二重に同じ特約に加入していても、保険金が多く支払われるわけではありません。つまり、保険料が無駄になってしまいます。自動車保険を比較する際には、必ず家族が現在加入している保険(自動車保険以外も)についても確認するようにしましょう。
自動車保険の比較の前に|補償内容に基準はある?
自動車保険を比較し、加入先を選ぶ時は、保険料や補償内容を比較してから選べることがわかりました。しかし、補償内容などは各社によって異なっているため、自動車保険は単純に比較しにくいものです。
そこで、自動車保険の比較の前に、知っておきたい補償内容の「基準」について注目します。
補償内容の基準とは
自動車保険を比較する前に、まずは自動車保険の補償内容を決める際に知っておきたい「基準」を押さえておきましょう。
基本の補償内容は以下です。
- ①対人賠償保険・対物賠償保険は、高額の賠償責任に備えて無制限を選択する
- ②人身傷害保険は搭乗者傷害保険より補償内容が充実。保険金額は3,000万円~5,000万円の範囲での加入が一般的
- ③車両保険は時価評価を上回った保険金額の設定はできないため、加入できない場合がある
自賠責保険の対象外補償に注目しよう
任意保険である自動車保険は、強制保険である自賠責保険をカバーするため内容の補償を多数用意しています。自賠責保険は被害者側の人身分野(死亡・ケガ)に対してしか補償がありません。自身の車両やケガに関しては自賠責保険では補償できないのです。
自動車保険を比較する際には、まず自分が希望する補償内容を申告してから保険料を算出しますが、この時には補償内容を削って見積もりするのではなく、自賠責保険で補償が得られない部分を補うことを意識して、申告するようにしましょう。
【自賠責保険】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
自動車の自賠責保険(共済)とは?
自動車保険を保険料で比較する際の注意点
自動車保険に関しては保険料で加入をアピールする保険会社も多いですが、万が一の事故に備えて加入する以上、補償内容を削って保険料を節約することはおすすめできません。では、自動車保険について見積もりを使って「保険料」で比較する際には、どのような注意点があるでしょうか。
保険料が高くなる原因を知っておこう
自動車保険を比較する際には、保険料が高くなる原因を知っておく必要があります。いくら安い保険料の自動車保険を探そうとしても、ご自身の希望条件次第ではどうしても高くなってしまうためです。
では、自動車保険料が高くなる原因とは何でしょうか。①~④に心当たりがある場合、保自動車保険を比較しても保険料が安くならない可能性があります。
- ①等級が低い
6等級以下の該当する1~5等級はデメリット等級に該当するため、保険料が割高に設定されています。保険会社側としては、事故リスクが高い契約者はなるべく減らしたいためです。 - ②事故有係数適用期間に該当している
過去に保険金支払いのある事故(3等級ダウン事故)があった方は、事故有係数適用期間に該当しているため、保険料が高くなる傾向があります。同じ等級であっても、期間内の方は保険料が高くなるため、比較時にも注意しましょう。 - ③運転年齢条件が低い
自動車保険は運転年齢条件を申告する必要があります。全年齢条件や、21歳以上など運転される方の年齢が若い場合、事故リスクの観点から保険料は高く設定されています。 - ④自動車保険を見直ししていない
自動車保険にはさまざまな種類があり、年齢を重ねた方がお得になる自動車保険も登場しています。定期的にご自身の加入条件に見直していない方は、保険料が高くなっている可能性があります。
自動車保険の見直しは必須
自働車保険を比較して検討する場合でも、まずは現契約を見直すことは忘れないようにしましょう。自動車保険は上記の④に触れたように、定期的に見直さないと保険料が高くなってしまうおそれがあります。
では、見直す際にはどのようなポイントを押さえておくべきでしょうか。
自働車保険を見直すポイントは以下の4つです。
見直すポイント | 理由 |
---|---|
①運転年齢条件の見直し | 若年層ドライバーだと保険料は高い。誕生日が来たら都度見直しを。 |
②使用目的の見直し | レジャー目的は保険料が安い。業務使用や通勤・通学による使用目的から変更があったら見直しを。 |
③車両保険の見直し | 初度登録から8年以上経過すると時価評価は難しい。不要になったら削除。 |
④支払い方法 | 月払いより年払いは安い。支払い方法も契約時には見直しを。 |
特典と割引も確認しよう
自働車保険は見積もり時や新規加入時に、特典や割引が設けられている場合があります。お得な特典や割引は新規加入時・更新加入時のタイミングにしかないものが多いため、自動車保険の比較時には見逃さないように注意しましょう。
契約期間途中の解約は損をしやすい
自働車保険を比較し、新たな保険会社へ切り替えたいと思う場合は、「契約期間途中の解約・新規加入」は損をする可能性があると知っておく必要があります。
自動車保険は1年間の契約期間の中で、事故が無ければ満期時に1等級上がります。しかし、契約期間の途中で解約し、別の保険会社に移る場合は、次の新規契約先での満期日まで、等級が上がりません。つまり、保険料が安くなるタイミングが先送りとなってしまうのです。
比較した段階では保険料の安さから契約の切り替えを検討したくなるかもしれませんが、タイミングはしっかりと見極めるようにしましょう。
自動車保険を契約・変更する際の注意点とは
自働車保険を比較した上で、これから契約に臨まれる場合には、どのような注意点があるでしょうか。また、契約期間の途中で補償内容を変更(異動)する場合にも注意点はあるでしょうか。
この章では自動車保険の契約・変更の手続きに注目します。
自動車保険契約時の注意点
自動車保険契約時には、運転される方(被保険者)の情報を正しく提供する必要があります。
主な申告ポイントは以下のとおりです。
- ①運転免許証の色
- ②運転者の年齢
- ③運転される方の年間走行予定距離
- ④運転される方の限定の有無
運転される方の年齢や免許証の色は自動車保険料を決めるにあたっての重要な情報です。
申告内容に虚偽がある場合は、保険を解除されるおそれがあるためご注意ください。
【年齢と保険料】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
自動車保険はどうして年齢で保険料が変わるの?
変更時の注意点
自動車保険の変更とは、契約期間途中の条件変更や、他社への契約変更が考えられます。
①契約期間途中の変更時の注意点
契約期間の途中であっても、補償内容などは「異動」と呼ばれる変更手続きを行うことで、補償内容を変えることができます。
ただし、契約条件の一部は変更ができません。
たとえば、契約期間の途中に誕生日を迎え、年齢条件を変えたい場合は、変更ができます。しかし、保険料の支払い方法で、現在月払いのものを、残金一括で支払いたいなどのご要望には対応していません。
②他社へ契約を変更する際の注意点
契約期間の途中であっても、他社に自動車保険を移すことができます。
この場合、今ある自動車保険の契約は「解約」することになります。先に触れたように、保険期間途中の解約は等級アップのタイミングがずれてしまうため、保険料が下がるチャンスが先送りとなります。
あと少しで満期、という場合には満期のタイミングまで解約は待つこともおすすめです。
他社に契約を変更する際は、現在の補償内容と同じつもりでも、他社によっては補償の範囲が異なる可能性があります。じっくりと比較した上で解約するようにしましょう。
自動車保険を見直すベストタイミングはある?
自働車保険の比較を検討する方の多くは、「今加入している自動車保険を見直ししたい」と考えた結果、他社との比較を検討しています。
では、自動車保険を見直すタイミングとは、一体いつがベストなのでしょうか。
この章では比較時に知っておきたい「契約を見直すタイミング」について紹介します。
事故時の対応に不満があったとき
自動車保険を見直したいと感じる方の多くは、事故時の対応に不満を抱えています。もしも事故の対応に不満があった場合は、翌年の契約を見直すことがおすすめです。
では、事故時の不満とは具体的にどのようなものでしょうか。詳しくは以下です。
保険会社の対応 | 不満が起きる背景 |
---|---|
車両保険で納得のいく保険金額が得られなかった。 | 車両の時価評価を行った結果、契約者の予想よりも低く、支払える保険金が少なかった。 |
過失割合に納得いかない | 保険会社間の示談交渉は、一般の方は難解であることが多いため |
治療の打ち切り | 一般的な症状固定次期を迎えると、保険会社は治療を打ち切ることがある |
事故解決が遅い | 過失割合を決める交渉や、相手方の治療によっては事故の解決は遅くなる |
等級ダウン後の保険料が高い | 交通事故の翌年は、保険金支払いがある場合3等級ダウンしてしまう |
保険会社の対応に納得がいかない | 電話やメールのタイミングがあわない、保険会社の担当者との会話が負担 |
このような事故時の不満があると、「次年度は別の自動車保険にしよう」と考える方が多くなります。
事故の対応が終わっていなくても、保険契約を他社に移すことは可能です。事故対応が終わるまでは、事故当時の保険会社がしっかりとサポートしてくれます。
事故の翌年の等級ダウンには注意を
事故対応に不満があり、翌年に自動車保険を他社へと切り替える場合にも、「等級は継承される」ことを知っておく必要があります。つまり、本年度保険金支払いを受ける交通事故があったら、翌年どの保険会社(共済含む)へ契約を変えても、3等級ダウンした契約となります。
また、事故有係数期間も始まるため、一定の期間は同等級で事故が無い方よりも、保険料は高くなります。
事故対応の不満時には弁護士費用特約の活用もおすすめ
他社に自動車保険を切り替えたい!、と事故対応の途中に不満がある場合は、「弁護士費用特約」を活用することもおすすめです。
弁護士費用特約は、保険会社との交渉や連絡窓口となり、依頼者側に有利になるような賠償金の提案も行ってくれます。治療にしっかりと専念できる環境を作ってくれる特約です。
また、治療を続けているにもかかわらず、打ち切られそうになった場合は、保険会社側に交渉も行ってくれます。治療の継続が難しい場合でも、自費治療に関するアドバイスを行ってくれるため安心です。弁護士費用特約の利用だけなら、等級ダウンにはなりません。
保険料が上がったとき
自動車保険は任意保険のため、各保険会社によって保険料は異なります。自賠責保険のように車種や加入期間によって保険料が一律で固定されているものではありません。そのため、保険会社は定期的に自社の保険料を自由に見直しています。
現在は割安の保険料であっても、翌年は補償内容同条件、等級は1つアップしているのに保険料が他社より高くなることも。保険料が上がってしまうと、「この機会に比較した上で他社と契約をしたい」と感じる人が増えます。
次年度契約時に保険料が上がったなら、他の保険会社の自動車保険と比較し、契約を見直してみましょう。
しかし保険料が上がった原因が等級ダウンや車の型式(※1)などにある場合は、他社で契約をしても保険料は高くなります。
(※1)型式で保険料が上がる原因
自動車保険は型式によっても保険料が変動します。車両の型式別料率クラスが変動することにより、保険料は上下するためです。型式別料率クラスは損害保険料率算出機構が算出しているもので、型式別に保険金の支払実績を分析し、事故リスクを数値化したものです。
参考URL:損害保険料率算出機構
型式別料率クラス検索
運転年齢条件に変更があったとき
自動車保険は運転者の年齢によって保険料が変動することは、すでにお伝えしました。
運転年齢が変わると、保険会社によっては保険料がお得になる場合があります。
セゾン自動車火災保険の「おとなの自動車保険」のように、中高年層をターゲットにしている自動車保険は40代、50代がお得になるような保険料体系を構築しており、他社よりも保険料が安くなる傾向があります。以下の年齢条件が変わるタイミングを迎えたら、合わせて自動車保険も見直すと良いでしょう。
運転年齢条件はメインに運転する人に合わせるのではなく、運転する人の最低年齢に合わせるようにご注意ください。
【運転年齢条件の区分(保険会社によって異なります)】
年齢条件 | 運転できる方の年齢 |
---|---|
全年齢 | 18歳以上なら何歳でも〇 |
21歳以上補償 | 21歳以上〇 18歳~21歳未満は× |
26歳以上補償 | 26歳以上〇 18歳~26歳未満は× |
30歳以上補償 | 30歳以上〇 18歳~30歳未満は× |
35歳以上補償 | 35歳以上〇 18歳~35歳未満は× |
更新案内が届いたとき
事故もなく年齢条件の変動が無い場合、自動車保険を見直さないまま、次年度も同条件で更新(更改)する人が多いでしょう。しかし、自動車保険は比較する方がお得になることが多いため、更新案内が届いたら、他社との比較のベストタイミングです。
更新案内は一般的にはがき・封書・メールで届くことが多いですが、会社経由で共済に加入している場合は、社内で通知を受け取ることもあるでしょう。更新案内には現在の加入内容が記載されているため、次年度契約の見直し資料にも活用できます。見積もり一括サイトの利用にも使える資料です。
もしも自動車保険を比較しなかったらどうなる?
自動車保険は定期的に他社と比較を行い、お得な保険料や補償内容へと切り替えることがおすすめですが、もしも自動車保険を比較しなかったらどうなるでしょうか。
お得な特約を見逃す可能性がある
近年自動車保険会社はさまざまな特約を開発しており、ユニークな内容も多くなっています。
代理店型損保は積極的にドライブレコーダーに関する特約を推進しており、保険会社からドライブレコーダーが貸与され、事故時のサポートも今まで以上に強化されています。
一方で、ダイレクト型損保ではロードサービス特約の強化や、事故時の警備員派遣サービスを開発しており、ALSOKやセコムといった有名警備会社との業務提携を加速させています。
長年同じ保険会社の自動車保険に加入していると、上記に挙げたような新しい特約を見落としてしまう可能性があります。定期的に見直すことは、事故時の備えを「強化」できるのです。
契約内容を見直すチャンスを見逃す可能性がある
自動車保険は免許証の色や運転者の年齢など、補償内容によって保険料が変わります。毎年同じ条件のまま自動車保険を更新し続けていると、本当は年齢条件や免許証の色を変えるタイミングにもかかわらず、変えないままになってしまうおそれがあります。
また、補償内容も家族構成やライフスタイルによって変えるべきものですが、契約内容を見直さないままだと、補償が不足してしまうおそれもあります。自動車保険を比較しないまま放置しておくと、自身の契約内容を見直すチャンスも逃してしまう可能性があるのです。
【免許証の色】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
ゴールド免許と自動車保険の関係性
自動車保険選びでよくある悩みや疑問とは?
自動車保険は比較をすることで、保険料がお得になる可能性が高く、充実した新しい特約にも出会えます。任意保険である自動車保険はこの記事を参考にお得に加入し、万が一の際の事故にしっかり備えましょう。
最後にこの章では、自動車保険選びでよくある悩みや疑問について紹介します。
【任意保険】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
車の任意保険とは?加入するメリットや補償内容、利用例を解説
自動車保険はディーラーにまかせるべき?
新車や中古車を購入する時、自賠責保険の新規加入や名義変更の手続きを車の販売店に依頼することが多いでしょう。自賠責保険とセットで、自動車保険への加入もディーラーから勧められることがあります。
一般的に多くの自動車販売店は保険代理店に登録しています。
確かに自賠責保険と自動車保険をセットで管理してもらうと、保険の管理を一元化できるため便利ですが、自動車販売店の多くは代理店型保険であり、ネット型保険の見積もりの取得は難しいでしょう。自動車保険をしっかりと比較するなら、ディーラー側が提案する保険内容と並列し、ご自身でも見積もりを取得することがおすすめです。
では、ディーラー加入とダイレクト損保の違いとはどのようなものでしょうか。
ディーラーとダイレクト型損保の違い
ディーラー(代理店) | ダイレクト型損保 | |
---|---|---|
保険料 | 高い | 安い |
加入や契約変更時の対応 | 対面 | オンライン |
アドバイス | あり | 対面ではなし(チャットなどで対応あり) |
ロードサービス時の対応 | 自社がレッカー対応をすることが多い | 保険会社がアドバイスを行う |
ディーラーは代理店型損保ですが、自社が車の専門店である強みを生かして、ロードサービスが必要な場合には自社対応を行うことがあります。また、保険部が営業店内にあることが多く、車両保険などのアドバイスをもらえることがあります。
ただし、どのディーラーも車の専門家であり、保険の専門家なわけではない為注意が必要です。
しかし、代理店型損保のため保険料ではダイレクト損保より高い傾向があります。
保険の加入を勧められることがあるかもしれませんが、保険の加入を約束し、車両の価格を値引きさせる、下取りを高くさせる行為は法律に違反しています。
あくまでも自動車保険は車両の購入・売却とは切り離して考えましょう。
代理店型損保にはインターネット割引はない?
スマホで情報を検索する方が多い今、代理店型損保の多くも自社ホームページで積極的に保険商品のアピールを行っています。では、ダイレクト型損保の特徴でもあるインターネット割引は、代理店型損保には無いのでしょうか。
結論から言うと、ありません。ダイレクト型損保はネットを介して保険を販売しているため、代理店設置に関係するコストがありません。そのため、インターネット割引というしくみを使って、保険料を「還元」しています。
インターネット割引はダイレクト型損保の大きな特徴なのです。
代理店型損保とダイレクト型損保の事故対応が同じ場所で行われている?
全国にサービスセンターを設置している代理店型損保と異なり、一般的なダイレクト型損保会社の事故対応は、全国に数カ所設置されている事故対応専門のセンターに集約されています。
例えば、ある県で発生した事故について示談交渉を保険会社に依頼する場合、ダイレクト型損保では都内にあるセンターが対応するようなしくみです。
では、代理店型損保とダイレクト型損保の事故対応が「同じ場所」で行われているという噂は本当でしょうか。
実は、保険会社によっては同じ場所で行われていることがあります。
- ①MS&ADインシュアランスグループの場合
国内メガ損保の一角を担う代理店型損保の「三井住友海上火災保険株式会社」は、MS&ADインシュアランスグループの1社です。
同じ三井系列でダイレクト型損保である「三井ダイレクト損害保険株式会社」も有しており、事故対応は同じ事故センターが担うことがあります。 - ②東京海上ホールディングスの場合
国内メガ損保の1つ「東京海上日動火災保険株式会社」と、ダイレクト型損保である「イーデザイン損害保険株式会社」も、同じ東京海上ホールディングスの傘下にあり、事故対応を集約しています。 - ③SOMPOホールディングスの場合
SOMPOホールディングスの傘下にある「損害保険ジャパン株式会社」と、同傘下にある「セゾン自動車火災保険(おとなの自動車保険)」も事故対応を同一にしている場合があります。
このように、国内メガ損保の傘下にあるダイレクト型損保の場合は、自動車保険の事故対応を同一のセンターで受け付けている場合があります。
安心の自動車保険は、比較する方がお得!じっくり検討しよう
今回の記事では、自動車保険において「比較」の視点から詳しく解説を行いました。
自動車保険にはさまざまな保険商品があり、基本補償は類似していても特約に違いがあります。
ぜひこの記事を参考に、比較サイトや気になる保険会社に問い合わせを行うなどの方法で見積もりを取得し、じっくりと加入先をご検討ください。
自動車保険はつい保険料を重視しがちですが、ご自身や家族の安全を守るためには、補償の充実も大切です。ライフスタイルに合わせて自動車保険を選びましょう。
投稿者プロフィール
- 経歴:大手損害保険会社に勤務後、弁護士事務所で秘書として交通事故訴訟の調査に従事