自動車保険は車を持つ上で必須の保険ですが、その保険料は安いものではない為、大学生や若手の新社会人など、車を一人で所有するとなると月々の支払いが嵩んでいきます。
例えば、自身の子供が大学進学の一人暮らしで車を利用する場合、自動車保険料を払ってあげたいが、保険料を安くしたい!という方も多いのではないでしょうか?
子供を「記名被保険者」として契約することで、自動車保険の保険料を安く抑えることが出来ます。
この記事では、記名被保険者の補償適用範囲について、別居状態でも可能なのかを詳しく適用条件について解説していきます。最後には、記名被保険者を変更する場合の等級引き継ぎについても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
契約者と記名被保険者が別居している場合はどうなる?
まずは「記名被保険者」の具体的な定義について解説し、記名被保険者が別居した場合の注意点をお伝えしていきます。
記名被保険者とは?
記名被保険者とは、保険の契約対象となっている車を使用する主な方です。
賠償責任保険や人身傷害保険の対象となる方の範囲などは、この記名被保険者を基準にして決められます。
また自動車保険には、別に車両所有者という定義もあり、補償対象となる車両の持ち主を指します。契約者と記名被保険者と車両所有者が、それぞれ異なっていても問題ありません。
記名被保険者が契約者と別居した場合の影響は?
自動車保険の補償対象の範囲は、記名被保険者を基準にして決められます。
そのため、記名被保険者と契約者が同居か別居かの違いが、補償範囲に影響を与えることがあります。主に運転する方と契約者が別居する場合は、記名被保険者を実情に合わせて変更する必要があります。
自動車保険において同居か別居の判断基準は、生活の拠点がどこにあるかです。
大学生の子どもが一人暮らしをしている場合、住民票を移していなくても別居とみなされます。
契約更改時の注意点
主に運転をする人が変更になると、記名被保険者を変更手続きをする必要があります。
変更時には、補償対象の範囲が変わってくることに注意が必要です。
「本人限定」や「本人・配偶者限定」を付けている場合は記名被保険者に対しての配偶者が対象になるので、今まで対象になっていた方が、対象に含まれなくなることがあります。
【本人・配偶者限定】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
自動車保険を配偶者限定にすると安くなる?メリット・デメリットを解説
別居状態での自動車保険の活用方法
別居している場合の自動車保険適用範囲について、注意事項を解説します。
適用範囲を確認し、契約状況を見直すなど自動車保険を上手く活用することをおすすめします。
自動車を共有する場合の補償範囲
家族で自動車を共有している場合は、運転者範囲の限定に注意しなければなりません。
「本人限定」「夫婦限定」の場合は、文字通り補償の範囲がかなり限定的です。
別居の子供を、補償範囲に含めるには「家族限定」で契約する必要があります。
【家族限定】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
自動車保険の「家族限定」の範囲とは?また保険料の違いとは?
運転者を限定している場合の補償範囲
①記名被保険者 | ①の配偶者 | ①もしくは②と同居の親族 | ①もしくは②と別居の親族 | |
---|---|---|---|---|
家族限定 | ⚪︎:補償 | ⚪︎:補償 | ⚪︎:補償 | ⚪︎:補償 |
夫婦限定 | ⚪︎:補償 | ⚪︎:補償 | ×:補償外 | ×:補償外 |
本人限定 | ⚪︎:補償 | ×:補償外 | ×:補償外 | ×:補償外 |
記名被保険者が事故を起こした場合の契約者の対応
記名被保険者が、事故を起こした場合に保険金を請求する場合には、契約者の同意が原則として必要になります。
また、運転する人を限定している場合、補償範囲は限定する条件に影響されることを事前にきちんと理解しておきましょう。
自動車保険における「契約者」の役割とは?
自動車保険における契約者は、責任・義務を負っています。
記名被保険者は、補償の中心になる方ですので、変更があった場合などに正しく契約内容を変更する必要があります。
以下で、契約における変更の手続きについてもお伝えします。
① 告知義務と通知義務
契約者が負っているのは、契約時の告知義務と契約後の通知義務です。
告知義務は、保険会社が申込時に記載して告知することを求めた事項を契約者が告知しなければならないもので、通知義務は危険増加に伴い、保険会社が通知を求めた事項を契約者が告知しなければならないものです。
通知を求められれば、遅滞なく通知しなければなりません。
② 自動車保険の契約内容を変更手続き
記名被保険者を変更する場合は、契約者が保険会社が定めた必要書類を提出し変更手続きが必要です。
一般的には、電話で手続きすることが必要な場合が多いですが、最近ではWeb手続きが可能で、マイページにログインし名前を入力するだけで変更できる場合もあります。
WEBサイトで手続きする場合は、保険会社によって新記名被保険者が現記名被保険者と同居でなければならないなど、条件がある場合もあるため注意が必要です。
③ 自動車保険料の支払い
保険料の支払いは、契約者が行う必要があります。
記名被保険者を変更しても、保険料の支払いの責任は契約者にあります。
④ 記名被保険者の重要性とは?
記名被保険者を正しく登録しておくことは、保険料の算出においてとても重要です。
その点を手続き・保険金の受取の面からお伝えします。
⑤ 記名被保険者の影響
記名被保険者は保険料の算出にかかわるもので、被保険者の年齢や運転歴(事故歴・違反暦)なども要素の一つとなります。
正しい記名被保険者を申告していなければ、正しい保険料を決めることができないため、変更になる場合には速やかに手続きを行う必要があります。
⑥ 記名被保険者に関する保険金の受け取り
記名被保険者の変更が正しくない場合には、保険金の受け取りができない可能性があります。
そのため、車の利用実態に変更があった場合には速やかに、保険会社に申告する必要があります。
記名被保険者を変更した場合の等級はどうなる?
自動車保険の等級の詳細と記名被保険者を変更した場合に引き継ぎが出来るかどうかをお伝えします。
自動車保険の等級は誰に紐づいている?
自動車保険では等級が設定されており、それが事故の内容・回数に応じて変わることで、保険料の割増や割引が行われます。
例えば、初めて自動車保険を契約した時は6等級で、1年間事故がないと1等級上がり、次年度は7等級の割引された保険料が適用されます。
この等級は、記名被保険者に紐づけられており、記名被保険者が変更になった場合は、等級は引き継ぎは出来なくなっています。
【等級】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
自動車保険の等級制度とは?保険料の割増引率を徹底解説
記名被保険者変更した場合、等級を引き継ぐことはできない?
上記の通り、等級は記名被保険者に紐づいているため、基本的には等級は引き継ぎは出来ません。
しかし、新しい記名被保険者が以下の場合のみ等級が引き継ぐことが可能です。
- 旧記名被保険者の配偶者
- 旧記名被保険者の同居の親族
- 旧記名被保険者の配偶者の同居の親族
※親族は「6親等内の血族あるいは、3親等内の姻族」です。
つまり、別居している子どもに記名被保険者を変更した場合は、等級が引き継ぎはできないということです。
まとめ
この記事では、記名被保険者の補償適用範囲について別居状態でも可能なのか詳しく適用条件について解説してきました。
子どもを「記名被保険者」として契約することで、自動車保険の保険料を安く抑えることが可能です。
しかし、契約者と記名被保険者が別居する場合には、運転者を限定して契約すると補償の範囲が限られてくるため注意が必要です。
万が一の事故に備えて、補償範囲にあるかしっかりと確認を行うことが大切です。