交通事故の示談交渉とは?自動車保険が果たしている示談交渉サービスを解説

自動車保険には、補償やレッカーサービスなどの優れたサービスが多く提供されていますが、注目したいサービスの1つに「示談交渉」が挙げられます。
示談交渉は事故が発生した際に、お客さまに代わって賠償金などの解決に向けて交渉を行うものです。
この記事では、自動車保険における「示談交渉」のサービスについて、詳細を解説します。

この記事をまとめると

  • 自動車保険が実施している示談交渉サービスの概要
  • 示談交渉の流れ
  • 知っておきたい示談交渉時の注意点
  • 交通事故の示談交渉のよくあるトラブル
  • 弁護士への依頼が望ましいケース

自動車保険の示談交渉とは

自動車保険のサービスの1つに、「示談交渉」があります。
交通事故が発生すると、どちらに、どの程度の過失があるのか決めた上で、賠償金を決定する必要があります。
しかし、示談交渉は時に激しく言い争うこともあり、労力がかかるものです。

加えて、交通事故に付随する示談交渉には法律知識や車両に関する知識も必要です。
十分な知識を持たずに示談交渉に臨むと、損をしてしまう可能性もあります。
そこで、この章では示談交渉について、基本的な流れや自動車保険が果たしている役割を紹介します。

示談交渉の基本的な流れ

交通事故における示談交渉の流れは、以下のとおりです。

① 事故の発生

事故が起きたら、まずは速やかに警察に連絡し、自身の自動車保険会社側にも事故発生の連絡を入れます。
相手方(被害者・加害者問わず)がいる場合には、相手方の連絡先や車のナンバー、加入先の保険会社をヒアリングします。
この時、自賠責保険・自動車保険のいずれも加入を確認しておくと良いでしょう。

※必ず警察に連絡を!
事故の相手によっては、「補償はするから、警察に連絡をしないで欲しい」などの要望を伝えてくることがあります。
しかし、人身事故として保険会社が手続きを進めるにあたっては、交通事故証明書が必要となるため、警察への連絡は必ず行いましょう。

参考URL:自動車安全運転センター
交通事故に関する証明書

関連のFAQ

【警察への連絡】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
軽微な事故のため「警察に届けないで」と言われたら?

② 物損・人身の損害の確定

示談交渉を進めるためには、物損・人身の両面における損害を確定させる必要があります。
物損部分では車両や損壊物の修理や買い替えに必要な金額の確定後、人身部分では症状固定後に損害額を算出します。
人身分野では、後遺障害の認定が行われる場合、等級が決定した時点で損害額を算出します。

③ 示談交渉

損害額が確定したら、事故の当事者間において、どちらがどの程度過失があったのか、過失割合や賠償金額を交渉します。
賠償金額が確定したら、実際に支払われる賠償金(保険金)は過失割合において算出を行います。
たとえば、加害者Aと被害者Bとの間で過失割合が8:2で決定した場合、被害者側が実際に得られる賠償金は、金額の8割です。(2割は過失相殺される)

④ 支払い

示談交渉で合意ができたら、示談書の取り交わしを行います。
その後、保険金として賠償金が支払われます。
一度示談書を取り交わすと、不服を訴えることがと大変難しくなります。慎重に判断することが重要です。

示談交渉における自動車保険の役割

自動車保険は任意保険であり、自賠責保険のように強制加入ではありません。
しかし、自動車保険の加入率は高い水準を誇っています。
その理由には、自動車保険が果たしている「示談交渉サービス」が優れていることが挙げられます。

示談交渉は事故の当事者間で話し合うことを意味し、大変なストレスをともないます。たとえば、「相手が一旦停止無視をしたせいで、自分に後遺症が残ってしまった」と辛い思いを抱えながら、相手方に賠償金を求める!と仮定すると大きなストレスであると想像できるでしょう。

自動車保険では各保険会社に備わっている「サービスセンター」「事故受付センター」などに常駐している事故対応専門のスタッフが、示談交渉を契約者に代わって遂行します。
スタッフは事故に関する専門知識を有しており、交渉の開始から保険金の支払いまで一元的に対応してくれます。

つまり、被害者・加害者のいずれ側になったとしても、保険会社が示談交渉に関わるほとんどのことを担ってくれるため、治療に専念でき、仕事や育児などへの影響も抑えることができるのです。

過失割合はどのように決めるのか

交通事故が発生すると、警察による実況見分が行われるのもあり、事故の過失割合については警察が判定している!と思っている方がいます。

しかし、警察は過失割合の判定はもちろんのこと、事故の賠償金や手続きに介入することは一切ありません。
違反行為があった場合には、刑事事件上の手続きのみ関わります。(例・飲酒運転による事故や、危険運転による事故など)

過失割合は、事故の当事者間が示談交渉で決める必要があります。交通事故には長い歴史があり、さまざまな判例も蓄積されているため、過去のデータや判定などを参考に示談交渉を保険会社が進めてくれます。なお、過失割合が決まらないケースでは、交通事故紛争処理センターや、訴訟での解決方法も検討していきます。

示談交渉における注意点とは?

優れた示談交渉サービスが魅力の自動車保険ですが、知っておきたい注意点もあります。
詳しくは以下です。

1. 過失のない事故は示談交渉ができない

交通事故には「もらい事故」と呼ばれるようなケースがあります。被害者側に全くの過失がなく、当初側過失割合が10:0のケースです。
この場合は、弁護士法上の「非弁行為」に該当することから、保険会社側は被害者側の示談交渉を担うことができません。(弁護士法72条)

このようなケースでは、ご自身で示談交渉を行うか、弁護士特約を使って弁護士に示談交渉を依頼するなどの対処を検討する必要があります。

2. 交渉結果が有利になるとは限らない

示談交渉では、保険会社側が相手方との交渉を行い、解決をしようと試みますが、その内容は常に自身にとって有利な結果になるとは限りません。
たとえば、保険会社側が示談交渉を頑張っても加害者側であるという事実は変わりません。示談交渉とは、起きた事故の内容を改変するようなものではない!と知っておく必要があります。

3. 示談交渉の結果決裂することもある

一般的な車両同士の軽微な事故では、車両の損害額などが分かった時点で、スムーズに示談交渉が始まり、保険金支払いまでも順調に進みます。

しかしケガの内容が重く後遺障害の認定が予想されるケースや、死亡事故、過失割合を激しく争うようなケースでは、保険会社間の示談交渉が決裂することもあります。特に被害者側の損害が物損・人身部分ともに重いケースでは、訴訟に移行することが多く、交通事故の解決まで長期間を要することがあります。

4. 損害賠償請求には時効がある

交通事故における損害賠償請求には、時効がある点も注意する必要があります。
ひき逃げ以外の人身事故なら時効は5年、物損による請求なら3年です。また、後遺障害および死亡事故による請求の場合は、症状固定の翌日から起算して3年以内に請求を行う必要があります。

交通事故における時効の考え方

人身事故交通事故の発生の翌日から3年以内
物損事故交通事故の発生の翌日から5年以内
後遺障害症状固定日の翌日から起算して3年以内
死亡事故症状固定日の翌日から起算して3年以内
ひき逃げによる事故交通事故の発生の翌日から起算して20年以内

事故の発生後に示談交渉が難航しているようなケースでは、時効にも注意する必要があります。
ただし、時効の起算日や完成に関しては法的な知識が必要です。
もしも示談交渉が1年以上かかるようなら、早めに時効についてのアドバイスを受けておくことがおすすめです。

よくある示談交渉上のトラブルとは

交通事故は車両の損壊やケガなど、非常にストレスの多い出来事です。
その上で、事故の解決に向けて示談交渉を乗り越える必要があり、被害者・加害者のいずれの立場であっても悩みが多いでしょう。
そこで、この章ではよくある示談交渉上のトラブルについて紹介します。対処法にも触れますので、ぜひご確認ください。

【よくあるトラブルⅠ】 保険会社と意見があわない!

保険会社側はもらい事故のようなケース以外では、基本的に事故の相手方との示談交渉を円滑に進めてくれます。
しかし、保険会社との意見が合わない!というトラブルに遭うことがあります。
詳しくは以下2つのケースです。

① 相手方保険会社の提示額などに納得ができない
事故の相手方の保険会社が、賠償金額や過失割合を提示してきても、納得ができないケースがあります。
特に過失割合が6:4などで拮抗することが予想されるケースでは、賠償金額や過失割合を双方が言い合い、示談交渉の成立が難航することがあります。
また、賠償金額を相手方保険金額が低く算出することも多く「こんな金額では到底示談できない」と不満を抱えることも多いでしょう。

② 自身の契約側の保険会社の対応があわない
示談交渉を行ってくれる自身側の保険会社の対応にも、納得ができないことがあります。社員との相性が上手くいかなかったり、車両の時価評価に納得できないケースなどが考えられるでしょう。

【よくあるトラブルⅡ】 相手方が直接連絡してくる

本来自身も、相手方も任意保険に加入しているのであれば、交通事故の示談交渉は保険会社間で行われています。
しかし、事故の相手方がいきなり連絡してくるというトラブルもあります。「早く示談をしろ」、「治療を終えて解決しろ」など、要求されるケースです。

【よくあるトラブルⅢ】 治療の打ち切りを求められる

示談交渉前に起きるトラブルに多いのが、「治療の打ち切り」を求めるケースです。
症状固定を早く行うように、治療を終えて示談交渉をするように、など保険会社によっては治療中の方に伝えてくることがあります。
「まだ治療をしたいのに…」と悩む方も少なくありません。

【よくあるトラブルⅣ】 整骨院や接骨院での治療を認めない

交通事故後の受傷は、医療機関に通うことが多いですが、治療によっては整骨院や接骨院を選択される方もいます。
しかし、保険会社側が示談交渉の段階で、病院の治療は認めても、整骨院や接骨院での治療は認めないという主張をしてくることがあります。

柔道整復師は国家資格ですが、医師のように診断書の作成はできないため、後遺障害に関する診断書も作れません。
このような専門性の違いを背景に、示談交渉時には治療を巡って交渉が難航することがあります。

示談交渉を円満に終わらせるポイント

示談交渉は時に難航することがありますが、解決できなければ賠償金が支払われないため、生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。
では、示談交渉を円満に終わらせるためにはどうすれば良いでしょうか。
詳しくは以下のとおりです。

物損・人身ともに適切に資料を提出すること

納得のいく賠償額を得るためには、被害者側の場合適切に求められる資料を提出する必要があります。
休業損害や治療に関する資料はもちろんのこと、車両や携行品の被害なども、きちんと提出しましょう。

また冒頭にも触れたように、人身事故の場合は交通事故証明書が必要です。
事故後すぐに警察に報告をしていないと、示談交渉に不利な要素となりかねません。

納得のいく治療を受けること

示談交渉が終わってしまうと、賠償金額の増額や変更は原則できません。
「もっと治療を受けたかった」「別の病院にも相談をしたかった」などの要望があっても、示談交渉が始まってしまう段階で症状固定をしているため、賠償額の増額は望めなくなります。

事故で受傷された場合は、まずは「治療にしっかりと専念すること」が大切です。
特に通院は、仕事などの事情により減らしてしまうことがありますが、痛みがある場合には我慢をせずに治療しましょう。

内払いを活用すること

入通院による治療が長引き、症状固定が行われていないうちは、人身部分の示談交渉は行われません。
物損の場合は車両の修理費用が見積もりできた時点で、示談交渉に進むことができますが、人身部分は長引くことがあります。

被害者にとっては、仕事や家庭にも大きな影響を及ぼす上、賠償金も未確定の状態になると「何でも良いから早く解決したい」と感じてしまう場合があります。

しかし、治療について述べましたが、しっかりと治療を受けないまま示談交渉を成立させてしまうと、十分な治療・賠償が得られないままとなります。
このような事態を防ぐためには「内払い」というしくみを使うことがおすすめです。

内払いとは、示談交渉が成立する前に、示談金の一部を先行して支払ってもらうものです。
最終的に受け取れる賠償金は減りますが、内払い金を受けることで生活に不安を抱えることが減るでしょう。
しっかりと治療を受けて適切なタイミングで示談交渉を成立させるためにも、検討すべき方法の1つです。

ただし、内払い金にも交渉が必要となるため、自身側の保険会社側に相談することがおすすめです。

交渉を有利に進める為に弁護士へ依頼

示談交渉をできる限り有利に進めるためにできることはあるでしょうか。
ポイントとしては、「弁護士への依頼」が挙げられます。
詳しくは以下です。

弁護士への依頼とは

自動車保険には「弁護士費用特約」が用意されており、もしも示談交渉などに不安・不満がある場合には、自身の代理人として弁護士を依頼することが可能です。
弁護士に依頼すると、保険会社から変わって弁護士が相手方保険会社と示談交渉を行います。

賠償金の増額の交渉や、治療の打ち切りに対する対処などにも精通しているため、示談交渉だけではなく交通事故の解決に向けて包括的に依頼できる、というメリットがあります。

弁護士への依頼が望ましいケースとは

では、実際に弁護士への依頼が望ましいケースとはどのようなものでしょうか。

  • 相手方が無保険車であり、交渉が難航している
  • 保険会社間で激しく過失割合を言い争っている
  • 相手方からの賠償金額の提示に納得できない
  • 治療の打ち切りを宣言されているが、納得できない
  • 家族が交通事故で死亡した
  • 重い後遺症が残されるため、後遺障害等級の申請が予想されるなど

弁護士は交通事故に関する知識を豊富持っているため、上記のようなケースでは弁護士への依頼を検討してみると良いでしょう。

弁護士に関する費用の目安とは

弁護士に示談交渉などを依頼する場合、以下の費用が予想されます。

発生する費用名費用の概要
法律相談費法律相談を行う際に支払う費用、着手後は発生しない
着手金事件に着手する段階で弁護士に支払うお金
報酬金解決時に弁護士に支払う報酬
実費印刷、印紙、郵券、訴訟や出張費などの費用

弁護費用特約がある場合、多くの保険会社は法律相談料の上限は10万円、その他の費用はまとめて上限300万円までを弁護士費用として認めています。
なお、特約が無い場合は弁護士へ個別に支払う必要があるため注意が必要です。
特に報酬金については、被害が大きく高額の賠償が予想されるケースでは高額化しやすくなります。

自動車保険と弁護士への依頼を活用

この記事では、自動車保険の優れたサービスである「示談交渉」について、交渉の流れや自動車保険が果たしている役割、弁護士への依頼などにも触れながら詳しく解説を行いました。
事故時には大きなストレスとなる示談交渉ですが、自動車保険に入っていればサービスとして提供されており安心です。

一方で、交渉が難航するケースや、保険会社側の対応に納得できないようなケースでは、弁護士への依頼も視野に入れる必要があります。
自動車保険料とは別に、弁護士費用を用意する必要があるため、日頃から「弁護士費用特約」に加入しておくことが望ましいでしょう。

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