マイカーが故障で走行不能になってしまった時、自動車保険に「故障特約」がついていれば、修理のための費用を保険で支払ってもらえます。
急な出費を保険で備えることが可能となるのです。
この記事では、「故障特約」がどのような故障の時に支払われるのか?支払われない故障はあるのか?
また新規契約時、更新時の条件や注意点など、実際の事例なども紹介しながら解説します。
自動車保険の故障特約とは?
「故障特約」とは、保険会社の損害保険ジャパン(以下損保ジャパン)から発売されている自動車保険につけることのできる特約で、正式名称は「故障運搬時車両損害特約」と言います。(以下故障特約と呼びます)
この特約は、マイカーが故障して走行不能になり、レッカー車でけん引した後、整備工場等での修理費用を車両保険金額または100万円のいずれか低い額を限度に補償してもらうことができます。
この特約の大きな特徴は、これまでの自動車保険では補償されなかった「車の故障」が支払いの対象になっていることです。
一般的に自動車保険は、車の事故や事故に関連して発生した費用に対して保険が支払われるものですが、この特約はこれまでにない保険の内容となっています。
故障特約の加入条件
「故障特約」を自動車保険に付け加えるには、下記のような条件があります。
自動車保険の故障特約の加入条件 | |
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契約対象になる自動車 | 自家用車 (①普通乗用車、②小型乗用車、③軽四輪乗用車) ※車両保険に加入していること |
記名被保険者 | 契約する自動車を主に運転する人が個人であること。 |
車両の登録期間 | 初年度登録年月または、初年度検査年月の翌月から 起算して60ヶ月以上であること。 |
【車両保険】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
車両保険の免責金額とは?自己負担額はいくらにしたらよいか
【補償範囲】故障特約でカバーされる範囲と事例
「故障特約」が適用される範囲は次のような事例です。
- エンジンがオーバーヒートして、動かなくなった。
- オルタネーターが損傷し、バッテリが上がり走行できなくなった。
注意しなければいけないことは、「① 契約の車が走行不能になる」「② 保険会社(損保ジャパン)に事前に連絡している」「③ レッカー車での車両の移動している」この3つが揃うことが、故障特約の保険支払いが可能となります。
※「②の保険会社に事前連絡」は、保険代理店は含まれません。
ここで言う「走行不能」とは自力で走行できない状態または、走行すると法令違反になる状態をいいます。
例えば、夜間走行時にヘッドライトが点かない!ブレーキランプが切れていて点かない!など、走ることが出来ても、法令で走行してはいけない状態にある車のことです。
エアコンやカーナビの故障は走行に支障がなく法令違反には該当しないので、支払い対象にはなりませんのでご注意ください。
【補償適用外】故障特約でカバーされない範囲と事例
「故障特約」が適用されない範囲は次のような事例です。
- バッテリーやランプ類などの消耗部品の劣化、交換、補充などの費用
- マフラーのサビや、腐食、その他経年劣化による故障
- 電気的障害や機械的障害に該当しない故障
※タイヤがパンクしたのみなど
注意点として、エンジンやトランスミッションなどから異常な音がしたため、万が一を考えレッカー移動で整備工場等に搬送した場合、整備工場で症状が出ていなかったり、再現性のない故障は補償の対象になりません。
故障特約を利用する時に発生する費用と自己負担
今の自動車保険は、契約すると自動的にロードアシストのサービスが適用されることがほとんどです。
このサービスを利用すれば、レッカー代金などを負担する必要がないので、特約利用時に発生する費用はありません。
また、保険金が支払われる場合は自己負担額は差し引かずに支払われます。
【ロードサービス】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
ロードサービスの種類と自動車保険!知らないと損するポイントとは?
他の補償内容との違い
自動車保険の 「故障特約」は車両保険やロードアシストサービスと混同されることが多いです。
車両保険は、自分の車が事故や盗難、いたずらなど事故に関連した物事に支払われるもので、故障による修理費用には支払われません。
ロードアシストサービスは、故障も対象になりますが、故障した時にサポートをしてくれる(例えばレッカー車を手配して修理工場に搬入する)サービスであり、故障の修理費用は対象ではありません。
詳細なサービス内容などは保険代理店や保険会社のホームページなどで確認されることをお勧めします。
「故障特約」に加入するメリット・デメリット
「故障特約」はこれまでの保険にはない、故障時の金銭的な負担に備えることのできる特約です。
それでも、「必要なの?」と悩まれる方もいると思います。
そこで、この特約の主なメリットとデメリットをご紹介します。
保険の契約や更新時に、参考にしていただければと思います。
故障特約のメリット
自動車の修理費用は思っている以上に高額になるケースが多く、故障特約に加入することでその費用に備えることができます。
また、ロードアシストサービスと組み合わせることで、マイカーに起こるアクシデントの多くの部分を金銭的にカバーすることができます。
故障特約のデメリット
現状「故障特約」は損保ジャパンのみの取り扱いなので、他の保険会社では契約することが出来ません。後ほど紹介しますが、東京海上日動火災保険でも同じような特約を扱っていますが、内容的に明らかに見劣ります。
「故障特約」は車両保険に加入していることが前提なので、保険料が安い他社に加入している場合は、トータル的に保険料が高くなってしまう可能性があります。
また、 「故障特約」を一度使用すると、次の保険の更新時に等級が1等級下がります(ご契約期間が1年の場合)そのことにより保険料が上がる可能性が高くなります。
「故障特約」加入時の注意点
前述した「故障特約の加入条件」の他に加入時には、下記の点にも注意が必要です。
具体的な確認ポイントを解説します。
故障特約加入前に確認すべきポイント
「故障特約」は、車両保険を付帯した損保ジャパンの自動車保険商品「THEクルマの保険」もしくは「SGP」に付帯することができます。なお、3年を超える契約には付帯することはできませんのでご注意ください。
故障特約加入のタイミングは?
自動車保険の故障特約は、「新規契約時」もしくは「更新時」に加入することができます。
契約期間途中に特約のみの加入はできませんのでご注意ください。
ただし、車両入替をする場合に限り契約期間途中でも加入することが可能です。
契約更新時の注意点
万が一保険を使う段階で、保険適用外の車両になっていないように、契約更新時には車検が切れていたり改造をしたりなどして、契約する車両に変化がないか(契約可能の車両かどうか)確認する必要があります。
また、「故障特約」を使用すると、更新時に保険料が上がる可能性があるので保険料の確認も必要です。
東京海上日動火災保険の故障特約の特徴は?
東京海上日動火災保険でも「故障特約」を扱っており、正式名称は「故障搬送時車両損害補償特約」と言います。
特約の内容は損保ジャパンの「故障特約」と大きく変わりませんが、補償額などに下記のような違いがあります。
契約している車に生じた故障損害に対して、10万円(損保ジャパンは100万円)を限度に保険金が支払われます。
ただし、車両保険金額が10万円未満の場合は車両保険金額が限度となります。
加入条件としては契約期間の初日の属する月が車検証に記載されている「初年度登録年月(または初度検査年月)」の翌月から起算して84か月(損保ジャパンは60ヶ月)超える時に自動セットされます。
また、追加の特約保険料も必要ありません。
損保ジャパンは加入手続き、及び追加の特約保険料が必要です。
故障特約を利用した自動車保険の選び方
この記事では、「故障特約」ついて詳しく解説してきましたが、この特約はこれまでにない「車の故障に対する補償」という、ある意味画期的な商品と言えます。
ただその新しさから、加入条件や支払い条件など、解りづらい部分が多いのも事実のようです。
現在加入している自動車保険の加入条件や等級・保険料などを確認して、保険代理店の助言や保険会社のホームページなどを参考に「故障特約」の加入を考えてみることをお勧めします。