自動車保険は、1年ごとの契約以外にも2年や3年といった長期の契約も存在します。長期契約を行うことは、保険料の節約や手続きの簡素化のメリットがあります。
しかし、加入者の状況によってはデメリットになることもあるため、正しい知識を持つことが大切です。
この記事では自動車保険の三年契約を中心に、最適な選び方をお伝えします。
自動車保険の三年契約の基礎知識
契約期間の種類と扱っている保険会社に加え、三年契約が向いている人、向いていない人を紹介します。
契約期間の比較
実は自動車保険は契約期間によって、様々な違いがあります。その期間は1年から最大8年まで、かなり長期のものまで存在します。
1年と3年の契約期間を比較しても、そこには複数の違いがあります。
まずは一覧を見てみましょう。
契約期間 | 1年 | 3年 |
---|---|---|
保険料 | 1年間同じ(事故の有無に関わらず) | 3年間同じ(事故の有無に関わらず) |
補償内容 | 対人・対物賠償・車両保険…等 | 対人・対物賠償・車両保険…等 |
等級の扱い(事故なし) | 翌年に1等級アップ | 3年後に3等級アップ |
等級の扱い(事故あり) | 翌年に等級ダウン 事故有係数が適用 | 契約更新時に等級ダウン 保険期間中は変更なし |
ゴールド免許割引 | 1年毎に適用 | 3年毎に適用 |
長期契約割引 | なし | あり(保険会社による) |
このように、「保険料」「等級の扱い方法」などに違いがあります。
また、全ての保険会社が長期契約に対応しているわけではないのもポイントです。
【保険料と等級】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
自動車保険の等級制度とは?保険料の割増引率を徹底解説
自動車保険の三年契約ができる保険会社
2024年5月時点で、三年契約の自動車保険を取り扱っている保険会社は下記のとおりです。
- 損害保険ジャパン
- 東京海上日動火災保険
- あいおいニッセイ同和損害保険
- 三井住友海上火災保険
長期の自動車保険はダイレクト型(通販型)の契約ができないため、主に代理店型の損害保険会社で取り扱っています。
自動車保険の三年契約が向いているのはこんな人
自動車保険の三年契約が向いている人は次に当てはまる人と言えるでしょう。
- 毎年の更新が面倒な人
- 長期での支払金額を明確にしたい人
- 代理店型の契約でも問題がない人
最初の手続きはダイレクト型に対して時間がかかりますが、一度契約してしまえば次回の更新まで手続き不要なのは、日々忙しい人にとってはおすすめです。
自動車保険の三年契約が向いていないのはこんな人
逆に、自動車保険の三年契約が向いていない人は次に当てはまる人と言えるでしょう。
- 初回手続きをネットで楽に済ませたい人
- 車の所持をやめようとしている人
- 次回の免許更新でゴールド免許になる人
長期契約の期間中は保険料は一定となるため、途中でゴールド免許になっても次回の更新までは割引適用されない点には気をつけましょう。
自動車保険の三年契約のメリット
自動車保険の三年契約の具体的なメリットを紹介します。
1年あたりの保険料を安くできる
保険会社によっては、3年分の自動車保険料を前払いする「一括払い」に対応しているケースがあります。一括払いをした場合は、保険料が割引になることがあり、結果として1年あたりの保険料を抑えることが可能です。
一時的にまとまった支出とはなりますが、3年という長期間で考えればコストを減らすことができるでしょう。
更新手続きを削減できる
長期契約なら、担当者との面談や書類手続きが不要になり、時間を大幅に節約することができます。その他にも更新漏れによる無保険のリスクも心配する必要がなくなります。
ただし、全く気にしなくて良いというわけではなく、記名被保険者や運転者などの変更をする必要がある場合もあるでしょう。
年に1回のペースで補償内容を見直し、必要に応じてプラン変更を行うことが大切です。
契約期間中の保険料が安定する
自動車保険は、保険商品のひとつであるためその年の保険料率変動によって価格の改定が行われることがあります。
1年更新の場合は毎年改定の影響を受けるリスクがありますが、三年契約の場合はその間に価格改定があっても保険料は契約時の料金で一定となります。
また、3年間のかかる費用が明確になっていることから、家計の安定にも繋がるでしょう。
事故を起こしても等級が変わらない
三年間の契約期間中は、事故を起こして保険を使うことになっても、その等級が変わることはありません。
事故というのは気をつけて安全運転を常に心がけていても避けられないケースがあるのも事実です。
そういった不測の事態でも、契約期間中に等級が下がってしまい、保険料が変わることがないのは魅力の一つと言えるでしょう。
自動車保険の三年契約のデメリット
先ほどは自動車保険を三年契約するメリットについてご紹介しました。
ここからは、自動車保険の三年契約の具体的なデメリットを紹介します。
保険料が割高になる場合がある
三年契約の間は途中で保険料に改定があったとしても、その料金は契約時のものが継続され、適用されません。
これは価格が高く改定された場合はメリットとなりますが、安く改定された場合にはデメリットにもなり得ます。
この他にも、保険の内容にサービス拡充があった場合も、それが適用されるのは次回の更新以降となります。
複数回の事故は等級が急激に下がる
三年間の契約期間中は事故があっても等級は変わりませんが、次回の契約更新時にその事故の等級ダウン分がまとめて適用されます。
契約期間中の事故の内容・回数に応じて4等級、6等級ダウンという場合もあり、保険料が高くなるので注意が必要です。
保険料が安くなる条件変更に制限がある
三年契約のデメリットとして、途中で保険料が安くなる条件があったとしても、契約期間中にはそれを適用することができない点があります。
例えば契約期間中に、運転免許証の色がブルーからゴールドになったとしても、ゴールド割引を受けられるのは、次回の契約更新時からとなります。
三年契約をする前には、その間に保険料が安くなる条件がないか確認してからにするように注意しましょう。
オンライン契約ができない
三年契約の自動車保険は、オンラインでの契約をすることができないのもデメリットの一つです。
長期契約の自動車保険を取り扱っているのは主に、代理店型の損害保険会社です。手続きが楽なダイレクト型保険を扱っている損害保険会社では契約することができません。
また、代理店型の損害保険会社の自動車保険は、ダイレクト型の自動車保険よりも保険料が高くなる場合が多く見られます。
自動車保険の三年契約の等級進行、契約変更、途中解約
自動車保険の三年契約中に事故を起こした場合、契約変更したい場合、途中解約したい場合に知っておくべき内容を紹介します。
無事故時と事故発生時の等級進行
翌年の更新ごとに等級が変動する一年契約に対し、三年契約の場合はまた違った等級の変動が起こります。
次の例は、6等級からスタートし、2年目に3等級ダウンの事故を起こした場合の一年契約と三年契約の等級の変動例になります。
継続年数 | 一年契約の場合 | 三年契約の場合 |
---|---|---|
1年目 | 6等級 | 6等級 |
2年目 | 7等級(1等級アップ) | 6等級 |
3年目 | 4等級(3等級ダウン) | 6等級 |
4年目 | 5等級(1等級アップ) | 5等級(1等級ダウン) |
契約変更のデメリットと注意点
三年契約の自動車保険には、契約変更時にもデメリットと注意点があります。
先ほどお伝えしたように、長期契約の自動車保険を提供しているのは代理店型の損害保険会社となります。
この場合、車の乗り換えや、運転者限定などの契約変更をする際もインターネットでの手続きはできず、直接電話等でのやりとりが必要となるため、その都度手間がかかってしまいます。
途中解約時の返戻金
保険料を三年間分を一括払いしていて、契約の満期日までに解約をした場合、解約返戻金を受け取ることができます。
解約返戻金は解約日から満期日までの保険料に値する金額のことを指します。
ただし、解約返戻金は保険料全額が返ってくるわけではなく、保険会社が定めた短期率に基づき決定されます。
三年以内に車を手放すなど、自動車保険を解約する可能性がある人は一年契約の方が良いケースもあります。
自動車保険の三年契約とそのメリット・デメリット
この記事では自動車保険の三年契約のメリット、デメリットに加えて向いている人、向いていない人を紹介しました。
ご自身の状況と照らし合わせてメリットを感じられるようであれば三年契約をおすすめします。