過失相殺とは
自動車保険における過失相殺とは、交通事故において過失割合を決めた後に、損害賠償金額の調整を行うことを意味します。
交通事故は一方的なもらい事故など以外は双方に過失があることが一般的です。
過失割合に応じて保険会社間が保険金の支払いを相殺するような処理を実施します。
交通事故の解決を目指す際には、保険会社から「過失相殺」という言葉を聞く機会があります。
過失相殺とは、交通事故で過失の割合に応じて損賠賠償額を決めることです。
車両同士の交通事故の場合、車両背後からの追突のようなもらい事故なら過失割合は衝突した方が10割の過失になります。
しかし、交差点に双方が侵入した際に接触した場合、などは車両それぞれに過失があると考えられます。そのため、事故の過失を何割か決め、損害賠償金を調整することが基本です。(民法第722条2項)
交通事故にはさまざまなケースがあります。自身の車両を誤って電柱にぶつけてしまうような自損事故もあれば、歩行者をはねてしまうような交通事故もあります。
そして、交通事故に多いのは車両同士の事故です。
交差点での衝突事故や、右折や左折に合流する際に直進車両と衝突する事故など、車両同士の交通事故は公益財団法人交通事故総合分析センターの統計を参考にすると、令和2年度は交通事故の総発生件数は309,178件あり、うち車両同士の事故は車対人や車両の単独事故と比べてもダントツに多い261,209件に上っています。
多くの交通事故では過失相殺に関する交渉が行われている、と言っても過言ではないのです。
参考URL:公益財団法人交通事故総合分析センター
交通統計 令和2年度
過失相殺はどうやって決めるのか
過失相殺を決めるにあたっては、発生した交通事故についてどちらがどの程度責任を負うべきなのか「過失割合」を決めます。
過失割合は保険会社間で交渉をすることが多く、過去の交通事故の判例などを元に決めます。
過失割合は責任割合とも言われるもので、〇対〇で説明を受けることが一般的です。
例えば、交差点で車両同士の接触事故が起きた場合にA車が8割、B車が2割の過失割合があった!としましょう。
この場合過失割合は8対2であり、8割の過失を負担するA車の方が事故における責任が大きかったことを意味します。
過失相殺はこの8対2に応じて損害賠償額を調整します。この事故における損害額の計算を実際に示してみましょう。
過失相殺の計算例とは
A車の過失8割 自身の車両損害額は20万
→B車に対して支払うべきは50万の8割の40万
B車の過失2割 自身の車両損害額は50万
→A車に対して支払うべきは20万の2割の4万
上記において実際の保険会社間でのやり取りでは、過失相殺の実務としてA車側は4万を受け取らず、相殺して36万円(40万-4万)をB車側へ支払い示談を成立させています。