車両保険の一般型とエコノミー型の大きな違いは、単独事故まで補償するかどうかです。一般型は電柱やガードレール、自宅の車庫の壁にぶつけた事故まで補償します。エコノミー型ではこれらが原則として対象外になり、そのかわり保険料が安くなります。
迷ったら一般型が無難です。ただし車両保険金額が小さく、単独事故の修理費を自己負担できるなら、エコノミー型も十分に合理的な選択になります。
この記事のまとめ
1エコノミー型は保険料が下がるかわりに、電柱・壁・ガードレールとの事故が原則対象外になります。
2車両保険が支払われた事故のうち、相手が自動車だったのは36.7%にとどまる。
3呼び方は「エコノミー型」「限定タイプ」「10補償限定特約」など会社ごとに異なる。
【早見表】一般型とエコノミー型の違い
まず全体像を一覧で確認してください。個別の事故については、このあとの章で詳しく説明します。
| 事故の例 | 一般型 | エコノミー型 |
|---|---|---|
| 車同士の衝突・接触(相手が確認できる) | 補償される | 補償される |
| 当て逃げ(相手が分からない) | 補償される | 会社により異なる |
| 電柱・ガードレール・建物への衝突 | 補償される | 対象外 |
| 自宅の車庫の壁・柱への接触 | 補償される | 対象外 |
| 転覆・墜落 | 補償される | 対象外 |
| 自転車との衝突(※1) | 補償される | 会社により異なる |
| 動物・歩行者との衝突(※1) | 補償される | 会社により異なる |
| 火災・爆発 | 補償される | 補償される |
| 盗難 | 補償される | 補償される |
| 台風・竜巻・洪水・高潮 | 補償される | 補償される |
| 落書き・いたずら・窓ガラスの破損 | 補償される | 補償される |
| 飛び石・落下物との衝突 | 補償される | 補償される |
| 雹による損害(※2) | 補償される | 補償されることが多い |
| 地震・噴火・津波(※3) | 対象外 | 対象外 |
| 保険料 | 高い | 安い |
※2 雹による損害は「飛来中・落下中の物との衝突」または自然災害等の補償項目として扱われることがあります。分類の仕方は保険会社によって異なるため、契約前に補償表でご確認ください。
※3 地震・噴火・津波は一般型でも対象外です。ただし専用の特約を付けることで、全損時に一時金が出る商品があります。
対象外の事故を起こした場合、自分の車の修理費は全額自己負担です。修理費が10万円でも50万円でも、車両保険からは1円も支払われません。
車両保険の一般型とエコノミー型は何が違うのか
一般型は補償範囲を絞らないタイプ
一般型は、車両保険で想定されている事故を幅広く補償するタイプです。会社によっては「一般条件」「一般タイプ」「一般補償」「ワイドカバー型」などと呼ばれます。
自分の車が壊れる原因はひとつではありません。他の車との衝突、電柱やガードレールへの接触、火災、盗難、台風による水没、いたずら。一般型はこれらをまとめて対象にします。ただし地震・噴火・津波による損害は、一般型であっても原則として補償の対象外です。この点は後ほど触れます。
エコノミー型は「相手が自動車の事故」を軸に絞ったタイプ
エコノミー型は、補償の対象を絞ることで保険料を抑えたタイプです。主に外れるのは、自分でぶつけた単独事故です。
具体的には、車庫入れで自宅の壁にこすった、狭い道でガードレールに接触した、縁石に乗り上げてバンパーを壊した、といった事故です。専門用語では「単独事故」と呼びますが、要するに相手のいない事故が対象から外れます。転覆・墜落も同じ扱いです。
一方で、火災・盗難・台風・いたずら・飛び石はエコノミー型でも補償されます。「エコノミー型は安いから補償がほとんどない」という理解は正確ではありません。
そして単独事故のほかに、当て逃げや自転車・動物・歩行者との衝突は保険会社によって扱いが分かれます。こちらは相手のいる事故ですが、エコノミー型が「相手が自動車かどうか」で線を引くため、商品によって対象外になることがあります。この会社差はのちほど詳しく扱います。
「車対車+A」「限定A」とは何のことか
見積もり画面で「車対車+A」という表記を見たことがある方も多いでしょう。これはエコノミー型を指す呼び方のひとつで、この表記が設計をそのまま言い表しています。
「車対車」は、相手が自動車である事故のこと。「+A」は、それ以外に追加で補償される項目を指します。Aに含まれるのは、おおむね次のようなものです。
- 火災・爆発
- 盗難
- 台風・竜巻・洪水・高潮
- 落書き・いたずら・窓ガラスの破損
- 飛来中・落下中の物との衝突(飛び石、落下物、雹など)
会社によっては「車対車+限定A」と表記されます。Aに含まれる範囲や当て逃げの扱いは会社ごとに違うため、表記だけで補償内容を断定はできません。
なお「相手が自動車」の範囲にも注意が必要です。二輪車や原動機付自転車を含める商品もありますが、自転車は自動車とは別扱いになることが多いため、補償表で分けて確認してください。
判断の分かれ目は「電柱にぶつけたときに自己負担できるか」
細かい比較はこの先いくらでも続きますが、判断の軸そのものは一点です。自分でぶつけた単独事故の修理費を、貯金から出せるかどうか。ここに答えが出れば残りは確認作業です。
エコノミー型で足りるのは、次の4つを満たす場合に限られます。
・電柱や壁にぶつけたときの修理費を自己負担できる
・車両保険金額がすでに小さくなっている
・ローンや残価設定クレジットが残っていない
・運転歴が長く、狭い駐車場や狭い道を日常的に使わない
なぜ一般型に寄せた結論になるのか。その根拠は、後述する支払実績の統計にあります。
事故別に詳しく見る|一般型とエコノミー型の補償範囲
どちらでも補償される事故
次の事故は、一般型でもエコノミー型でも補償の対象になります。
- 車同士の衝突・接触(相手が確認できる場合)
- 火災・爆発
- 盗難
- 台風・竜巻・洪水・高潮
- 落書き・いたずら・窓ガラスの破損
- 飛来中・落下中の物との衝突(飛び石、落下物、雹など)
飛び石でフロントガラスが割れたケースは、この「飛来中・落下中の物との衝突」に該当することが一般的です。詳しくは飛び石によるフロントガラスのキズに車両保険は使える?で解説しています。
一般型だけが補償する事故
反対に、一般型でしか補償されないのは次の2種類です。
- 電柱・ガードレール・建物・自宅の車庫の壁などとの衝突(単独事故)
- 墜落・転覆
多くの会社に共通する違いは、まずこの2つです。この2つを自己負担できるかどうかが、そのままタイプ選びの答えになります。ただし次に見るように、当て逃げや自転車との事故の扱いは会社ごとに分かれます。
単独事故で何が補償されるのかは自動車保険の自損事故で補償される内容とはにまとめています。
保険会社によって扱いが分かれる事故
ここは会社ごとの差が大きく、一般的な説明では省かれがちな部分です。「エコノミー型では当て逃げが補償されない」という説明を目にしたことがあるかもしれません。これは会社によっては誤りです。
複数社の公式資料を確認したところ、エコノミー型の記載は大きく次のパターンに分かれていました。自分の契約がどちらなのかは、約款やパンフレットの書き方で判別できます。
| 約款・パンフレットの記載 | 当て逃げ | 自転車との衝突 |
|---|---|---|
| 補償対象に「自動車によるあて逃げ」が明記されている | 補償される | 別途の記載で判断 |
| 補償対象の注記に「登録番号や運転者・所有者が確認できない自動車を含む」とある | 補償される | 別途の記載で判断 |
| 「相手の車と運転者または所有者が確認できる場合」という条件が付いている | 対象外 | 対象外 |
| 補償対象に「陸上の乗用具(電車・自転車等)との衝突」が含まれている | 記載により異なる | 補償される |
当て逃げの分かれ目は、相手の特定を補償の条件にしているかどうかです。「相手の車と運転者または所有者が確認できる場合」という条件が付いていれば、逃げられた時点で補償は受けられません。逆に補償対象として「あて逃げ」を明記している会社や、「登録番号や運転者・所有者が確認できない自動車を含む」と注記している会社では、エコノミー型でも支払いの対象になります。
当て逃げそのものへの対処は駐車場で当て逃げされたら?保険適用の条件と補償内容を解説をご覧ください。
もう一点、同じ会社でも保険始期日によって扱いが違う場合があります。ある会社では2023年1月1日以降に始まった契約から当て逃げを補償対象に加えており、それ以前の契約では対象外のままです。更新のたびに条件が変わることもあるため、古い契約を継続している方はとくに確認が必要です。
自転車・動物・歩行者との衝突はどうなるか
エコノミー型は「相手が自動車かどうか」で線を引くため、自転車・動物・歩行者との衝突は対象外になることがあります。ただしここも会社によって違います。
補償対象を「陸上の乗用具(電車・自転車等)との衝突」まで含めている会社ではエコノミー型で補償されますが、自転車との衝突を一般型側の項目として扱っている会社では対象外です。歩行者や動物との衝突を補償項目に挙げている会社もあります。
地震・噴火・津波は一般型でも対象外
意外に思われるかもしれませんが、地震・噴火・津波による損害は一般型でも原則として対象外です。補償を得るには「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」のような専用の特約を付ける必要があります。詳しくは地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約の解説をご覧ください。
各事故類型がどういう条件で補償されるのかを詳しく知りたい場合は、車両保険で補償される範囲とはにまとめています。
統計で見る「エコノミー型が外す事故」はどれくらい起きているのか
補償範囲の違いが分かっても、その事故が実際どのくらい起きているのかが見えなければ判断できません。ここで重要なのは、エコノミー型で外れる事故が「めったに起きない例外」なのか、「それなりに起きている事故」なのかという点です。各社の公式サイトではまず語られない部分なので、公的統計から確認します。
使うのは損害保険料率算出機構の『2025年度 自動車保険の概況』です。2024年度の統計として、車両保険で支払われた保険金の内訳が公表されています。
車両保険が支払われた事故のうち、相手が自動車だったのは36.7%
同資料の第25表は、車両保険の支払いを事故類型別に分類しています。
| 事故類型 | 支払件数 | 構成比 | 1件あたり平均支払保険金 |
|---|---|---|---|
| 「自動車」対「自動車」 | 830,226件 | 36.7% | 約38万円 |
| 「自動車」対「人」 | 25,509件 | 1.1% | 約31万円 |
| 「自動車」対「物」 | 635,927件 | 28.1% | 約47万円 |
| 自動車単独 | 754,889件 | 33.4% | 約41万円 |
| 事故類型不明分 | 15,114件 | 0.7% | ― |
| 合計 | 2,261,665件 | 100% | 約41万円 |
※同表の注記により、合計には事故類型不明分が含まれます。表中の「事故類型不明分」と1件あたり平均支払保険金は、同表の支払件数・支払保険金から当サイトで算出した値です(平均額は万円単位で四捨五入。支払保険金に付帯費用は含まれません)。
エコノミー型が軸にしている「「自動車」対「自動車」」に分類された事故は、全体の36.7%です。一方で相手が「物」だった事故、つまり電柱・ガードレール・建物などにぶつけた事故が28.1%を占めています。しかもこの区分は1件あたりの支払額が約47万円で、4区分のなかで最も高くなっています。
なお「自動車単独」33.4%は、相手のいない転覆・墜落だけを指す分類ではありません。盗難・火災・自然災害のように相手方が存在しない損害もここに入ります。電柱やガードレールへの衝突は「「自動車」対「物」」の側に分類されています。
エコノミー型でも補償される盗難・自然災害はどれくらい起きているのか
同じ資料の第26表は、同じ母数を事故形態という別の切り口で分類しています。
| 事故形態 | 支払件数 | 構成比 | 1件あたり平均支払保険金 |
|---|---|---|---|
| 他車・物・人との衝突、接触、転覆、墜落 | 1,653,269件 | 73.1% | 約42万円 |
| 台風・竜巻・洪水・高潮 | 6,874件 | 0.3% | 約84万円 |
| 盗難 | 4,041件 | 0.2% | 約299万円 |
| その他 | 597,481件 | 26.4% | 約38万円 |
| 合計 | 2,261,665件 | 100% | 約41万円 |
「エコノミー型でも盗難や台風はカバーされる」という説明はよく見かけますが、件数で見ると盗難は0.2%、台風・竜巻・洪水・高潮は0.3%。合わせても0.5%にすぎません。
なお「その他」26.4%には、同表の注記により火災・爆発、飛来物・落下物との衝突などが含まれます。こちらもエコノミー型で補償される領域です。
件数は少なくても1件あたりの負担は大きい
ただし、件数の少なさだけで「盗難や自然災害の補償は重要でない」と結論づけるのは早計です。1件あたりの支払額を見ると評価が変わります。
盗難は1件あたり約299万円で、車両保険全体の平均(約41万円)の約7倍です。車ごと持ち去られれば全損になるため、当然の結果といえます。台風・洪水などの自然災害も約84万円で、平均の2倍です。
つまり盗難と自然災害は「めったに起きないが、起きたら一撃が大きい」タイプのリスクです。エコノミー型でもこの2つが残るという事実は、件数の小ささが示すよりは重い意味を持ちます。盗難リスクが高い車種に乗っている方や、水害の想定区域に駐車している方は、この点を踏まえて判断してください。
車の盗難については愛車を盗難から守る車両保険、水害については車が水没したら自動車保険で補償される?で詳しく扱っています。
差し引きすると、対象外になるのは支払件数の約35%
2つの表は同じ2,261,665件を別の軸で分けたものです。突き合わせると、内訳がもう少し細かく見えてきます。
第26表の「衝突、接触、転覆、墜落」は1,653,269件。このうち第25表で相手が特定されている分は、対自動車830,226+対人25,509+対物635,927で1,491,662件です。差し引いた161,607件、全体の約7.1%が、相手のいない転覆・墜落にあたります。
多くのエコノミー型で対象外になるのは、次の2つを足した範囲です。
- 相手が「物」の衝突(電柱・ガードレール・建物など)635,927件/28.1%
- 転覆・墜落 161,607件/約7.1%
合わせて797,534件、約35%。車両保険で保険金が支払われた事故のおよそ3件に1件強が、エコノミー型では自己負担になる計算になります。
相手が「物」の衝突 28.1%(635,927件)
+ 転覆・墜落 約7.1%(161,607件)
= 約35%(797,534件)
これは損害保険料率算出機構が公表している数値そのものではなく、同機構の第25表と第26表を当サイトで突き合わせて算出した推計値です。機構の資料に「エコノミー型の対象外割合」という項目はありません。また当て逃げ・自転車との衝突の扱いは会社によって異なるため、実際に対象外となる範囲は保険会社・商品・保険始期日によって前後します。
この計算が成り立つことは、逆算でも確かめられます。第25表の「自動車単独」754,889件に事故類型不明分15,114件を足すと770,003件。一方で第26表の盗難4,041件+台風等6,874件+その他597,481件に、上で求めた転覆・墜落161,607件を足しても770,003件です。2つの表はぴったり一致します。
この数字の限界
もっとも、この35%をそのまま自分のリスクとして受け取るべきではありません。
これは全国のすべての契約を平均した値です。運転する場所や頻度、駐車環境によって、単独事故の起こりやすさは大きく変わります。狭い路地や機械式駐車場を毎日使う人と、広い駐車場しか使わない人では前提が違います。
当て逃げや自転車との衝突の扱いが会社ごとに異なることも、すでに触れたとおりです。契約する商品によって、対象外になる範囲はこの35%から前後します。
実際にはどちらを選ぶ人が多いのか
前提として、車両保険自体の普及率を確認します。同資料の第18表(2025年3月末時点)によると、次のとおりです。
| 用途・車種 | 車両保険の普及率 |
|---|---|
| 自家用普通乗用車 | 64.3% |
| 自家用小型乗用車 | 52.9% |
| 軽四輪乗用車 | 49.6% |
普通乗用車では6割強、軽自動車では5割程度が車両保険を付けています。
ではそのうち何割が一般型を選んでいるのか。残念ながら、一般型とエコノミー型の選択比率を業界全体で集計した統計は公表されていません。同機構の統計も、車両保険を付けているかどうかまでで、タイプ別の内訳には踏み込んでいません。
一部の保険会社は自社契約者の内訳を公式サイトで公表しており、そこでは一般型を選ぶ人が7割前後という水準が示されています。ただしこれは一社ごとの数字で、商品設計や顧客層によって変わります。業界全体の傾向として断定できる材料ではありません。
いずれにしても、多数派だから正しいという話ではありません。
保険料はどのくらい違うのか
なぜ一律に「〇円安くなる」と言えないのか
エコノミー型にすると保険料は下がります。ただ、その差額を一律の金額で示すことはできません。車両保険の保険料は、次の要素が組み合わさって決まります。
- 車の型式別料率クラス
- 車両保険金額(契約時に設定する車の価額)
- 年式
- ノンフリート等級
- 免責金額の設定
- 年齢条件・運転者限定の範囲
なかでも影響が大きいのは型式別料率クラスと車両保険金額です。同じ「エコノミー型に変える」という操作でも、車種が違えば効果はまるで変わります。仕組みについては型式別料率クラスで保険料が変わる仕組みとはで解説しています。
各社が公表している表現を横断して見る
各社が保険料差についてどう説明しているかを見ると、踏み込み方の限界が分かります。
公式サイトの説明はどこも似ています。「対象となる車両事故を限定することで保険料が割安となります」「保険料を抑えられます」といった定性的な表現が並ぶだけで、金額には踏み込みません。
条件を固定した具体的な差額を公表している会社は、確認した範囲では見当たりませんでした。ネット上では「一般型はエコノミー型の2倍」といった数字を見かけることもありますが、出典をたどれるものは少なく、仮に実例だとしても特定の条件下での1件にすぎません。自分の契約に当てはまる保証はどこにもありません。
自分の差額を確かめる手順
結局、自分の差額は自分の条件で試算するしかありません。手順自体は難しくありません。
- 見積もりサイトまたは保険会社のサイトで、車種・年式・等級・年齢条件を入力する
- 車両保険を「一般型」で試算し、保険料を記録する
- 車両保険のタイプだけを「エコノミー型」に変えて再試算する
- 2と3の差額が、自分の場合の実際の差額になる
コツは、タイプ以外の条件を動かさないことです。免責金額や運転者限定を同時にいじると、どの操作がいくら効いたのか分からなくなります。
差額が出たら、金額だけを見て決めないでください。次の観点とあわせて判断します。
| 見るポイント | 一般型 | エコノミー型 | 判断のしかた |
|---|---|---|---|
| 年間保険料 | 高い | 安い | 差額が単独事故の自己負担リスクに見合うか |
| 単独事故の補償 | あり | 原則なし | 修理費30万〜50万円を自分で払えるか |
| 免責金額 | 設定できる | 設定できる | タイプ変更とは別の手段。同時に動かさない |
| 向いている人 | 新車・高年式・ローンあり | 古い車・車両保険金額が小さい | 車両保険金額を基準に考える |
たとえば差額が年間1万円だとして、単独事故で40万円の修理費が出る可能性を引き受けられるかという比較になります。逆に車両保険金額が30万円しかない車なら、そもそも受け取れる上限が低いので、差額を取りにいく判断に傾きます。
保険料を下げたいなら、エコノミー型にする前に免責金額も比べる
保険料を下げる手段として、タイプ変更と免責金額の設定はよく並べて語られますが、性質が違います。
タイプ変更は「どの事故を対象にするか」を変える操作です。免責金額の設定は「対象の事故で自己負担をいくらにするか」を変える操作です。前者は特定の事故で保険金がゼロになり、後者はどの事故でも一定額を自己負担します。
小さな傷は自分で直すつもりだが単独事故の大きな修理費は避けたいという方なら、一般型のまま免責金額を上げるほうが目的に合います。単独事故の補償を残したまま保険料を下げられるからです。詳しくは車両保険の免責金額とは?自己負担額はいくらにしたらよいかをご覧ください。
一般型とエコノミー型の差額は、車種・年式・等級・免責金額によって大きく変わります。「エコノミー型にするといくら安くなるのか」は、自分の条件で見積もってみるのが最も確実です。複数社をまとめて比較すれば、タイプを変える前に他社に替えるほうが効く場合も見えてきます。
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【診断チャート】一般型とエコノミー型どちらを選ぶか
次の5問に答えてください。
Q1 ローンまたは残価設定クレジットが残っていますか
Q2 運転歴が3年未満、または運転に不安がありますか
Q3 車両保険金額が概ね100万円を超えますか
Q4 狭い駐車場や狭い道の運転が日常的にありますか
Q5 保険料を下げないと車両保険自体を外すことになりますか
判定は次の4パターンです。
Q1からQ4のいずれかが「はい」、Q5は「いいえ」→ 一般型
単独事故の修理費を自己負担しにくい状況か、単独事故そのものが起こりやすい状況です。ここで保険料を優先すると、実際に事故が起きたときの負担が重くなります。
Q1からQ4のいずれかが「はい」、Q5も「はい」→ 一般型のまま別の方法で保険料を下げる
補償を削るのは最後の手段です。まず免責金額の引き上げ、運転者限定の設定、他社との比較といった手を試してください。それでも維持できないと判断したときに限り、単独事故の自己負担を覚悟してエコノミー型に下げることになります。
Q1からQ4がすべて「いいえ」、Q5も「いいえ」→ エコノミー型で足ります
単独事故のリスクが低く、起きたとしても自己負担できる状態です。車同士の事故・火災・盗難・自然災害の補償は残るので、保険料を優先して構いません。
Q1からQ4がすべて「いいえ」、Q5が「はい」→ 車両保険を外す選択も検討
車両保険金額が小さく単独事故のリスクも低いなら、車両保険自体が必要かという段階から考え直す余地があります。判断基準は車両保険はいらない?必要になる基準にまとめています。
一般型を選んだほうがよい人
運転歴が浅い人・久しぶりに運転を再開した人
免許を取ってすぐの時期や、しばらく運転から離れていた時期に多いのが、車庫入れの失敗や狭い道での接触です。相手のいない単独事故ですから、エコノミー型では対象外になります。運転に自信が持てるようになるまでは一般型を選び、慣れてから見直すという順序が無理のない考え方です。
車庫入れや狭い道での運転が多い人
自宅の駐車場が狭い、通勤路に狭い交差点がある、機械式駐車場を毎日使う。どれか当てはまるなら、壁や柱への接触リスクは日常のなかにあります。先ほどの統計で相手が「物」の事故が28.1%を占め、しかも1件あたりの支払額が最も高かったのは、まさにこの種の事故です。
ローンや残価設定クレジットが残っている人
車が大きく壊れても、ローンの残債は消えません。修理費と返済が同時にのしかかる状況を避けるという意味で、補償範囲を狭めないほうが理にかないます。残価設定クレジットにはもう一つ事情があって、返却時の車両状態に条件があるぶん、修理を先延ばしにしづらいのです。
運転者を家族などに限定していない人
自分以外の人がハンドルを握る機会があるなら、その運転技量まで自分で管理はできません。誰が運転しても補償される状態にしておくのが無難です。
車両保険金額が大きい車に乗っている人
新車や高年式の車は車両保険金額が大きく、単独事故でも修理費が高額になりがちです。新車の場合は新車特約との組み合わせも検討の対象になります。
エコノミー型でも困りにくい人
車両保険金額が小さくなった車に乗っている人
年式が古くなると車両保険金額は下がり、受け取れる保険金の上限も下がります。修理費の一部しか出ないのであれば、単独事故の補償に保険料を払う意味は薄くなります。車両保険金額の考え方は車両保険金額とは?いくらがいいの?で解説しています。
運転者を本人・夫婦に限定していて運転歴も長い人
運転するのが自分と配偶者だけで、どちらも運転歴が長いという条件なら、単独事故のリスクは相対的に低くなります。運転者限定そのものが保険料を下げる要素でもあります。タイプ選びと合わせて考えるとよいでしょう。
年間走行距離が短く、運転環境のリスクが低い人
週末に近所へ買い物に行くだけ、駐車場は広い平置き。こうした使い方なら、単独事故の機会そのものが少なくなります。ただし走行距離が短くても、狭い駐車場を使っているなら話は別です。距離だけで判断せず、どこを走るかで考えてください。
保険料を下げないと車両保険自体を外すことになる人
保険料の負担が重いとき、選択肢は「一般型を続ける」か「車両保険を外す」かの二択に見えがちです。しかしエコノミー型は、その中間に置ける選択肢です。
車同士の事故、火災、盗難、台風といった補償は残したまま保険料を下げられます。車両保険を丸ごと外して何も補償がなくなるよりは、現実的な妥協点になり得ます。外すこと自体を検討している段階の方は車両保険いつまでつける?外す際の注意点と保険料を下げる方法もあわせてご覧ください。
「エコノミー型」の呼び方と自分の契約の確認方法
呼称は業界で統一されていない
「エコノミー型」という言葉は、実は業界の共通語ではありません。同じ設計の商品を、会社ごとに違う名前で呼んでいます。自分の契約を探すときは、次のどれかに当たると考えてください。
| 区分 | 使われている呼称の例 |
|---|---|
| 一般型に相当するもの | 一般型/一般条件/一般タイプ/一般補償/ワイドカバー型/フルカバー型 |
| エコノミー型に相当するもの | エコノミー型/エコノミー/車対車+A/車対車+限定A/限定タイプ/限定カバー型/10補償限定特約 |
| さらに補償を絞ったもの | 全損のみカバー型/全損のみ補償 |
呼び名が違うだけで、補償の設計思想はどれも同じです。「一般型」側は補償範囲を絞らず、「エコノミー型」側は相手が自動車の事故を軸に絞っています。名前が違うために自分の契約がどちらなのか分からなくなっている方は、この一覧と照らし合わせてみてください。
なお呼称は商品改定や会社の統合・商号変更で変わることがあります。最終的にはご自身の保険証券と、契約先の公式サイトの記載でご確認ください。
用語としての定義は一般タイプと車両保険の解説にもまとめています。
会社によって選べる選択肢の数が違う
一般型とエコノミー型の二択とは限りません。会社によっては、この2つに加えて「全損のみ補償するタイプ」を第3の選択肢として用意しています。車が全損になったときだけ保険金が出るという、エコノミー型よりさらに絞った設計です。
保険料は下げたい、でも車両保険は残したい。こうした選択肢を持つ会社なら、その中間を探せます。
自分の契約がどちらか確かめる方法
すでに契約している方は、保険証券または契約内容確認書の「車両保険」の欄を見てください。次のような語が入っていれば、エコノミー型に相当します。
- 車対車+A、車対車+限定A
- 限定タイプ、限定カバー型
- 「10補償限定」の記載
何も付いていない、あるいは「一般」「一般条件」「一般補償」と書かれていれば一般型です。
エコノミー型で対象外の事故を起こしたらどうなるか
修理費は全額自己負担になる
エコノミー型で電柱にぶつけた場合、車両保険から保険金は出ず、修理費は自分で負担することになります。修理費が10万円でも50万円でも、支払われるのは0円です。保険料の安さと引き換えに、この負担を受け入れられるかが判断基準になります。
ただし「何も出ない」わけではありません。同じ事故でガードレールを壊したなら、その賠償には対物賠償責任保険が使えます。自分や同乗者がケガをしたなら人身傷害保険や搭乗者傷害保険の対象です。使えなくなるのは自分の車の修理費に対する補償だけです。
車両保険を使わなければ、その分の等級ダウンはない
見落としがちですが、補償されないことには思わぬ利点もあります。車両保険を使わなければ、車両保険による等級ダウンはありません。
車両保険を使って修理した場合、事故の内容によって1等級または3等級ダウンし、あわせて事故有係数期間が付きます。翌年以降の保険料は上がります。修理費が数万円程度なら、一般型でも「使わずに自分で払ったほうが得」という判断になることがあります。
つまりエコノミー型で対象外になった事故のうち金額が小さいものについては、一般型で契約していたとしても、結果的には保険を使わず自己負担で済ませていたというケースが考えられます。
ただし同じ事故で対物賠償責任保険などを使った場合は、そちらで等級が下がります。車両保険を使わなかったことが、そのまま等級据え置きを保証するわけではありません。詳しくは自動車保険の等級とはと等級ダウン事故をご覧ください。
タイプは契約途中でも変更できるか
多くの会社では、契約期間中の変更または更新時の変更に対応しています。ただし手続きの方法や変更できるタイミングは会社・商品によって異なるため、契約先に確認してください。
見直しの機会として分かりやすいのは、車を買い替えたときです。車両保険金額が変わるので、タイプの妥当性も一緒に変わります。手続きについては車を買い替えたら自動車保険はどうなる?と入替の自動補償特約(車両入替)を参照してください。
まとめ
迷ったら一般型です。エコノミー型が合理的なのは、単独事故の修理費を自己負担できて、車両保険金額が小さく、ローンが残っておらず、運転環境のリスクも低いという4条件がそろった場合に限られます。
判断の核は「電柱やガードレールにぶつけたときの修理費を自分で払えるか」の一点です。補償範囲の一覧を細かく見比べるより、この問いに答えるほうが早く結論に近づきます。
数字の要点をもう一度整理します。
- 車両保険が支払われた事故のうち、相手が自動車だったのは36.7%
- エコノミー型で対象外になる事故は、支払件数の約35%(当サイト算出)
- 相手が「物」の事故は1件あたり平均約47万円で、4区分のなかで最も高い
- エコノミー型でも補償される盗難・台風等は件数では0.5%だが、盗難は1件あたり約299万円
- 車両保険そのものの普及率は自家用普通乗用車で64.3%
そして、当て逃げや自転車との衝突がエコノミー型で補償されるかは会社によって違います。この2つが判断材料になる方は、必ず契約先の約款で確認してください。
タイプが決まったら、次は同じ条件で複数社を比べる段階です。補償範囲が同じでも保険料は会社によって差が出るため、一般型を維持したまま負担を下げられることもあります。
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よくある質問
投稿者プロフィール
- 経歴:大手損害保険会社に勤務後、弁護士事務所で秘書として交通事故訴訟の調査に従事





