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事故の相手が自動車保険に入っていなかった場合でも、自分がかけている自動車保険の補償は受けられる?

事故の相手が自動車保険に入っていなかった場合でも、自分がかけている自動車保険の補償は受けられる?

相手が自動車保険に入っていなかった…被害者はどうなる?

1)事故相手が自動車保険に入っていなかった…その確率は?

自動車保険は、ほとんどの人が加入しています。
しかし、事故の加害者となる人の中には、一定数、無保険の人が存在しているのも事実です。
損害保険料率算出機構によると、任意保険の対人賠償保険の普及率は88.3%。 つまり、事故に遭った場合、約10%以上の確率で相手は無保険ということになります。

損害保険料率算出機構 自動車保険の概況(2021年4月発行)
https://www.giroj.or.jp/publication/outline_j/j_2020.pdf#view=fitV

参考:自賠責保険と任意保険

自動車保険は、加入が義務付けられている「自賠責保険」と、任意で加入する「任意保険」によって成り立っています。
一般的に“自動車保険に加入している人”とは、強制保険と任意保険にセットで加入している人のことを指します。
自賠責保険は、「強制保険」とも言われ、加入しない状態で車を運転すると法律により罰せられます。
これは交通事故の被害者を救済するための制度であり、補償を受けられるのはあくまで人身に関する賠償のみとなります。
一方、任意保険は、その名の通り加入は任意となります。
任意とは言っても、車両保険・対人賠償・対物賠償・ロードサービス・レンタカー特約など、実際、事故に遭った際に必要不可欠な補償ばかり。
また、事故相手との交渉を行う【示談交渉サービス】の提供が受けられるのも任意保険のみ。
テレビCMでは、女性の電話オペレーターが事故受付やレッカー手配の提案を行っているシーンをよく見かけますが、自賠責保険会社ではこのような対応を行うことはありません。

2)相手が無保険の場合、被害者はどうなる?

それでは、事故相手が自動車保険に入っていなかった場合、被害者はどうなってしまうのでしょうか?
結論は、事故や損害の状況によって様々なケースが想定されるので一概には言えません。
そのため、今回は、よくある事故ケース(ex.「信号待ち停車中、後方の相手車に追突を受けた」「交差点を直進中に、赤信号無視の相手車に接触を受けた」)=全く自分に過失がない事故(0:100)を例に解説します。
自分が完全な被害事故に遭ってしまい、自分の車の修理費・ケガの治療費がかかることを想像しながらご確認ください。

@相手が無保険の場合、相手の賠償責任はどうなる?

相手が任意保険に加入していなかったとしても、相手側に賠償責任があることは変わりありません。
そのため、加害事故を起こした相手に対して、自分の車の修理費用やケガの治療費を請求することが可能です。
ただし、相手が任意保険に加入していない場合、費用請求は相手に対して直接行うことになる訳ですが、実際にその請求に応じてくれるかは相手次第ということになります。
というのも、車の損傷状況やケガの程度にもよりますが、賠償にかかる費用は数万円程度では済まないことも多くあります。
数十万円、もしくは数百万円(さらには数千万円ということも…)もの金額を、日頃、任意保険に加入していない人がスムーズに支払うことができるでしょうか?
ちなみに、相手が任意保険に加入せず自賠責保険のみに加入していた場合、治療費・通院交通費・慰謝料など人身に関する補償は、相手の自賠責保険会社に請求することが可能です。
これを自賠責保険の「被害者請求」と言いますが、あくまで請求できるのは人身に関する賠償補償のみ。
相手の賠責保険会社に、車の修理について相談をしても一切応じてくれることはありません。
また、警察は民事不介入の原則から、過失割合の判断や示談交渉などは行ってくれません。
つまり、相手側が100%の加害事故だったとしても、賠償費用を支払ってくれないというケースや、そもそも相手がその責任を認めないというケースもあるのです。

A相手が無保険の場合、自分の保険会社は交渉してくれない?

自分が被害事故に遭い、相手が無保険だった場合、さらに被害者を不安にさせる要素が、自分が加入している保険会社は相手との交渉を行わないという点です。
保険会社は、法律上、事故の加害者側に対して賠償を求める行為を行うことが出来ません。 このような行為は、弁護士法上、弁護士のみに認められているためです。
保険会社が行っている「示談交渉サービス」とは、あくまで契約者側が相手側に対して賠償を行う場合のみ可能なサービスなのです。
それでは、自分が完全な被害事故に遭ってしまい、相手が無保険だった場合、どうすれば良いのでしょうか?
被害者という立場であっても、車の修理費や治療費にかかる金額はすべて立て替えをして、苦労しながら相手側への請求交渉を自分自身で行い、場合によっては泣き寝入りをしなければいけないのでしょうか?
いえ、答えは「No」です。

相手が自動車保険に入っていなかった場合も、有効な自動車保険の補償内容・特約・サービスは?

相手が自動車保険に入っていなかった場合も、自分がかけている自動車保険で有効となる補償内容・特約(オプション)・サービスがあります。
また、契約者側が被害事故に遭った場合、保険会社は相手との交渉を行うことはできませんが、契約者の相談に乗ること・アドバイスを行うことは可能です。
もちろん、被害者という立場ですから、自分が加入している保険・サービスを利用することには大きな抵抗を感じるかもしれません。
しかし、補償内容・特約・サービスによっては、利用しても等級・保険料への影響がないものもあります。
自分自身と家族を守るためにも、以下に紹介する補償内容・特約・サービスなどは必ず加入をしておきたいところです。

1)弁護士費用特約

弁護士費用特約は、相手方に法律上の損害賠償請求をする場合の弁護士費用や法律相談費用などを補償してくれる特約です。
自分が被害事故に遭ってしまった場合、事故の加害者側に対して賠償を求める行為を行うことができるのは弁護士のみ。
被害事故ケースでは、加入している保険会社は相手側との交渉窓口になることができません。
そんなときに有効となるのが、弁護士費用特約という訳です。
弁護士費用特約は、最大で300万円までを限度に負担してくれる保険会社が一般的ですが、保険会社によって少しずつ適用条件・限度額が異なる場合もあります。
そのため、弁護士費用特約の加入・見直しの際は、その補償内容や適用条件についても確認が必要です。
ちなみに、弁護士費用特約は、自分が契約車両に乗っていない場合、相手が無保険でない場合も利用することができます。
例えば、自分が歩行者で相手自動車との接触被害事故に遭ってしまった事故で、相手自動車保険会社と慰謝料などの交渉が難航するようなケースにおいても、この特約を利用することが可能です。

2)車両無過失事故に関する特約

車両無過失事故に関する特約は、自分が責任0(ゼロ)の事故で、相手が判明している場合に、車両保険を請求してもノーカウント扱いとなる特約です。
そもそも一般の車両保険は、自分自身の車を修理するための保険なので、仮に相手が無保険だった場合でも、車両保険を請求することで修理は可能となります。
ただし、次回更新の際に等級が下がり、保険料も上がる仕組みとなっています。
完全な被害事故で相手が相手無保険の場合、相手は修理費用をスムーズに支払ってくれないということが想定されますが、そんなときに有効となるのがこの車両無過失事故に関する特約なのです。
尚、車両保険に5万円や10万円などの免責金額(自己負担額)を設定している場合は、この車両無過失事故に関する特約を使用する際、免責金額が適用となります。

3)人身傷害保険

人身傷害保険は、自分や同乗者が死傷した場合の治療費・通院交通費・休業損害・逸失利益などを補償する保険です。
一般的に、交通事故によって病院で治療を受ける場合、レントゲン検査を受けることになります。
レントゲン撮影の費用は1回あたり数万円ほどかかり、さらに病院の窓口によっては「交通事故の場合、健康保険は使えません」と言われてしまうこともあります。
そのため、1回の診察だけでも高額な費用を被害者が立て替えをしなくてはいけない…というケースも決して珍しくはありません。
しかし、人身傷害保険に加入していれば、相手との交渉を待たずに加入の保険会社から治療費を支払ってもらうことが可能です。
仮に相手が無保険だった場合でも、被害者側で立て替えをした高額な治療費をスムーズに支払ってもらうことができるのです。

4)レンタカー特約

レンタカー特約は、保険契約をしている車両が事故に遭った際、修理期間中のレンタカー費用をサービス(無料)で利用できる特約です。
そのため、仮に相手が無保険だった場合も、自身のレンタカー特約を利用すれば、代車に困るということはありません。
ただし、レンタカー特約は、利用すると等級が下がって保険料が上がってしまう保険会社もあります。
レンタカー特約を利用する場合は、等級・保険料に影響がないか加入している保険会社に事前確認をしておく必要があります。
また、レンタカー特約は、例えば「日額5千円・30日間限度」といった利用条件があるのが特徴です。
日額5千円で借りることができるレンタカーは、コンパクトカーや軽自動車です。
つまり、普段、セダンや大きめの車に乗っている方にとっては、レンタカー特約では不都合となってしまう可能性があるという訳です。
一方、相手が任意保険に加入していれば、同等サイズのレンタカーの必要性を説明することで、相手保険会社に同等サイズのレンタカーを手配してもらえる可能性もあります。
やはり、相手が無保険で良い事は何ひとつ無いのですが、それでも最悪の状況を回避するために、上記に紹介した補償・特約などが必要となるのです。

まとめ

さて、今回は、事故の相手が自動車保険に入っていなかった場合、特に有効な自動車保険の補償内容・特約・サービスについて紹介しました。
事故に遭った際、相手が無保険である可能性は、“万が一”ではありません。
ほとんどの人が自動車保険に加入しているものの、一定数の人は自動車保険に加入していません。
そのため、自分自身は完全な被害者であっても、膨大な手間・時間・お金を負担することとなり人生が大きく狂わされてしまう可能性もあります。
自分自身と家族を守るためにも、自動車保険を加入・見直しする際は、保険料の安さだけではなく補償内容・特約についてもよく検討しながら選択しましょう。
そして、今回紹介した補償・特約は、漏れなく付帯することをオススメします。