ノンフリート等級別料率制度とはどんなしくみ?

自動車保険の保険料は一律に定められているものではなく、自動車の車種や運転者の年齢など、さまざまな要素を使って保険料を算出します。
保険料を決める要素の1つには「等級」と呼ばれるしくみも導入されており、保険料の割引・割増を左右しています。

では、等級のしくみを決めている「ノンフリート等級別料率制度」とは一体どのようなものでしょうか。この記事では、ノンフリート等級別料率制度のしくみを中心に、デメリット等級や事故有係数適用期間についても詳しく解説します。

この記事でわかること

  • 契約者の事故実績に応じて等級が決まる
  • 等級ごとに保険料が割引・割増される
  • 事故を起こすと等級が下がる
  • 無事故でいると等級が上がっていく
  • 事故を起こさないように安全運転を心がけることで、保険料を安く抑えることができる

ノンフリート等級別料率制度とは?

自動車保険は任意保険の一種で、自賠責保険のように保険料が予め定められているものではありません。
車種や運転者の年齢、免許証の色など、さまざまな要素を使って保険料が決められています。
保険料を決める重要な要素として、「等級」とよばれるしくみも導入されており、各保険会社は「ノンフリート等級別料率制度」を活用して保険料の割引・割増を決定しています。
では、ノンフリート等級別料率制度とは一体どんなしくみでしょうか。

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ノンフリート契約とフリート契約の違い

自動車保険の契約方法は、2つに分けられています。
1つは「ノンフリート契約」、そしてもう1つは「フリート契約」です。
ノンフリート等級別料率制度は、ノンフリート契約に適用されている制度で、フリート契約にはありません。

1.ノンフリート契約とは

ノンフリート契約は所有している自動車の台数が「9台以下」の方に適用される自動車保険契約方法です。
一般的に広く知られている等級のしくみが適用されます。

2.フリート契約とは

9台以上の車を所有すると、等級のしくみは適用されなくなります。
その代わりに、「フリート契約者料率制度」という料率制度が適用されます。

ノンフリート契約とフリート契約はご自身で選べる契約方法ではありません。
9台以上所有した時点で、自動的にフリート契約に移行します。
複数の保険会社に自動車保険の契約を分散させていても、フリート契約に移行されるしくみです。

ノンフリート等級別料率制度の概要

個人の契約として9台以上の車を所有している方は少なく、多くの方はノンフリート契約で自動車保険を締結しています。
では、ノンフリート等級別料率制度とは具体的にどんな制度なのでしょうか。
ノンフリート等級別料率制度は、1等級~20等級までの等級を用意し、事故の実績によって割引・割増率を算出するしくみです。
この基準は多くの保険会社が導入しています。
現在ご契約されている自動車保険の等級は、次年度別の保険会社で契約をしてもリセットされず、継承されます。

ただし、保険会社間でも等級継承ができない契約もあります。
一部の共済は独自のしくみを確立しているため、等級継承ができないためご注意ください。

では、多くの保険会社では、等級をどのように決めているのでしょうか。

新規契約は6等級からスタート

初めて自動車保険に加入する場合、ノンフリート等級別料率制度がある保険会社では、6等級からスタートします。
全くの新規契約の場合は6(S)等級と表示されます。Sは新規契約を意味するものです。
たとえば、継続契約で6等級に至った場合は、6(F)等級と表示されます。

  • 新規で自動車保険契約→6(S)等級からスタート。事故が無ければ次年度7(F)等級。事故があると3等級へダウンする。
  • 1~5等級の自動車保険契約→1等級ずつ上がり、6等級になると6(F)等級。

新規契約でも7等級が適用される場合もある

新規契約時に7等級からスタートできる場合もあります。
条件としては、「セカンドカー割引」が適用されるケースです。
セカンドカー割引とは、すでにご家族やご自身が1台目の車を所有し、2台目の車に新規自動車保険を加入する場合に適用されるサービスです。

1台目と2台目は別の保険会社で契約していても適用されます。
1台目の車両は11等級以上、自家用8車種に該当し、車両の所有者は個人のみが対象です。
また、2台目の車両の所有者は、1台目の契約と同じ方、もしくは配偶者や同居の親族が該当します。
セカンドカー割引があれば、1等級お得にスタートでき、7(S)等級で加入できます。

等級は情報交換制度によって各保険会社間で共有されている

自動車保険のノンフリート等級別料率制度は、一部保険共済を除き、多くの保険会社・共済が情報を共有しています。
保険会社間で等級を引き継げるしくみのため、事故歴などがわからなければ正しい等級が設定できないためです。

【情報交換制度で共有している情報】
1.前年度の事故歴 (ノーカウント事故含む)
2.前年度の等級、事故有係数適用期間
3.前年度に加入していた保険会社名
4.証券番号や契約者、被保険者に関する氏名や住所
5.車両の情報(登録番号や車台番号など)
6.保険期間
7.解約や解除の有無

情報交換制度では、前年度の自動車保険について、次年度の等級を判定する際に必要な情報を共有しているため、契約者が申告した内容と情報との間で差異がある場合は、正しい契約内容に修正する必要があります。
例として、前年度が6等級、次年度は事故が無かったため7等級の方が、別の保険会社で契約した際に前年と同じ6等級で加入してしまったら、次年度の保険会社は「7等級へ契約を修正してください」と連絡しています。

前年と同様の保険会社で自動車保険を締結している場合には起きない修正ですが、契約を他社へ移す際にはこうしたミスが頻繁に起きています。
等級も含めて、正しい契約内容を申告するように注意しましょう。

解約や解除されると等級はどうなるの?

等級の情報交換制度は、契約者の申告ミスを防ぐためにも運用されている制度です。共有されている情報の中には、「解約や解除」についての情報も含まれます。

【1.解約とは】

自動車保険は保険期間の途中であっても解約できます。契約期間の途中であっても、別の保険会社に移ることも可能です。
また、車両の処分や売却によって自動車保険が不要になった場合は、等級を保存することもできます。
解約にともなう等級継承は、以下の点に注意しましょう。

  • 別の保険会社で自動車保険に加入する場合、解約日(満期日)の翌日から7日以内に次の契約の保険始期日がないと引き継げません。
  • 現在の等級を保存する場合、中断証明書の発行が必要です。自動的に発行されるものではないためご注意ください。

中断証明書は現在の車両の売却や譲渡などによって、しばらくの間は車に乗らないことが発行条件です。
海外駐在や留学による中断証明書の発行も認められています。解約日(満期日)の翌日から最大10年間、等級が保存できます。
中断証明書があれば、新規で自動車保険に再び加入する際には、保存時の等級から加入できます。
なお、保存できる等級は7~20等級を保存対象としていることが一般的です。
せっかく20等級で解約をしても、中断証明書が無ければ再び6(S)等級から加入する必要があります。

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自動車保険を途中解約する場合の注意点と解約返戻金について

【2.解除とは】

自動車保険は契約者が守るべき義務を履行しない場合、保険会社側が保険期間の途中であっても契約を一方的に解除できます。
例として、以下のようなケースが該当します。

  • 告知義務違反
  • 通知義務違反
  • 重大な事由の発覚
  • 保険料の不払い

解約とは異なり、契約者に何らかの悪質な行為があった場合には、保険会社は契約を解除しています。
故意に事故を起こす、悪意を持って契約内容に虚偽の申告を行っていた、などのケースが該当します。
特に多いケースは保険料の不払いです。
保険料が口座から落ちず、解除となってしまうと、払っていた期間にまで遡って契約が解除されます。
なお、解除は等級継承ができません。
別の保険会社で契約し直そうとしても、情報交換制度によって解除の情報は共有されています。

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自動車保険の解除とは?知らないと損するポイント

デメリット等級とは

自動車保険の新規契約は6等級であることから、6等級以下の等級は事故によって等級ダウンが合ったことを意味します。
そのため、1~5等級は「デメリット等級」と呼ばれています。
デメリット等級の一部は保険料に割増率が適用され、保険料が高くなっています。
デメリット等級は各保険会社間で情報が共有されており、等級を継承する必要があります。
リセットには前契約から13カ月以上の経過が必要です。

デメリット等級で自動車保険に加入しようとすると、過去の事故歴の情報などを踏まえると、保険会社が契約を断る場合もあります。(引受制限)
また、車両保険など一部の補償はできないことを条件に、加入ができる場合もあります。(引受注意)

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【等級】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
等級とは?自動車保険の基礎知識|等級ごとの割引率は?

ノンフリート等級別料率制度の割引・割増のしくみとは

ノンフリート等級別料率制度では、1~20等級まで用意されており、1年間の保険契約の中で無事故だった場合に1等級上がっていきます。
一方で、事故があり保険金の支払いが発生した場合は、3等級、もしくは1等級ダウンします。
では、ノンフリート等級別料率制度の各等級における割引・割増とはどのようなものでしょうか。

等級別の割引・割増表(参考例)

下記は等級別の割引・割増率を表示した表であり、%が適用されています。
1~4等級には割増率、5等級~20等級には割引率が適用されます。
各等級の割引率は一部を除き、無事故と事故有では割引率が異なっています。
なお、等級別の割引・割増率については各保険会社によって異なります。

等級12345678910
無事故10863387-2-13-27-38-44-46
事故有10863387-2-13-14-15-18-19
等級11121314151617181920
無事故-48-50-51-52-53-54-53-56-57-63
事故有-20-22-24-25-28-32-28-46-50-51

20等級に達すると大きな割引を得られることが特徴ですが、無事故か事故有かによって割引率が異なっています。
では、どうして同じ等級であっても事故の有無によって適用される割引率は異なっているのでしょうか。

同じ等級でも無事故・事故有で割引率が違うのはなぜ?

ノンフリート等級別料率制度は、2012年10月までは等級ごとに割引・割増率が定めており、事故の有無によって割引率を分けるものではありませんでした。
しかし、自動車保険の契約者の中で公平性を保つために、契約者の事故の実績に応じて等級だけではなく、事故の有無によっても割引率を変えるしくみが導入されました。
従来のしくみを大きく変更した背景には、自動車事故を起こした人が支払う保険料の負担率を重くする意図があったためです。

それまでの等級を細かく分析すると、同じ等級であっても事故の有無によってリスクの実態は大きく乖離していました。
保険料支払いの不平等が事故を起こしていない契約者にのしかかっていた事実を、是正するために事故の有無によって割引率を変えたのです。
事故の無い方を優遇し、事故があった方は割引率が抑えられています。

参考サイト:損害保険料率算出機構
自動車保険参考純率改定説明資料

事故有係数適用期間とは

等級に加えて事故の有無によって割引率の際を設けたタイミングで、各保険会社は「事故有係数適用期間」と呼ばれるしくみも導入しました。
事故有係数適用期間とは、事故の発生により割増率を適用する期間を定めたものです。
上限は6年とされています。

新規契約者は前年契約が無いため、事故有係数適用期間は0年としてスタートします。
等級と同様で、事故有係数適用期間も情報交換制度によって各保険会社間で共有されます。

具体的に20等級の自動車保険の契約者が事故を起こしたと仮定し、事故有係数適用期間はどのように計算されるのか解説します。

20等級の契約者が3等級ダウン事故を起こした場合

3等級ダウン事故が起きると、翌年現在の等級から3つダウンします。

【20等級→17等級】

その後、事故が無ければ3年後に20等級まで回復します。

【17等級→18等級→19等級→20等級】
事故の翌年から起算し、3年後に元の等級に戻ります。
この3年間について「事故有係数適用期間」と呼びます。回復後は無事故としての割引が適用されます。

20等級の契約者が1等級ダウン事故を起こした場合

1等級ダウン事故が起きると、翌年現在の等級から1つダウンします。

【20等級→19等級】

その後、事故が無ければ1年度に20等級まで回復します。
回復後は3等級ダウン事故と同様で、無事故割引が適用されます。

【19等級→20等級】
事故の翌年から起算し、1年後に元の等級に戻ります。この1年間についても、「事故有係数適用期間」に該当します。

20等級の契約者がノーカウント事故を起こした場合

では、20等級の契約者がノーカウント事故を起こした場合はどうなるでしょうか。
ノーカウント事故は等級が下がらない事故を意味するため、等級は20等級のままで翌年も継続します。
事故有とはみなさないため、事故有係数適用期間は0年のままです。無事故割引が翌年も適用されます。

人身傷害保険などの請求時はノーカウント事故

等級がダウンすると、事故有係数適用期間も含めてしばらくの期間は保険料が高くなってしまうため、事故発生後は保険金請求をためらう人も多いでしょう。しかし、トラブルに備えて加入する自動車保険だからこそ、適切に活用することも大切です。
特に高額の損害賠償請求が発生する場面では、示談交渉も依頼できます。重い負担となる損害賠償金も、保険金で支払えるため安心です。
心理的にも負担が減り、大きなメリットがあります。

また、人身傷害保険や、弁護士費用特約など、一部の保険や特約は保険金請求を行ってもノーカウント事故であり、等級のダウンもなく事故有係数適用期間にも該当しません。
万が一の時に備えている自動車保険は、適切に活用しましょう。

交通事故にも使える弁護士保険

等級は高いのに保険料が高いのはなぜ?

割引率が高く、事故も無いにもかかわらず自動車保険の保険料が上がってしまう場合があります。
「優良ドライバーなのに、どうして保険料が値上がりしたのだろう」と疑問に思う方もいるでしょう。
では、等級が高くても自動車保険料が下がらない背景には、一体どんなことが考えられるでしょうか。

自動車保険料を決める要素とは

自動車保険は等級以外にも、運転者の年齢や保険を付帯する車の「型式別料率クラス」なども影響しています。
運転免許証のカラーや、補償内容なども保険料を左右します。
前年同条件で保険を更新(更改)したのに保険料が上がっている、という場合、多くのケースでは「型式別料率クラス」が影響しています。

型式別料率クラスとは

損害保険料率算出機構は、車の型式事に事故の実績を分析し、保険料の割増・割引率を算出しています。
対象となる車種は自家用普通乗用車・自家用小型乗用車・自家用軽四輪乗用車
の3車種です。たとえば、お乗りになられている方が多いトヨタプリウス(型式・MXWH60)の型式別料率クラスを見てみましょう。
同じ車種でも型式は複数あるため、ご自身の型式別料率クラスを見る時は、必ず車検証を確認してください。

保険始期2023年1月1日~12月31日
補償内容料率クラス
対人賠償責任保険7
対物賠償責任保険7
人身傷害保険9
車両保険10
AEB の装着による保険料の割引対象

型式別料率クラスは保険の始期ごとに1年単位で料率が公表されています。
数字が小さければ小さいほど、保険金支払い実績が少ないことを意味します。
上記のプリウスの場合、車両保険の料率クラスが高い傾向にあります。つまり、車両保険を使用した保険金支払いがある事故が多いのです。

型式別料率クラスは、車の不具合や故障率を見るものではありません。
安全性能は高くても、車のユーザー層よって事故率は上がります。「型式別料率クラスが高ければ安全性能が低い」という意味ではありません。
料率クラスは年に1度更新されているため、前年同条件で等級が上がっていても、お乗りになられている車が前年度多くの事故を起こしている場合、保険料が上がってしまうことがあります。
型式別料率クラスはご自身で調べることも可能です。
下記リンクをご参考ください。
参考サイト:損害保険料率算出機構 型式別料率クラス

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【型式別料率クラス】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
型式別料率クラスで保険料が変わる仕組みとは?

まとめ

この記事では「ノンフリート等級別料率制度」に注目し、等級の割引・割増率にも注目しながら詳しく解説を行いました。
等級は上がれば上がるほど、自動車保険に大きな割引率が適用されますが、事故の有無によって適用される割引率は異なります。

事故有係数適用期間も設けられているため、事故を起こすと一定期間は保険料が高くなる可能性があるためご注意ください。
また、車の型式別料率クラスなどによって、等級は高くても保険料が上がることもあります。
保険料が気になる場合は、契約先の保険会社や補償内容も含めて、適宜見直すことがおすすめです。

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