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自損事故は自動車保険の補償対象なの?

自損事故は自動車保険の補償対象なの?

自損事故とは別名・単独事故とも呼ばれています。
自車を電柱やガードレールにぶつけてしまったり、自宅の車庫で擦ってしまったりと、相手が不在の事故のことを指す言葉です。
交通事故は「車対車」や「車対バイク」のイメージが強いですが、意外に単独事故も多く、冬季に多いスリップによる田畑等への転落事故やハンドル操作ミスによる中央分離帯への飛び込みなども自損事故に該当します。
自動車を運転する以上は、ご自身が自損事故を起こすリスクは常に存在していると言えるでしょう。

交通事故を分析する警察庁交通局が発表した「令和3年における交通事故の発生状況等について」を参考にすると、交通事故死者数等の特徴として自動車の場合、事故類型別では車両単独が5割以上を占めているとされます。
高齢運転者による単独事故も多くなっており、運転操作のミスの割合も高いとされています。

では、もしも自損事故を起こしてしまった場合には、自動車保険の補償対象となるのでしょうか。
今回の記事では自損事故と自動車保険の補償について、詳しく解説します。

参考URL 警察庁交通局 「令和3年における交通事故の発生状況などについて」
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/jiko/R03bunseki.pdf

自損事故(単独事故)とは?

自損事故は相手方がいない、運転者の操作ミスや急病などで起きてしまう事故を指します。
交通事故は車対車、車対バイクなど、相手方がいるイメージが強いですが、単独事故の場合は「自身の過失によって発生する事故」です。また、「車対自転車」や「車対人」のように、車両を人にぶつけてしまう人身事故とも異なります。
そのため、基本的に自損事故は物損事故として、任意保険上では処理が進められます。

自損事故は自宅敷地内で起きる場合もありますが、電柱や商業施設にぶつけるなどのケースもあります。
この場合、他者や自治体などが所有する物に損害を与えているため、損害賠償責任が発生します。
場合によっては高額の損害賠償金を支払う必要があります。

実際に車両がテナントへ飛び込んでしまった単独事故では、1億円以上の高額損害賠償金の支払いが必要となったケースも存在しています。

自動車には強制保険として「自賠責保険」への加入が義務付けられていますが、自賠責保険はあくまでも「被害者の死亡やケガの救済」を目的としている保険です。
ご説明のとおり、自損事故は運転者の過失による相手がいない事故のため、物損事故となり保険金の支払い対象にはなりません。
つまり、自損事故にしっかりと備えるためには自賠責保険だけではなく、自動車保険にも加入が必要なのです。
(ただし、自車の同乗者の方の死傷については自賠責保険の対象です)

>>自賠責保険

自損事故の具体例

自損事故とは具体的にどんな事故を指すのでしょうか。主な事故例は以下のとおりです。

【自損事故(単独事故)の一例】

  • ・自宅で車両をバック中に、ハンドル操作を誤って車庫にミラーをぶつけてしまった
  • ・運転中に気分が悪くなってしまい、誤って電柱に車両を衝突させてしまった
  • ・道路が凍結しており、スリップして溝に車両が転落した
  • ・ブレーキとアクセルを誤り、商業施設の一部に車両をぶつけてしまった

近年高齢者による単独事故が頻繁に報道されています。
日本では急速に高齢化が進んでおり、高齢者の事故は注目度が高まっています。
平成29年版内閣府の調査を参考にすると75歳以上の運転者による交通死亡事故のうち単独事故の割合が多くなっており、全体の4割を占めています。
この傾向は75歳未満の同条件下においては単独事故が占める割合が2割弱程度であることを比較すると、約2倍近く多いのです。

高齢者の交通死亡事故の中で単独事故だったケースを分析すると、運転を誤った結果によることがわかっています。
今後も高齢化社会は進行していくため、この傾向は更に強まると考えて良いでしょう。

自損事故を減らすにはどうするべき?

今後も高齢者をはじめとする自損事故が増加すると考えられている今、たとえ軽微な自損事故であっても減らしていくためにはどうしたらよいでしょうか。自損事故の原因を探ってみましょう

■注意力の低下や散漫を防ぐ

自動車の技術は向上しており、昔よりも格段に危険回避はしやすくなっています。
しかし、自損事故の多くは運転の過失によるものとされています。
その背景には、注意力の低下や散漫が挙げられます。
特に毎日運転をするようなドライバーの場合、慣れた道や慣れた車両だからこそ慢心しやすくなり、注意力の低下や散漫が原因で自損事故を起こす可能性があります。
運転をするからには、常に注意力を維持し、丁寧な運転を心掛ける必要があります。
先進的な技術を過信しないことが大切です。

■自分の運転ミスの傾向を分析する

自損事故は軽微な場合には自動車保険を使用してまでは修理しない方も多く、事故を起こしたことを忘れてしまう方も多いと考えられます。
自動車保険は保険金請求をしなければ等級ダウンもしないため、あえて使わないという判断は間違いではありません。
しかし、ちょっとした軽微な自損事故を繰り返している場合、いずれ大きな交通事故を引き起こす可能性もあります。
いつもバックの際にぶつけている、段差の判断ミスが多くバンパー(※1)の傷が多いなど、自分のミスは冷静に分析し、運転ミスは減らしていく努力をしましょう。

(※1)バンパーとは
自動車の車体の前後に付いているパーツ。フロント部分は事故時に車両と人命を守るために、ほとんどの車両に設計されている。バンパーは小傷が多い場合には何かしらの衝撃を受けたと考えられるため、事故の分析に応用できるパーツである。

参考URL 内閣府 平成29年版交通安全白書 特集 「高齢者に係る交通事故防止」PDF https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/h29kou_haku/pdf/zenbun/h28-00-special-01.pdf

自損事故を起こした時の対処法とは?

自損事故を起こしてしまったときには、一体どうすれば良いでしょうか。
事故例にも挙げましたが、自損事故は自宅の敷地内で起こしてしまうケースもあります。
また、誰も見ていない夜道で電柱にぶつけたなら、「誰も見ていないし…」と思ってしまうかもしれません。
しかし、自損事故であっても交通事故であることには変わりません。そこで、以下の対応が必要です。

■警察に届け出ること

自損事故も交通事故に該当するため、警察への報告義務があります。(道路交通法72条)
軽微な物損であっても、報告をすることが大切です。
人身事故と同様にまずは警察へ連絡をし、事故について申告してください。
事故後は動揺するかもしれませんが、警察が申告を求める内容(主に事故が起きた場所や、損害状況の確認)に応えれば大丈夫です。
自宅内の警備な損壊であってもまずは警察に連絡を入れましょう。

軽微な自損事故でも警察へ届出した方が良いの?

自損事故はちょっと擦ってしまった、程度の軽微な事故のケースが多く、よく見ないとわからない程度の傷しか車体に残らない場合があります。
「このぐらいなら警察への報告は不要」と感じるかもしれません。
しかし、警察に届けない場合、交通事故証明書が発行されないため、任意保険の支払いを受ける場合に手続きが煩雑化する、あるいは支払いを受けられない場合があります。
自損事故の偽装を疑われる可能性もあります。
また、電柱やガードレールなどを破損させているにもかかわらず、警察に届け出をせずに逃げてしまったら、当て逃げとなってしまう可能性もあります。
当て逃げとされると違反として点数が引かれ、免許停止処分が下されます。(過去に違反歴がある場合は免許取り消しとなる)
ためらわずに、きちんと警察へ報告しましょう。

■自損事故は処罰対象外

当て逃げは例外ですが、自損事故はきちんと報告を行えば違反対象にはならないため、免許証から点数は引かれません。
また、罰金を請求されることもありません。
慌てずに適切に地書すれば、損害賠償責任が発生するような自損事故でも処罰は求められません。

もし当て逃げをしてしまったら

では、もしも当て逃げをしてしまったらどうするべきでしょうか。
刑事処分が怖くなり、つい逃げてしまう…という事案は決して少なくありません。
もしも当て逃げしてしまった場合は、防犯カメラなどから車両が割り出されることがあります。 また、近年はドライブレコーダーが搭載されている車両も多く、現場を目撃した方が情報提供するケースも多いのです。
出来る限り早く出頭し、当て逃げについての事実を届け出るようにしましょう。
自身では当て逃げの実態がわからず、不安を感じる場合には弁護士に相談をすることもおすすめです。
当て逃げをした場合でも、正直に自首し、警察の捜査に協力をすれば逃亡や証拠の隠匿のおそれがなければ逮捕を回避できる場合があります。(刑法42条1)

■当て逃げはひき逃げ事故となる可能性も

夜間の運転などで何かに当たってしまった、と感じたら車両を停止させ安全確認をすることが重要です。
ひょっとすると人身事故を引き起こしている可能性があります。
そのまま走り去ってしまうとひき逃げ事故を起こしているかもしれないのです。
被害者の人命を守り、被害を最小限に留める行動を心掛けましょう。
夜間時の運転は特に注意し、違和感があればすぐに停車し確認をしましょう。

自損事故を起こした際に使える自動車保険の補償とは

自損事故を起こしてしまったら、まずは慌てずに警察へ届けることがわかりました。
では、次に気になるのは「補償」です。
自損事故は冒頭に触れたように、物損事故扱いとなるため自賠責保険(強制保険)では補償の対象にはなりません。
ご自身が事故によってケガを負っても、車両が損壊しても、自賠責保険では補償はなされないのです。
では、任意保険の自動車保険からは補償を受けることができるでしょうか。
ここからは自動車保険の必要性についても含めて、自損事故時に気になる補償について、詳しく解説します。

自損事故で考えられる損害とは

自損事故は繰り返しですが、相手がいない事故のため、被害者もしくは加害者となる相手方もいません。
では、自損事故で考えられる損害とは一体どんなものでしょうか。

  • ・自身の車両への損害
  • ・自身や同乗者のケガ
  • ・ぶつけてしまった電柱やガードレール、店舗など物への損害

自損事故では自身の車両や車両に乗っていた運転手や同乗者のケガ、ぶつけてしまった物への損害が考えられます。
任意保険である自動車保険では、こうした損害への補償が可能です。

自賠責保険だけではカバーできない

冒頭にも触れましたが、強制保険である自賠責保険では自損事故は補償ができません。
ここで、自損事故における自賠責保険と自動車保険の特徴を解説します。

【自損事故における自賠責保険の特徴】

自賠責保険は補償範囲が限定されています。
対人事故における被害者側への救済を目的としており、自損事故の場合は以下しか補償できません。

  • ・自損事故を起こした車両に同乗していた、同乗者のケガのみ

【自損事故における自動車保険の特徴】

自動車保険は自賠責保険よりも大きな補償を用意しています。

  • ・自損事故による運転者自身のケガ(人身傷害保険や自損事故保険)
  • ・損害が発生した自身の車両への補償 (車両保険)
  • ・損害を与えてしまった他者などが所有する物への損害賠償金 (対物賠償保険)
  • ・同乗者のケガへの補償 (搭乗者傷害保険)

自動車保険の中にはさまざまな補償内容の保険がセットされており、自賠責保険では補えない部分をフルカバーしています。
特に自損事故では自身の車両に大きな損壊が残る場合が多いため、自動車保険の中にある「車両保険」を使うケースが多くなっています。

自損事故における車両保険の重要性とは

自損事故にそなえるためには、車両保険への加入がおすすめです。
自賠責保険では自身の車両を修理できない上、相手方がいる交通事故ではないため、修理費用を相手方の加入している自動車保険に請求もできません。
車両保険に加入していないと、自損事故における車両の損壊は自身で支払いをする必要があります。

■自損事故に備えるためには一般型を

車両保険には一般型と呼ばれるものと、エコノミー型と呼ばれるものがあります。(車対車+Aなど別名称の場合もあります。)

車両保険は一般型の場合が一番補償範囲は広く、エコノミー型の場合は自損事故時の車両損壊は補償の対象外です。
ペーパードライバーで運転に自信のない方、高齢者の方や初心者の方は自損事故を起こしやすいため、車両保険の加入時には一般型を選んでおくようにしましょう。
なお、車両保険は一般型の方がエコノミー型よりも高くなります。
保険料が気になる場合には、免責金額(※2)を調整することで、節約できます。

(※2)免責金額とは
免責金額とは、自己負担をする金額のことを指す。
車両保険の加入時に免責金額を設定しておくことで、車両保険に発生する保険料を節約する効果がある。
一般的には事故1回目、2回目の免責金額を設定できるようになっており、「5-10万」のような増額方式と「0-10万」などの定額式から設定することが可能。

【免責金額を設定し、賢く車両保険を付帯しよう】

例えば、「5-10万」の場合には、1回目の事故では免責金額が5万、2回目の事故では10万を自己負担金とします。
1回目の車両保険使用時に車両修理代に30万円を保険会社側に請求した場合、5万円は自己負担となるため保険会社からは25万円が支払われることになります。
免責金額内の車両修理費用なら保険金は支払われません。
たとえ自損事故があっても対物などその他の保険金支払いも無く、車両保険も使わないなら等級はダウンしないため、翌年度の等級は1つアップし、保険料も安くなる(もしくは同額程度)になります。

自損事故保険とは

自損事故に備えるために、自損事故保険と呼ばれる保険があることはご存知でしょうか。
自損事故保険とは自動車保険に付帯されている保険の1つ
で、自損事故に備えるための「特約」として用意している保険会社もあります。つまり、自損事故保険が単独で販売されているものではありません。

自損事故保険の特徴としては、保険金額に予め上限が設けられていることが挙げられます。
補償内容はコンパクトであるものの、人身傷害保険に加入していない場合や適用できないケースにおいて、自損事故の運転者や同乗者が死傷した場合に損害が補償されます。
なお、ほとんどの保険会社では人身傷害保険に加入している場合は、補償範囲が人身傷害保険の方が優れているため、人身傷害保険より保険金支払いを行っています。
自損事故に備えるためには、自損事故保険よりも人身傷害保険の方が支払われる保険金額も大きいため、加入時には補償内容を確認されることがおすすめです。

(多くの保険会社では人身傷害保険に加入している場合、補償が重複するため自損事故保険がセットされていません。)

■なぜ人身傷害保険の方が補償範囲は広いの?

多くの保険会社は自損事故保険よりも補償範囲が広い人身傷害保険を勧めています。
では、どうして人身傷害保険の方が補償範囲は広いのでしょうか。
人身傷害保険は自損事故に備えるだけではなく、交通事故全般におけるご自身のケガや同乗者のケガ、後遺障害、介護費用や収入の減額に備えることができる保険として用意されています。
自損事故の場合は過失相殺や過失割合が生じない(相手方がいない事故のため)ですが、相手方がいる事故の場合、自身の過失が大きいと得られる対人賠償保険などから支払われる保険金額も減額されてしまいます。
しかし、人身傷害保険が過失に影響されません。
また、示談交渉や事故の解決を待たなくても速やかに保険金が支払われるしくみです。

だからこそ、自損事故にも過失の大きい事故にも備えるためには、自損事故保険ではなく人身傷害保険の方がおすすめされているのです。

自損事故で自分が死傷した場合

もしも自損事故で運転者自身が死傷してしまった場合には、どのような補償が自動車保険から得られるでしょうか。
自身が加入している自動車保険の中から、以下の保険より補償が受けられます。
自賠責保険では補えなくても、自身の自動車保険があれば安心です。

■自動車保険による補償内容

  • ・人身傷害保険…上記記載のとおり、人身傷害保険は過失や相手方の有無にとらわれず保険金が支払われます。
    後遺障害が残った場合も支払い対象です。
  • ・搭乗者傷害保険…ドライバーや同乗していた方に支払われる保険です。
    損害に対して計算をした上で保険金が支払われるのではなく、定額方式で保険金の支払いが行われます。
  • ・自損事故保険…人身傷害保険に加入していない場合は自損事故保険から支払いが受けられます。
    但し、死亡時は最大1,500万円、後遺障害の場合も最大2,000万円程度であり、人身傷害保険と比較すると補償内容はわずかです。

自損事故で同乗者が死傷した場合

自損事故でもしも同乗者を死傷させてしまったら、補償はどのように得られるでしょうか。
まず、同乗者については自賠責保険からも補償を受けることができます。
運転者は加害者、同乗者を被害者と考えるためです。但し、自賠責保険の補償内容は以下までしか受けることができません。

■自賠責保険が補償できる金額

傷害…被害者1名につき120万円 (同乗者が複数いる場合には1名あたりで支払われる)
治療費…実費で支払われる
後遺障害…被害者1名につき75~4000万円
死亡…被害者1名につき3,000万円

この他に、葬祭に関する費用や看護料、慰謝料なども支払われますが、限度額内となっています。
詳しくは下記国土交通省のリンクをご参考ください。

参考URL  国土交通省 自動車総合安全情報 自賠責保険ポータルサイト「限度額と保障内容」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/04relief/jibai/payment.html

■自動車保険による補償内容

  • ・人身傷害保険…上記記載のとおり、人身傷害保険は過失や相手方の有無にとらわれず保険金が支払われます。
    後遺障害が残った場合も支払い対象です。
  • ・搭乗者傷害保険…ドライバーや同乗していた方に支払われる保険です。
    損害に対して計算をした上で保険金が支払われるのではなく、定額方式で保険金の支払いが行われます。
  • ・対人賠償保険…ドライバーは加害者とみなすため対人賠償保険からの補償は受けられませんが、同乗者の方は対人賠償保険から補償を受けられます。(但し、対人賠償保険は記名被保険者のご両親や配偶者、子は対象外となるためご注意ください。)

このように、自損事故は自賠責保険では補いきれない補償をカバーできます。
強制ではなくても任意保険は欠かせない存在なのです。

>>任意保険

まとめ

自損事故はいつ起きてしまうかわからないものです。
軽微な事故から、死傷事故まで発生しており、事前にしっかりと自動車保険に加入して補償を用意しておくことが大切です。
自賠責保険ではほぼ補償が得られないため、車両保険や人身傷害保険なども付帯しておくようにしましょう。
また、自損事故は初心者運転者や高齢者に多い傾向があります。
大切な車、そしてお身体を守るためにも補償内容はこの機会に、見直しをされてみてはいかがでしょうか。