自動車保険にはさまざまな補償や特約が用意されています。
その中の1つに「レンタカー特約」が用意されていることはご存じでしょうか。
レンタカー特約とは、事故・故障などの事情によって自動車保険を契約している車両を修理する場合などにおいて、レンタカーを借りる際に保険金が支払われる特約です。
本記事では、自動車保険のレンタカー特約について、補償内容や必要性について徹底解説します。
この記事をまとめると
- レンタカー特約の補償内容がわかる
- レンタカー特約と代車費用特約の違い
- レンタカー特約とロードサービスの違い
- レンタカー特約の付帯率や加入時の注意点
- 途中加入の可能性の有無がわかる
レンタカー特約とは?補償内容を詳しく解説
自動車保険の「レンタカー特約」とは、わかりやすく言うと「レンタカーが必要となった際に、保険会社が保険金を支払ってくれる」ものです。
この章ではレンタカー特約について補償内容を詳しく解説します。
レンタカー特約の補償内容
レンタカー費用特約は、以下のようなケースに該当すると、保険金が特約から支払われます。
- 事故で修理を行っている間、レンタカーを借りることになった
- 走行中に故障が起き、レンタカーが必要となった
- 事故で車両が全損したため、新車が届くまでの期間にレンタカーが必要となった など
つまり、契約車両が事故や故障などをきっかけに使えなくなっている間に、レンタカーを使用している場合に補償が行われます。
ここで説明しているレンタカーとは、自動車のナンバープレートの平仮名が「わ」ナンバーのものです。(※1)
事故・故障時に知人や家族から別の車両を借りている場合は、レンタカーではないため補償は行われません。なお、補償内容は各保険会社によって異なるためご注意ください。
(※1)本州ではレンタカーのナンバープレートは「わ」ですが、北海道や沖縄県では「れ」が使用されるケースもあり、レンタカー特約の対象に含みます。
レンタカー特約と代車費用特約は異なる?
自動車保険の特約には「代車費用特約
」と呼ばれるものもあります。では、レンタカー特約と代車費用特約は異なるのでしょうか。
この2つの特約はほとんど同じ補償内容です。
保険会社によって本特約の呼び方は異なっていますが、代車費用特約に加入している場合も、事故・故障などで代車をレンタルする際に保険金が支払われます。
参考までに、一部の保険会社別にレンタカー特約に該当する特約名をピックアップしていますのでご確認ください。
保険会社名 | レンタカー特約の名称 |
---|---|
ソニー損保 | 事故時レンタカー補償特約 |
アクサ損害保険 | レンタカー費用補償特約 |
三井ダイレクト損保 | レンタカー費用特約 |
おとなの自動車保険 (SOMPOダイレクト) | 事故時代車費用特約 |
楽天損保 ドライブアシスト | 事故・故障時レンタカー費用補償特約 |
レンタカー特約とロードサービスの違い
レンタカー特約は事故・故障に対応してくれる特約ですが、類似する自動車保険のサービスに「ロードサービス」が挙げられます。
では、この2つの補償の違いとは一体どのようなものでしょうか。
- レンタカー特約:レンタカーを一定期間借りる際に補償
- ロードサービス:事故・故障直後に移動するために必要なレンタカー代を補償
ロードサービスはガソリン切れ・バッテリー上がりなどで車が動かなくなってしまった際に、給油やレッカーなどを行ってくれるサービスです。(無料・有料は保険会社によって異なります)
ロードサービスでもレンタカーが用意されることがありますが、自宅や目的地、宿泊先までの手配が補償範囲です。そのため、レンタカー特約とは類似しているものの、補償内容は異なっています。
レンタカー特約の補償期間とは
レンタカー特約は事故・故障などでレンタカーを一定期間必要となった際に補償が行われますが、どの程度の期間を補償してくれるものでしょうか。
例として、SOMPOダイレクトの「おとなの自動車保険」では、以下のように設定されています。
⚫︎期間は利用開始日(※2)からその日を含めて30日までが限度
⚫︎ただし、次のいずれかに該当する場合で利用日数が30日に満たないときは以下の日までを限度
- 《車を修理する場合》 修理完了後、手元に戻った日まで
- 《代替のお車を新たに取得される場合》 取得した日まで
- 《盗難後に発見され、修理の必要がない場合》 発見後、手元に戻った日まで
(※2)※事故発生の日(盗難の場合は盗難届を警察に提出された日)から起算
この他に、アクサ損害保険では保険金日額を1日あたりのレンタカー費用の限度として、1事故につき30日間を限度に補償を行っています。
他社を確認すると、15日~30日の範囲で用意されていることが多いため、確認されることがおすすめです。
引用URL:SOMPOダイレクトおとなの自動車保険「事故時代車費用特約」
参考URL:アクサ損害保険レンタカー費用補償特約とは?
レンタカー特約における保険金はどのように計算される?
レンタカー特約では、上記のように30日間を目安に補償が行われます。
では、実際に支払われる保険金はどのように計算されるのでしょうか。
多くの保険会社では、1日あたりのレンタカー費用を限度額に、日数を乗じて計算します。
たとえば、三井ダイレクト損保ではレンタカーの車種別に5,000円、7,000円、10,000円(※3)の3つの費用が設定されています。
1日5,000円の費用が発生するレンタカーを20日間利用した場合、5,000円×20日間で10万円が補償されます。
(※3)三井ダイレクト損保では、自家用軽四輪乗用車、自家用軽四輪貨物車の場合5,000円、7,000円からお選びいただけます。
参考URL:三井ダイレクト損保
強くてやさしい車の保険 レンタカー費用特約
レンタカー特約に適用条件はある?
レンタカー費用特約を実際に付帯・補償を利用するにあたっては、適用条件を知っておく必要があります。
いざという時に補償が行われない!という事態を避けるためにも、この章をご一読ください。
車両保険への加入について
レンタカー特約を付帯(加入)するにあたっては、車両保険に入っていることが条件となる保険会社があります。
例として、ソニー損保やアクサ損害保険では車両保険に加入していることを適用条件に挙げています。(※4)
一方で、三井ダイレクト損保のように車両保険に未加入でも、レンタカー特約に加入できる場合もあります。
保険会社によって対応が異なるためご注意ください。
(※4)アクサ損害保険では、AXAパイロットガレージ(アクサダイレクト基準をクリアした修理工場)で修理する場合、修理期間中に代車を無料提供しています。
【車両保険】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
車両保険で補償される範囲とは
事故・修理中にレンタカーを借りる条件
レンタカー特約に加入しており、補償を受けたい場合は一般的に「保険会社側が手配、承認しているレンタカー業者から、レンタカーを借りること」を条件としています。
実際にレンタカーを借りる際には、加入している自動車保険に確認の上で手配を進めることがおすすめです。
補償されないケースに注意
レンタカー特約では、以下のケースを補償の対象としており、それ以外は補償対象外としています。
- 補償の対象は「車両保険の補償対象となる事故・故障」
- 上記以外は補償対象外
では、具体的にどのような事例は補償されないのでしょうか。
主な例としては、故意の事故や自然消耗、故障損害等のケース、パンクなどのタイヤの単独損害(火災・盗難を除く)が該当します。
また、酒気帯びなどの重大な違反による運転での事故も補償が行われません。
なお、レンタカー利用中のガソリン代なども補償対象外です。
故障は対象外となるケースも多いため、各保険会社の補償範囲をご確認ください。
友人の車を運転中に事故を起こした|レンタカー代は補償される?
友人の車を借りている際に、車両保険対象の事故・故障を起こしてしまった場合は、レンタカー特約ではなく「他車運転特約」から補償ができます。
しかし、補償範囲は以下です。
- ■他車運転特約の範囲
- 借りた車両の損害は、借りた人が契約していた自動車保険に車両保険がセットされており、車両保険のお支払対象となる場合に、借りたお車の時価額を限度に補償。
- 借りた車の修理に関わるレンタカー費用や、時価額を超える修理費用、ロードアシスタンス特約はお支払いの対象外
他車運転特約があれば、友人の車に与えてしまった損害を、自身の自動車保険で修理することが可能です。しかし、他車運転特約ではレンタカー費用などは補償対象外です。
【他車運転特約】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
レジャーで親や知人の車を運転する時に保険はどうしたら良いの
レンタカー特約のメリットとは?必要性を詳しく解説
これから自動車保険に新規加入、次契約への更新などを検討されている方は、レンタカー特約のメリットを詳しくお知りになりたいのではないでしょうか。
そこで、この章ではレンタカー特約のメリットや、必要性を詳しく解説します。
レンタカー特約のメリットとは
レンタカー特約のメリットは以下の4つが挙げられます。
① ディーラーや整備工場や代車を用意できなくても、レンタカーを使用できる
事故や故障が原因で修理を依頼する場合、ディーラーや整備工場側がすぐに代車を用意できないことがあります。
代車の台数は限られており、混雑によっては用意が遅れるためです。しかし、レンタカー特約があれば保険会社側がOKとするレンタカーであれば、補償が行われます。
代車を待たなくても修理のために入庫できるため、迅速に修理が受けられるというメリットもあります。
② 乗りやすい車両を代車として利用できる
ディーラーや整備工場側が用意する代車が、必ずしも運転しやすいものとは限りません。また、日頃からファミリーも乗車するにもかかわらず、軽自動車や小型車しか用意できないこともあります。
レンタカー特約があると金額に制限はあるものの、レンタカーの中からご自身にあった車両を選べるため、乗りやすい車両を代車として利用できます。
③ レンタカーの手配がスムーズ
レンタカー特約がある場合、保険会社側に相談するとレンタカーの手配を行ってくれる場合もあります。
事故・故障直後で通院を優先する場合などは、レンタカーの手配に労力を感じるものです。
特約の利用で、スムーズに希望のレンタカーが手配できます。
④ レンタカー特約だけの利用なら等級はダウンしない
レンタカー特約だけをご利用される場合は、等級はダウンしません。ただし、車両保険加入対象の事故・故障時にのみレンタカー特約を使用するため、もしも車両保険を活用して自動車を修理する場合は、等級はダウンします。
レンタカー特約のデメリットとは
レンタカー特約はあくまでもレンタカーへの費用に留まるため、ロードサービスのように複合的な補償サービスが付いているものではありません。
また、次の2点については特に注意が必要です。
① 車両保険の加入に注意
先にも触れていますが、保険会社によっては車両保険に加入していないとレンタカー特約は付帯できません。
中古車の場合すでに時価額が低く車両保険に加入できない場合もあり、レンタカー特約も加入できないケースもあります。
② 日額を超える車種は選べない
レンタカー特約に加入する際に、5,000円・7,000円・10,000円の中から金額の設定をあらかじめ行う場合があります。
契約時に5,000円に設定していると、レンタカーの利用時に選べるのは日額5,000円までのレンタカーであり、この金額を超える車種は選べません。また、保険会社によってはあらかじめ5,000円を限度にしている場合もあります。
レンタカー特約が必要な人・不要な人
レンタカー特約は一体どのような人に必要で、不要な人はいるのでしょうか。
この章では必要・不要の2つの視点から詳しく解説します。
レンタカー特約が必要な人
- 自宅に複数の自動車は無く、日常的に通勤や通学で自動車を利用している人
- 事故に備えて万全な補償を用意しておきたい人
- 過去に代車の手配で苦労したことがある人
- 事故後に公共交通機関では通勤や通学が難しい人
上記の特徴に該当する人は、レンタカー特約に加入されることがおすすめです。
レンタカー特約が不要な人
- 自宅に複数の自動車があり、万が一の際には代車として自宅の自動車を使用できる人
- どのような代車でも運転できる、問題ないと感じる人
- 事故後は公共交通機関で通勤、通学ができる人
上記に該当する人は、レンタカー特約に加入していても利用されない可能性があるため、慎重にご検討ください。
レンタカー特約に加入すると保険料はどうなる?
レンタカー特約に加入すると保険料はどうなるでしょうか。
保険会社によってはレンタカー特約が車両保険に自動付帯となっています。自動付帯の場合は保険料に影響しません。
しかし、オプションとしてレンタカー特約に加入する場合は保険料がアップします。
保険料は一般的に保険料の数%とされており、2,000円~5,000円程度上がることが多いでしょう。ただし、保険会社によって算出方法は異なるため、見積もりを取得してご確認ください。
レンタカー特約の加入率とは|加入手続きの注意点
「おとなの自動車保険」では、レンタカー特約に該当する「事故時代車費用特約」の加入率は13.5%とされ、決して高くはない加入率と言えます。
では、どうしてレンタカー特約の加入率は低い傾向があるのでしょうか。
この章では加入率の低さや、加入手続き時の注意点を詳しく解説します。
参考URL:SOMPOダイレクト
おとなの自動車保険 事故時代車費用特約
なぜレンタカー特約の加入率は低い?
レンタカー特約の加入率は低い傾向にありますが、その理由とはどのようなものでしょうか。
一般的に事故や故障に遭うと、自動車の購入先であるディーラーや整備工場などが代車を手配してくれるため、レンタカー特約への加入は不要と感じる人が多いと考えられます。また、車両保険に自動付帯ではない場合、加入すると保険料が上がってしまうため、あえて入らないという声もあります。
- 【レンタカー特約に入らない理由】
- 代車はディーラーなどが手配してくれる
- 保険料が上がってしまう
- ロードサービスで十分
- 特約の存在があまり知られていない
また、ロードサービスと重複していると感じるケースや、特約の存在自体があまり広く浸透していないことも低い加入率の要因と考えられます。
途中で加入することは可能?
一般的に自動車保険の補償は、新規・継続契約時に検討する傾向があります。
では、レンタカー特約については途中で加入することはできるでしょうか。(自動付帯の場合除く)
自動車保険の契約期間の途中からでもレンタカー特約に加入できます。ただし、保険会社や契約内容によって手続きや条件が異なる場合がありますので、以下の点に注意が必要です。
『途中加入の手続き方法』
ダイレクト保険の場合はご自身の自動車保険の契約ページへ、代理店型の場合は代理店へ連絡します。
代理店型は、書類への記入・提出が必要な場合があります。
途中加入する場合、すでに保険料を一括払で払い終えている場合は追加保険料が必要です。月割りの場合は翌月以降の保険料から高くなります。
『追加加入時の注意点』
すでに事故や故障が発生した後など、レンタカーが必要になった直後の加入は認められない場合は補償対象外となります。
保険会社によって、補償範囲が異なるためご注意ください。
レンタカー特約利用時の事故にも注意!
レンタカー特約を利用する際は、ロードサービス対象外の期間を補償するため、1か月近くに渡ってレンタカーを借りる傾向があります。
慣れない車を運転していると、新たな事故や故障につながる可能性があるため、運転をする際には注意が必要です。
先にも他車運転特約について触れましたが、レンタカーを利用している際の事故は、レンタカー特約とは異なり他社運転特約から補償を行う必要があります。
まとめ
本記事ではレンタカー特約について補償内容や必要性を中心に詳しく解説しました。
自動車保険の契約車両が事故や故障で使えなくなった際に、レンタカーが必要となった場合に、本特約が役立ちます。ただし、保険会社によっては車両保険とセットで加入が必要となるため、必ずしも加入できるものではありません。
また、レンタカー特約は保険会社によって特約の名称が異なっているため、ご確認の上でご加入ください。
自動車保険にはさまざまな特約が用意されています。
保険料に影響する特約もありますが、補償を厚くしておくことで万が一の際の出費を抑える効果もありますので、十分に吟味の上で補償内容を決めましょう。
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