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人身傷害保険ってどんな保険?

自動車保険では事故の相手方への車両やケガ、自身の車両への補償など色んな内容の補償が用意されていますが、人身傷害保険では一体どんな補償が行われるのでしょうか。
人身傷害保険とは、事故で記名被保険者や同乗者が死傷した場合に、治療費や休業損害補償などが支払われる、自動車保険内に設けられた補償の1つです。

人身傷害保険は補償範囲を調整することができ、契約車両に乗っていない時の死傷事故でも補償が行われます。
今回の記事では、自動車保険の中でお身体に関する補償である人身傷害保険にクローズアップします。ぜひご一読ください。

自動車事故で自分や同乗者がケガをした場合に備える人身傷害保険

自動車保険は事故の相手方への補償はもちろんのこと、ご自身やご家族のケガにも備えた補償が用意されています。
人身傷害保険はその1つであり、記名被保険者や同乗者が事故により死傷した際に手厚く補償が行われます。
強制保険である自賠責保険は、被害者救済のために設けられている保険であり、事故の相手方の死傷に補償を行うものです。
そのため、自損事故のケースや、自身が死傷した場合の補償は自賠責保険から支払われません。
任意保険である自動車保険の補償を用意しておかなければ、後遺障害(※1)が残るようなケガであっても保険金を得ることができないのです。

人身傷害保険はご自身や同乗者を守るための保険です。
自動車保険で死傷に関する補償についてはこの他に「対人賠償保険」が用意されていますが、対人賠償保険はあくまでも事故の相手方への補償に過ぎません。
人身傷害保険に加入して、しっかりとご自身側の補償にも備えておきましょう。

(※1)後遺障害とは
交通事故によって受傷し、治療を行っても障害が残される後遺症のことを後遺障害と言う。
後遺障害は症状などによって14等級に分類されており、等級に応じて後遺障害慰謝料などが支払われている。
等級は保険会社が任意で定めるものではなく、自動車損害賠償保障法施工令別表と呼ばれるもので定められている。

参考URL:金融庁 国土交通省
損害保険料率算出機構 自賠責保険支払基準 PDF

補償を受けられるのはどんな人?どんな事故が補償されるの?

では人身傷害保険で補償を受けられる人について整理していきましょう。
人身傷害保険は加入タイプが2つあり、受けられる補償や支払い対象者が異なっています。

一般タイプ:契約車両の内外問わず事故を補償する

人身傷害保険の「一般タイプ」は「車内+車外補償型」とも言われており、ご契約中に自動車に乗っていない場合の事故にも対応してくれます。

【補償の対象となる方は以下です。】

  • 自動車保険の契約車両を運転していた方や同乗していた方
  • 契約車両以外の車両に乗車中にけがをした場合 記名被保険者および配偶者などの家族
  • (契約車両以外の車両を運転中に事故が起きた場合、同乗者も補償される)
  • 歩行中や自転車運転中に発生した事故の場合 記名被保険者および配偶者などの家族

搭乗中のみタイプ:契約車両内の事故を補償する

契約している車に搭乗している時のみを補償する「搭乗中のみタイプ」は「車内のみタイプ」とも言われており、ご契約中の車両に乗っている時のみ人身傷害保険の支払いを受けられます。

補償の対象となるのは、自動車保険の契約車両を運転していた方や同乗していた方です。
一般タイプと比較すると補償が限定的な分、保険料は安く抑えられています。

なお、各保険会社により補償の範囲の名称には差異があるためご注意ください。

人身傷害保険の補償範囲は「記名被保険者と家族」と書かれていることがあります。
家族とは配偶者・同居の親族・別居の未婚の子を指します。

補償を使うと等級はどうなるの?

人身傷害保険は自身や同乗者を守る大切な保険ですが、もしも使う時が来たら気になるのは「等級」でしょう。
まず、結論から言うと人身傷害保険は使用をしても等級が翌年に下がりません。
ノーカウント事故として取り扱うことができます。
但し、以下のようなケースでは等級が下がります。

【① 車対車の交通事故で双方に過失が発生しており、相手方のケガや車両に関しては自身の自動車保険から保険金の支払いを行い、自身の人身傷害保険からも支払いを受けた。】
この場合、人身傷害保険自体はノーカウント事故でも相手方への支払いに関して自身の自動車保険から支払いを行っているため翌年等級は3等級ダウンします。

【② 自転車走行中に車両と接触し、子がケガをしたので人身傷害保険から補償をうけた。別途自身の契約車両が水災にあい、車両保険より保険金支払いを受けた。】
このケースでは人身傷害保険の使用による等級ダウンはありません。
しかし、別に発生した水災により車両保険を使用しているため、翌年1等級ダウンします。

このように人身傷害保険自体の使用は等級に影響しなくても、別の理由で保険金支払いがあれば等級はダウンします。

オススメの記事

【等級】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
等級とは?自動車保険の基礎知識|等級ごとの割引率は?

人身傷害保険の特徴

人身傷害保険にはどんな特徴があるでしょうか。
この項では人身傷害保険の特徴を3つに分けて詳しく解説します。

1.人身傷害保険は示談交渉を待たずに支払いが受けられる

事故が発生し、運転者や同乗者がケガをするような事態が発生した場合、まずは入院・通院で治療を受けることになります。
この間、学業や仕事は休まざるを得ない上、収入があった方はストップしてしまう可能性があります。
しかし、一般的に保険金が受領できるのは、相手方がいる場合には示談交渉の中で過失割合を決定し、過失相殺を行った上で保険金の支払額が決定してからです。
治療費が発生している場合には保険会社と医療機関の間で同意が終わり次第、保険会社が立替えを行います(任意一括対応と言います)

しかし、自身の方が過失割合大きくなる見込みの場合は、立替えされないため自身で支払う必要があります。
また、保険会社によっては一定期間治療していくと、打ち切りを打診してくる場合もあります。
こんな時でも、人身傷害保険なら示談交渉の結果を待たず、自身の自動車保険から治療費などを受け取ることができます。
収入が途絶えても治療や休業損害の不安を感じません。
実際に人身傷害保険は入院をし、治療終了まで時間がかかる見込みの方や示談交渉で双方の言い分が食い違い、示談成立まで相当の時間を要するケースなどで大変重宝されています。
なお、治療費を人身傷害保険は使わずに立替えるケースでは、被害者請求や仮渡金制度の活用も考えられます。

2.幅広い内容の補償が用意されている

人身傷害保険は、さまざまな名目で保険金が支払われており、万が一の事故の際には記名被保険者やそのご家族、同乗者にとって大きな補償が得られます。

【支払われる保険金の内容は以下のとおりです。】

  • 入通院に関する治療費
  • 休業損害
  • 精神的苦痛にともなう損害
  • 後遺障害への慰謝料
  • 死亡や後遺障害による異質利益
  • 葬祭費用
  • 将来の介護費…など

車両保険のように契約車両への補償と特定されていたり、対人・対物のように相手方のケガや物と特定されたりしておらず、記名被保険者やその家族、同乗者を手広くカバーしてくれます。

3.搭乗者傷害保険と比較しても補償が広い

人身傷害保険の特徴の1つに、搭乗中の補償が挙げられます。
搭乗中の補償については「搭乗者傷害保険」という内容の補償もご用意があります。
では、搭乗者傷害保険と人身傷害保険では補償内容にどんな違いがあるでしょうか。

搭乗者傷害保険は、その名称にあるように搭乗中の補償のみに絞っています。

一方で、人身傷害保険の一般型なら、契約車両に搭乗していないような自動車事故(他者所有の車など)においても、補償されます。
歩行中も自転車走行中の事故もカバーしてくれます。
バスやタクシーに乗車している時の死傷事故についても補償が行われるため、人身傷害保険の方がご自身や家族も含めて守ることが可能です。また、支払い内容にも違いがあります。

【搭乗者傷害保険はあらかじめ決められている金額を入通院日数などに応じて支払う】

ある保険会社を例にあげると、入通院4日以内なら1名ごと11万円、5日以上なら1名ごとに10万円と定められています。

【人身傷害保険は実際に発生した治療費などについて、保険金額を上限に支払う】

搭乗者傷害は一時金として支払われるため支払われるスピードは速いものの、人身傷害保険と比較すると補償される額は小さくなっています。
そのため、人身傷害保険を補う意味も込めて搭乗者傷害保険はセットで付帯されることが推奨されています。

オススメの記事

【搭乗者傷害】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
自動車保険の搭乗者傷害ってなに?|補償内容や選び方を紹介

人身傷害保険のメリット・デメリット

実際の損害に合わせて支払われる人身傷害保険のメリット・デメリットとはどのようなものでしょうか。

人身傷害保険の3つのメリット

人身傷害保険には以下3つのメリットが挙げられます。

1.自損事故や自身の過失が大きな事故でも、影響を受けない

事故はいつだって相手方がいるわけではありません。
ご自身で電柱やテナントに衝突させてしまう、凍結でスリップをしてガードレールにぶつけてしまうような事故もあります。
また、相手方がいる事故であっても、信号を見落としてしまう等のケースでは自身の過失割合が大きくなります。
では、自損事故や過失が大きなケースではそんな懸念事項があるでしょうか。

自損事故の問題点

自損事故は相手方がいないため、自身や同乗者の死傷や車両の損害については、自身の自動車保険から補償を受ける必要があります。
自賠責保険では同乗者の死傷は補償できるものの、運行供用者(※2)に該当すると補償が得られません。
そして、自身の自動車保険であっても、対人賠償保険を使おうとすると、記名被保険者やそのご家族の多くは対象外です。
人身傷害保険を付帯しておかなければ、万が一の自損死傷事故の際に大きな損害を補填できなくなります。

(※2)運行供用者とは
運行供用者とは自動車の運行の管理者、利益を受けている方、支配者を指す。
わかりやすく言うと、自動車の所有者や運転者、貸すことで利益を上げている方などが該当する。

自身の過失割合が大きな事故の問題点

自身が事故の「加害者」になってしまった場合、たとえ自身もケガをしていても示談交渉の際には相手方から得られる保険金は過失割合に基づいて相殺されるため、保険金額が減ります。
過失が大きな場合には少額の補償しか受けられないのです。

人身傷害保険があると安心

人身傷害保険は自損事故の場合にも補償が問題なく支払われるほか、過失割合の影響を受けないため自身が加害者側のケースでも補償が受けられます。
相手方が無保険車の場合も同様です。さまざまな事故による死傷に備えるためには、人身傷害保険こそが心強いパートナーです。

2.補償範囲を選ぶことができる

人身傷害保険は補償内容が充実しているため、保険料は高い傾向があります。
車両保険も付帯している場合、人身傷害保険の保険料を調整したいと考える人も多いでしょう。
先に触れたように、人身傷害保険には一般型と搭乗中のみ型があります。
ご家族が人身傷害保険の一般型に加入していれば、ご自身の自動車保険は搭乗中のみにしても問題ありません。
むしろ補償の重複を減らせます。
人身傷害保険における車外の補償は「記名被保険者とそのご家族」が対象者となるため、1つ加入しておけば、あとに自動車保険の契約では補償範囲を狭くできるのです。

3.等級に左右されず使用できる

自動車保険には等級に左右されない保険・特約があります。
人身傷害保険もその1つですから、その他の保険金支払いが無ければ等級が翌年下がりません。
高額の保険金を受け取ったとしても等級には影響しないので、安心して使用することができます。

【等級ダウンをしないその他のノーカウント事故は以下のようなケースです。】

  • 搭乗者傷害保険
  • 無保険車障害保険
  • 弁護士費用特約
  • ファミリーバイク特約…など

交通事故にも使える弁護士保険

人身傷害保険の3つのデメリット

メリットの大きな人身傷害保険ですが、デメリットもあります。
以下の2つをご参照ください。

1.すべての事故に支払われるわけではない

人身傷害保険は自賠責保険では補償が行われない自損事故、無保険車との事故などもカバーしてくれますが、すべての事故に対して保険金が支払われるわけではありません。
無免許運転や飲酒事故、薬物の摂取による暴走行為や自殺行為によるものなどには保険金は支払われないと約款上で規定されています。

また、以下のようなケースでもトラブル発生しています。

重大な過失

人身傷害保険が支払われないケースの1つに「重大な過失」が挙げられます。
しかし、ここで思い出してみましょう。
過失割合が大きく、自身が加害者側となってしまったような事故でも人身傷害保険なら補償が得られるはずです。

では、重大な過失とは一体どのようなケースを指すのでしょうか。
うっかり赤信号を見落としてしまった、右折の際に直進車両を見落とした…このようなケースは過失こそあるものの、重大な過失とは言い切れません。
ドライバーなら誰しも経験する可能性があるミスです。

重大な過失とは違法改造車で速度超過させ危険運転中に衝突事故を起こしたケースや、警察車両から逃走中に起こした事故などが該当します。
危険な行為と十分に認識していたにもかかわらず過失を犯し続けた末の事故は、重大な過失があるとされ保険金支払い対象になりません。(※詳しくは各保険会社の約款をご参考ください)

2.補償範囲は人身分野のみに留まる

人身傷害保険は人身分野、つまり死傷部分の補償に留まります。
車両の補償に関しては別途車両保険に加入をしなければ補償されません。

3.損害賠償請求と重複して受け取ることはできない

相手方がいる事故の場合には、車両の修理や治療の終了後に過失割合を決定し、最後に保険金の支払いを相手方が加入している保険会社から受けることになります。
相手方からの補償も、自身の人身傷害保険からの補償も受けることはできますが、重複して保険金を受け取ることはできないしくみです。
つまり、人身傷害保険に加入していたからといって、受け取れる保険金の総額が増えるわけではないのです。

相手方保険会社から保険金を受け取り、その後自身の人身傷害保険に請求をした

すでに受け取っている保険金が控除された後に人身傷害保険から支払いが受けられます。

人身傷害保険から保険金を受け取り、その後相手方保険会社に請求をした

支払った保険金分について保険会社は「損害賠償請求権」を取得し、相手方保険会社に請求します。
相手方保険会社は既払い部分を除いて、損害賠償金を支払います。
人身傷害保険から全額受け取っている場合には、相手方保険会社に損害賠償請求ができなくなります。

人身傷害保険は加入するべきか

さまざまな補償を行う人身傷害保険は、補償範囲を選んだとしても保険料がやや高い傾向があります。
保険料を節約したい場合には、人身傷害保険に加入しないという選択肢を検討する人もいるでしょう。

では、人身傷害保険は加入するべきなのでしょうか。
結論から言うと、人身傷害保険は自身とご家族、同乗される方のために加入をすべきです。
人身傷害保険は事故の受傷によって生活が困難になるような場面で大いに役立ちます。

重篤な症状を負った事故はすぐに解決しない

交通事故で相手方の車と衝突し、運転者と同乗者が受傷したと仮定しましょう。
事故による衝撃で脊髄や脳が損傷する、複雑な骨折を負うケースは決して珍しくありません。
こうしたケースは治療費こそ保険会社が支払ってくれるものの、後遺障害が残される可能性も高く、入院・通院も長引き事故の解決まで相当の時間を要する可能性があります。

重篤な症状を負ってしまったケースでは示談交渉がまとまらず、訴訟に発展するケースも多いのです。
事故の発生から解決まで、5年以上かかることもあります。
事故がすぐに解決しない以上、慰謝料は確定しないため生活が困窮する可能性があります。

しかし、人身傷害保険に加入していれば過失割合の決定や示談交渉の成立を待たずに、保険金を受領できます。
本当にお金が必要な場面にこそ、人身傷害保険は役立ってくれるのです。

人身傷害保険は保険金額を調整できる

人身傷害保険は無制限で加入をすることが推奨されているものの、一般型かつ無制限にしておくと、その他の補償内容に迷うほど保険料が高額になる可能性があります。
そこで、人身傷害保険の保険金額の上限を決めておくことで保険料を下げることもできます。

5,000万程度の補償で加入している方が多いですが、3,000万~5,000万の範囲で調整をするケースも多くなっています。
搭乗者傷害保険とセットで付帯し、人身傷害保険金額を抑えておくことも保険料節約のテクニックです。

まとめ

今回の記事では、人身傷害保険についてさまざまな視点から解説を行いました。
人身傷害保険は過失割合に影響されず、手厚い補償が行われるため大変メリットが大きな保険です。
自賠責保険の対象とならない運転者にも補償が行われ、無保険車が相手の事故で受傷した場合も補償を自身の保険から受け取ることができます。
保険料が気になる場合には、搭乗中のみのタイプを選んだり、保険金額の設定を無制限以外にしたりすることで節約できます。

事故は常に自信が被害者とは限りません。
自損事故や加害者側の事故を経験する可能性もあります。
色んな事故時の死傷にしっかりと備えておくためにも、人身傷害保険に加入しておきましょう。

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