自動車保険の名義変更のポイントと等級の引き継ぎ方の注意点とは

自動車保険は新規契約の場合、一般的に6(S)と呼ばれる等級からスタートします!
1年間の自動車保険契約期間中に無事故、もしくはノーカウント事故のみで過ごせると、次年度には1等級アップする仕組みです。
少しずつ等級がアップしていくと自動車保険料が安くなる仕組みが採用されています。

大切に守り育てた「等級」は自動車保険の名義変更という手続きを経ることで、条件を満たせば別の方へ継承することができます。
今回の記事では、自動車保険の名義変更と等級の引き継ぎ方に関して詳しく解説を行います。
ご家族内で自動車や自動車保険を引き継ぎしたい、と考えている方は是非ご一読ください。

任意保険として販売されている自動車保険は、契約者名や記名被保険者名、そして自動車の車両所有者名を申告することで契約ができます。
自動車保険は事故を起こさない方を優遇するような仕組みを採用しており、無事故のままの状態を続けていくと等級が毎年1つずつ上がります。
等級が上がると、割引率も大きくなるため自動車保険料は安くなり大変お得です。
では、自動車をお子様の免許の取得に伴い車両を譲る、などの場合には自動車保険の名義を変更することはできるのでしょうか。
そして、等級の引き継ぎはどのように行えるのでしょうか。

自動車の名義変更と自動車保険の関係

自動車保険に加入する際には、住所や契約者名などさまざまな情報を申告する必要があります。
申告する情報の中には「名義」に関するものも含まれています。

親名義の車を、免許を取得した子に譲る事はよくあるケースです。
この場合、自動車の所有者を車検証上で親から子へと変更後、自動車保険上の対象名義も変更していきます。
同居している家族であれば車と同様に、自動車保険の契約自体も等級も、変更をすれば引き継ぐことができます。
但し、契約内容を引き継ぐ人に合わせて見直さなければ補償出来なくなる可能性があるので注意が必要です。

自動車保険の名義とは

自動車保険を契約する際には、以下に挙げる「3つの名義」を保険会社へ申告します。

  • 自動車保険の契約者の名義
  • 自動車保険の被保険者の名義
  • 自動車保険の対象となる車両の所有者の名義

この3つの名義は自動車保険の加入時に必ず求められるものです。

契約者とは?

自動車保険の契約者の名義とは、加入する方の名義です。
契約者は保険料の支払い義務があり、保険証券の発行も契約者宛に行われます。

記名被保険者とは?

記名被保険者の名義とは自動車保険を契約する車両を主に運転される方であり、補償範囲は記名被保険者を中心に考えます。
本人限定特約を付帯した場合、ここで指す本人とは契約者ではなく記名被保険者です。
記名被保険者は必ずしも契約者と同一である必要はありません。
親が契約者となり保険料を支払い、子が記名被保険者となっている契約も多いでしょう。

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【本人限定特約】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
自動車保険の「家族限定」の範囲とは?また保険料の違いとは?

車両所有者とは?

自動車保険の対象となる車両の所有者名義とは、万が一の事故の際に補償を受けたい車両の車検証上に記載されています。
車のローンがある場合は車両所有者がディーラーをはじめとする企業名が書かれている場合があります。(所有権留保)この場合は使用者を所有者とみなして契約を行います

  • 所有権留保とは
    自動車は高額の買い物であるためローンを組んで購入する人が多いでしょう。
    この場合、ローンの支払い中は車検証上の所有者はローンを組んだ先の企業であり、購入者は車検証上の使用者として車に乗ることができます。この状態を所有権留保と言います。所有権留保条項付売買契約やリースによる貸借契約を行っている場合も、自動車保険に加入することはもちろん可能です。
    もしも交通事故が発生した場合、車両保険金の支払いが必要となった際は、実際の車両所有者である売主や貸主から保険金請求を行います。
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【車両保険金額】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
車両保険金額とは?いくらがいいの?

名義変更が必要なのはどんな時?

自動車保険は正しい情報を告知しておかないと、万が一の際にせっかくの補償が受けられなくなってしまう可能性があります。(告知義務違反)
特に今回解説している自動車保険の契約者名・記名被保険者名・車両の所有者名の3つの名義のうち、記名被保険者と車両所有者に関しては自動車保険がカバーすべき人と車両を特定する情報であるため、変更時にはすぐに報告を行う必要があります。
では、名義変更が必要なケースとは一体どのような場合でしょうか。

  • 告知義務違反とは
    自動車保険の加入時には告知事項に答える必要があります。
    告知事項とは自動車保険の補償対象を判断する情報であり、被保険自動車・記名被保険者の情報や前契約の等級、事故の有無などを申告する義務があります。
    申告が漏れてしまうと告知義務の違反とみなされる可能性があり、補償が受けられない場合があります。

参考URL:一般社団法人日本損害保険協会
問19 自動車保険における告知事項や通知事項は、どのようなものがありますか。

名義変更の様々なケース

以下に名義変更を行う必要があるケースをご紹介します。

親子といった家族間の名義変更

親の所有していた車両を子に譲る場合に、親が加入していた自動車保険もセットで譲渡をすることができます。
この場合、契約者・記名被保険者を変更し等級の引き継ぎも行えます。

同居実態の確認が必要であるため、各保険会社の求めに応じて必要書類を提出する必要があります。
車両の譲渡も伴うケースであるため、車検証上の所有者の変更も行いましょう。

結婚・離婚で姓が変わった場合

結婚や離婚によって苗字が変わる場合には、自動車保険の契約者や記名被保険者も変更する必要があります。
運転免許証の写しなどを添付して異動手続きを実施しましょう。

契約者や記名被保険者が亡くなった時

契約者や記名被保険者が死去した時も手続きを行う必要があります。
もし、自動車保険を継承しないのであれば解約が必要です。
契約を継承する場合は速やかに手続きを実施してください。

主に運転する人(記名被保険者)が変わった時

契約者は同じでも、記名被保険者が変更となる事も想定されます。
例えば、契約者も記名被保険者も父親だった場合、対象となる自動車を同居の子供が運転する場合には速やかに記名被保険者の変更を行う必要があります。
契約者として父親が保険料の支払いを続けていく場合には、契約者を子に変更する必要はありません。

なお、夫婦間では同居ではなくても記名被保険者を変更し、等級をそのまま継承することができます。
本来等級の引き継ぎは同居の親族間で行う必要がありますが、夫婦間であれば別居でも可能です。
夫の単身赴任で妻に記名被保険者を変更する場合、問題なく等級も引き継ぐことができます。なお、内縁関係の方であっても可能です。

  • 同居している親族間なら記名被保険者の変更で等級継承できる
  • 同居していなくても配偶者や内縁関係の方なら記名被保険者の変更で等級継承できる

以上のように覚えておきましょう。

自動車保険の名義変更手続きと必要書類

仮に自動車保険の名義変更を実際に行う場合には、どんな書類が必要となるでしょうか。
自動車保険は契約の途中であっても色んな変更を行う事ができます。
この手続きを「異動」と呼びます。
異動手続きは車両保険の金額の変更、補償内容の変更などに適用でき、今回解説している名義変更の手続きも可能です。
基本的な必要書類は以下のとおりです。

保険証券(もしくは証券番号)

現在契約している自動車保険の保険証券をお手元にご用意ください。
証券レスの契約やネット損保の場合は契約画面を確認することで証券番号がわかります。

運転免許証

記名被保険者を変更する場合に必要です。免許証の色に変更がある場合は申告する義務があります。

名義変更後の車検証

車両の所有者に変更がある場合には名義変更後の車検証を用意する必要があります。

異動手続きの書類

(各保険会社によって書式や手続き方法が異なります)

等級継承ができるかどうか確認するためには同居実態を確認しているため、新記名被保険者の住所を確認する書類を追加で求める場合があります。
なお、異動手続きは過去に遡って行うことはできませんが、先日付は可能です。

名義変更の手順とは

必要書類を各保険会社に提出したら、異動の手続きを行いましょう。
代理店を経由している場合には代理店へ、ネット損保の場合にはご自身で画面上にて手続きを行います。
電話確認が行われるケースもあるので、余裕をもって手続きを行いましょう。

名義変更をする際の注意点

名義変更をする際には2つの注意点があります。
まず1つ目は「等級の引き継ぎ」です。
優良な等級はできる限り親族に継承したいものですが、親族間の等級継承には注意点があります。
そして2つ目は「名義変更のタイミング」です。
タイミングを誤ってしまうとせっかく加入している自動車保険の補償が受けられなくなる可能性があります。
では、この2つの注意点について以下で詳しく解説します。

自動車保険の名義変更と親族間の等級引継ぎ

自動車保険の名義変更は同居の親族間で行えば等級の引き継ぎが可能です。
以下は等級が問題なく引き継げる方です。

  • 現在の記名被保険者の配偶者なら別居の有無は問わない
  • 現在の記名被保険者の「同居」の親族
  • 現在の配偶者の「同居」の親族

つまり、自動車保険の等級の引き継ぎには「別居」という問題が発生します。
ここからは等級の引き継ぎの際にトラブルとなりやすい「別居の子」をテーマに解説します。

親族間で名義変更をするときの注意点

親族間で等級を引き継ぐことを前提に名義変更をする場合には、「別居」という大きな問題が立ちはだかります。
配偶者(もしくは内縁関係)の方であれば別居をしていても自動車保険の名義変更を行って等級を引き継ぐことができます。
しかし、「別居の子」は名義変更で等級継承ができないのです。
子どもは運転免許を取得する際にまだ若いことが多く、自動車保険の特性上新規加入をすると、自動車保険料が高くなる傾向があります。(年齢条件)
その際に、同居の親族が持つ等級を引き継ぎできれば、自動車保険料の節約につながるのです。
しかし、引き継ぐタイミングを間違えてしまうと等級が引き継ぎできません。以下のケースでご説明します。

  • 年齢条件
    自動車保険の保険料を決める要素の1つに、年齢条件と呼ばれるものがあります。
    年齢条件は運転免許証を取得済みなら18歳以上からカバーできる「条件なし」から、21歳以上、26歳以上などの設定が設けられており、若年層は交通事故の発生率が高いため割高に設定されています。
【よくあるケース】

同居をしていた子どもが県外へ就職するタイミングで、運転免許を取得した。
父親の車両を引き継ぐことにしたため、父親の20等級の自動車保険も同時に引き継ぐことを目的に別居後に名義変更の異動手続きを行った。
→この場合、すでに別居してしまっているため等級の引き継ぎができません。
子どもが新しく自動車保険の契約を行う必要があります。
つまり、引っ越し前に同居の状態で自動車保険の名義変更を完了していなかったばかりに、高い自動車保険料の新規契約が必要となってしまうのです。

【対処法】

結婚、進学や就職などで家族から車両を譲渡され自動車保険の等級も含めて名義変更を行う場合には、同居期間中に実施をすることが必要です。
手続き完了後に引っ越すことは何の問題もありません。
引っ越す直前には自動車保険以外にも気がかりなことが多いと思われますが、引っ越し前に手続きを終えるように注意しましょう。

親族間で名義変更をするときは契約の見直しを

同居の親族であれば名義変更の手続きと同時に等級の引き継ぎもできますが、自動車保険の契約を見直しておかないと補償ができなくなる可能性があります。
名義変更で記名被保険者を変更すると、新記名被保険者を軸に補償範囲を捉える必要があります。
では、契約内容の見直しはどんなポイントを押さえておくべきでしょうか。
以下4つのポイントをご確認ください。

1.年齢条件がマッチしていない

親の契約を子に名義変更する場合に多いのが、年齢条件の見直し漏れです。
例えば、親は自動車保険の節約で「35歳以上」の年齢条件に設定している場合があります。
この場合、補償の対象となるのは35歳以上の方のみです。
子に契約を名義変更する場合には、子の年齢に合うように見直しをせずに35歳以上のままにしておくと、万が一の事故の際には補償できなくなる可能性があります。
例えば、子供が22歳の場合には名義変更のタイミングで21歳以上に年齢条件を変更しましょう。

2.運転免許証の色の見直しを

記名被保険者を変更する場合には、運転免許証の見直しが必要です。
自動車保険の契約時には必ず記名被保険者の運転免許証の色を申告する必要があります。
現在の記名被保険者の方の色から、新契約となる方の運転免許証の色へと変更しましょう。

3.運転者の限定特約の範囲が変わる

自動車保険は保険料の節約のために運転する人の範囲を限定することができます。
代表的な限定特額が「本人・配偶者限定」です。
例えば、父親の自動車保険の契約において本人・配偶者限定が指定されている場合は、「父親とその配偶者(内縁関係含む)」のみが補償の範囲です。

この契約を子に名義変更する場合、本人・配偶者限定のままにしておくと「子とその配偶者(内縁含む)」へと対象者の範囲が変わります。
子が未婚の場合は本人限定へ変更すると保険料が下がる可能性が高いためおすすめです。
また、子への名義変更を行った後も家族が共有して乗る可能性がある場合には、限定範囲を外す必要があります。

4.その他の特約や補償内容も見直そう

この他に、自動車保険には細やかな項目がたくさんあります。
自動車保険の名義変更をする際には、「使用目的」の変更も忘れずに行いましょう。
使用目的とは、自動車を運転する際の目的を以下3つの区分に分けているものです。

  • 業務使用
  • 通勤、通学
  • レジャー

現在の自動車保険の記名被保険者は通勤に使用していた場合でも、別の同居の親族へ名義変更を行った場合には使用目的が変わることもあるでしょう。
日常的なレジャーにしか使用しない場合には使用目的を変更すると保険料が下がる可能性もあります。
使用目的は業務使用が最も自動車の使用頻度が高いと考えられるため保険料が高く設定されています。

この他にも、新しい記名被保険者の方にマッチするような補償内容へと適宜見直しを行いましょう。
万が一の時に備えて、車両保険の増減や特約の見直しを行うことも大切です。

6等級以下の等級の引き継ぎはデメリットになる

優れた等級を引き継ぐ目的で自動車保険の名義変更の手続きを行う方が多いですが、等級の引き継ぎには注意点があります。
それは、6等級以下の等級を引き継ぐ場合は新規契約よりデメリットとなる点です。
いわゆるデメリット等級と呼ばれる等級は新規契約の6等級より以下である1~5等級を指し、保険料が割高に設定されています。
自動車を同居の親族で引き継ぐ場合にはデメリット等級も引き継ぎしなければならないのです。
保険料が相当高くなるケースもあるので、本当にその車両は引き継ぐべきなのか十分に検討をしましょう。

自動車保険の名義を変更するタイミング

自動車保険の名義を変更する場合には、過去に遡って手続きが出来ません。
新記名被保険者が運転を開始するまでに手続きを完了している必要がある為、ゆとりをもって手続きを行いましょう。

また、保険期間の満了のタイミングで名義変更を行う場合には、「7日」の間に新契約を引き継ぐ必要があります。(通称7日間ルールと呼びます)
現在の自動車保険の満了日(あるいは解約日)から8日以上過ぎてしまった場合、等級の引き継ぎができなくなってしまいます。
但し、中断証明書を発行しておけば8日間を過ぎてからも名義変更をした上で自動車保険の契約と等級の引き継ぎができます。

オススメの記事

【中断証明書】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
中断証明書とは?発行するメリット

まとめ

この記事では自動車保険の名義変更に関して詳しく解説を行いました。
名義変更のポイントを再度おさらいしておきましょう。

  • 自動車保険の名義変更は、同居の親族や配偶者(内縁関係含む)で行えば、等級継承ができる
  • デメリット等級も引き継がなければいけないため、車両の引き継ぎには注意が必要
  • 名義変更後には新記名被保険者に合わせて保険契約を見直ししよう

適切に自動車保険を次の方へバトンタッチするためにも、今回の解説記事を踏まえた上で、安全にお手続きください。

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