電子車検証の完全ガイド!電子化のメリット・読み取り方法を解説

    車検証とは正式には「自動車検査証」(以下:車検証)と呼び、日本国内の公道を走行する際には車内に備えておく必要がある書類です。
    車検証は法律で定められた保安基準をクリアし、車検に合格していることを証明しています。

    車検証の発行はこれまで紙で発行されてきましたが、2023年1月より電子車検証の運用が開始されました。
    本記事では、電子車検証導入の背景やしくみ、導入されたICタグの読み取り方法を詳しく解説します。

    この記事をまとめると

    • 車検証がデジタル化されている背景
    • 紙の車検証と電子車検証の違い
    • ICタグの利用方法
    • 自動車保険に与える影響
    • 車検切れを起こさないコツ

    電子車検証とは?導入の背景やしくみを解説

    2023年1月にスタートした電子車検証は、なぜ導入が行われたのでしょうか。
    この章では導入背景やしくみについて詳しく紹介します。

    国土交通省が推進するデジタル化事業の1つ

    そもそも車検(自動車検査登録制度)は、道路運送車両法に基づく法律で定められた自動車の所有者の義務とされており、国土交通省が管轄しています。

    現在国土交通省(以下、国交省)では自動車にまつわる事業などについて、利便性の向上を目的にデジタル化を進めており、車検証の電子化も交付の際の利便性を高めることを目的に導入されました。

    自動車にまつわる行政手続きについては、道路運送車両法に基づく登録・検査のほか、自動車の保管場所証明、自動車税(種別)など多岐にわたっており、事業者だけではなく個人が負担せざるを得ない手続きも多数存在しています。

    今後、国交省はこうした事務負担を大きく削減するため、オンライン・一括で申請可能とするワンストップサービス(OSS)の運用を開始しています。
    電子車検証はOSSの運用を促進するものであり、今後は行政手続き全般の利便性がアップする予定です。

    参考URL:国土交通省 国土交通白書2023
    第1節 国土交通省のデジタル化施策の方向性

    紙の車検証と電子車検証の違い

    従来の紙の車検証と電子車検証では、大きさやチップの搭載などに大きな違いがあります。
    詳しくは以下のとおりです。

     車検証
    (紙の車検証)
    電子車検証
    形態紙媒体
    (A4サイズ)
    ICタグ + (A6サイズ厚紙、記載情報は最小限)
    情報詳細な情報を車検証に記載詳細情報はICタグに記録
    アプリやICカードリーダーで確認
    携行義務携行義務ありアプリ等で確認できれば、券面の携行は必ずしも義務ではなくなる(現在は自動車検査証記録事項を発行中、アプリなどが普及したら2027年12月で廃止予定)
    手続き窓口での手続きが基本車検証の交付や住所変更手続きなどがオンラインで可能
    情報確認紙に記載されている内容を確認スマートフォンアプリやICカードリーダーなどで確認
    チップ非搭載搭載
    オンライン連携限定的今後の多様なサービス連携が期待される

    電子車検証は従来のA4判からA6判相当の厚紙+ICタグへと小型化されました。
    実際に手に取るとその薄さに驚く方も多いでしょう。

    電子車検証の対象車両は、普通自動車(普通車、小型車、特殊自動車、大型特殊自動車)、2024年1月1日以降からは小型二輪・軽自動車が追加されています。

    オススメの記事

    【車検】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
    3ナンバー・4ナンバー・5ナンバーの違いとは?車検・税金などの維持費を徹底比較!

    ICタグの利用方法

    電子車検証の場合、車検証に記載される情報の多くはICタグ内に記録されています。
    では、情報を読むにはどのようにICタグを使えばよいのでしょうか。

    ICタグ内の記録を読むためには、スマホ・タブレットもしくはICカードリーダーを利用します。

    ① スマホ・タブレットの場合

    スマホを利用される場合は、事前に「車検証閲覧アプリ」のダウンロードが必要です。
    アプリからは車検証情報ファイルの出力も可能となり、リコール対象者などの情報も把握できます。ダウンロード後、車検証に記載されているセキュリティコードを入力するとICタグが読み取れます。

    ただし、2025年4月現在タブレットの場合はアプリの使用ができるのはandroidのみです。
    企業内パソコンからアクセスしようとすると動作制限が発生します。このようなケースでは、サイドローディング版をダウンロードします。

    アプリダウンロード以降の流れについては、以下サイトからご確認ください。
    参考URL:国土交通省
    車検証閲覧アプリについて

    ② ICカードリーダーの場合

    ICカードリーダーの場合は国土交通省が対応機種を公開しています。
    電子車検証動作確認済み機器一覧については、以下をご確認ください。
    (2024年6月27日公開が最新版)

    参考URL電子車検証動作確認済みICカードリーダー

    電子車検証への移行における注意点とは

    利便性の向上を目的に電子車検証の活用がスタートしていますが、押さえておきたい注意点はあるでしょうか。
    従来とは大きく様変わりした車検証について、この章では注意点を解説します。

    1.ICタグを切り取る・破損は車検証が無効となる

    電子化された車検証はICタグも一体でなければ無効となってしまいます。
    ICタグ部分を切り取ってしまったり、破損させてしまうと無効な車検証となってしまうためご注意ください。

    ICタグ部分が高温で破損しないよう、直射日光が当たるダッシュボードではなく、車内の温度変化が少ない場所に保管してください。
    もしも破損してしまった場合は、管轄の運輸支局などで再交付を受ける必要があります。

    スマホなどのデバイスがない場合の対処法

    電子車検証はスマホやタブレットなどのデバイスでICタグを読み込む必要があります。
    しかし、お手元にこうした機器がない場合、読み込みができません。
    2027年12月までは、従来の車検証と同じ記載内容の「自動車検査証記録事項」を代用しますが、それ以降は現在のところ代替策は未定です。

    紙の車検証から車検期間満了を待たずに電子化することはできる?

    現在車検期間が満了を迎えておらず、次の車検まで期間があるものの、電子車検証に交換することはできるのでしょうか。

    結論から言うと、次の車検時までは発行できません。
    次回車検以降に対象車種なら電子車検証になります。

    自動車検査手数料にも注意!

    電子化の促進により、車検などにまつわる手続きが安くなることが期待されていましたが、残念なことに「値上げ」されており、従来の手続きより数百円程度値上げしています。
    例として、新規検査の場合軽自動車は1100円から1500円、普通自動車は1200円から1500円に手数料が引き上げられています。

    詳細は国土交通省公式サイト『車検手続きのデジタル化のお知らせ』をご参照ください。
    参考URL:国土交通省
    「車検手続きのデジタル化のお知らせ」

    電子車検証による車検上のメリットとは?

    電子車検証の発行が進んでいますが、車検を受ける際にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

    アプリで情報が読み取れる以外にも、電子化によるメリットは多岐にわたっています。
    そこで、この章では電子車検証のメリットをわかりやすく紹介します。

    自賠責保険証もまとめてデータ化できる

    2024年11月の法令改正によって「自賠責保険証明書」についてもデータで交付できるようになりました。
    義務である車検証と、強制加入である自賠責保険がそれぞれデータ化されることにより、携行の負担がさらに軽減されています。

    自賠責保険については販売する各損害保険会社で「One-JIBAI」を利用したデータ交付を開始しており、セットで携帯・管理ができるようになっています。

    参考URL:一般社団法人 日本損害保険協会
    自賠責証明書(データ交付)について

    車検の更新がよりスピーディーになった

    これまでの車検を受け、次の車検証へと更新する際には運輸支局等へ出向く必要がありました。しかし、電子車検証の場合は券面記載事項に変更がない場合、ICタグの記録情報書き換えのみで手続きが完了できるようになりました。

    わかりやすく言うと、車検時の業者側の手続きがスピーディーになっています。
    多くの方は車検時にディーラーや自動車整備事業者を利用しており、業者は運輸支局等への出向いて車検証を更新していました。
    電子化以降は手続きを迅速に完了できます。(※)

    車検は修理すべきところがなくても時間がかかる…そうしたイメージを払しょくしています。
    (※)記録情報の書き換えができる業者は、各運輸支局から「記録等事務委託」の承認を受けた指定整備工場および行政書士に限られます。

    電子車検証によるデメリットはある?

    電子車検証は車検の更新作業がスムーズになったためメリットが大きいように見えますが、知っておきたいデメリットもあります。

    そこで、この章では自動車ユーザーと車検を通す事業者側の2つの視点に分けてデメリットを紹介します。

    自動車ユーザー側のデメリット

    電子車検証は従来よりも小さなサイズに変更されているため、これまでファイリングしていたケースなどから落ちてしまう可能性があります。
    スマホなどのデバイスがない方は「自動車検査証記録事項」によって確認できますが、今後廃止予定のため注意が必要です。

    また、手続きの料金が若干ですが値上がりしていること、ICタグは破損すると車検証そのものが無効となってしまう点は、紙だけの車検証よりもデメリットはあると言えるでしょう。

    車検時に納税証明書は必要?

    車検時には車検証と自動車税の納税証明書をセットでご提出されている方は多いでしょう。しかし、車検時の納税証明書の添付は2015年4月以降原則不要です。軽自動車の場合も2023年1月以降は原則不要となっています。

    ただし、自動車税の納税から車検までの期間が短い場合、納税情報がシステムに反映されていない場合があります。(最大4週間かかります)
    納付後すぐに車検を受ける際にはあらかじめ納税証明書を用意しておきましょう。

    事業者側のデメリット

    事業者側としては車検手続きの手間が大幅に削減されているためメリットは大きいですが、預かっている車両の車検証を長時間高温の場所に放置すると、ICタグが破損するおそれがあります。
    保管時にはトラブルが起きないように注意が必要です。

    また、大量の車両のICタグを読み込む事業者側は、スマホではなくICカードリーダーの導入が一般的でしょう。
    専用のカードリーダーを購入する必要がある点もデメリットと言えるでしょう。

    また、大量の個人情報を扱うことになるため、預かっている車両のデータが外部へ流出しないように厳重に保管する必要もあります。

    自動車保険契約に電子車検証はどのように影響する?

    ICカードタイプの「電子車検証」の交付が開始され、従来の紙の車検証から大きく変わりましたが、「自動車保険」にどのような影響を与えるのでしょうか。

    この章では自動車保険契約の視点から電子車検証が与える影響を紹介します。

    自動車保険に与える電子車検証の影響とは

    自動車保険の契約・更新手続きにあたっては、必ず自身が所有する自動車の内容を入力する必要があります。
    自動車保険で申告する必要がある車両の情報は、以下の内容です。

    • 車両型式
    • 車台番号
    • 自動車登録番号(ナンバープレートに記載されている番号)
    • 初度登録年月 など

    これらの情報は車検証上に掲載されているため、自動車保険契約時にはお手元に車検証やアプリで読み取った情報を用意する必要があります。

    ほとんどの保険会社は車検証上の情報を申告すればOKとしているため、車検証の原本の写しを提出する必要はありません。
    代理店型の場合は営業担当者に車検証上の情報を伝える必要があります。

    「車検証閲覧アプリ」の準備方法

    電子車検証から情報を読み取るためには、事前に車検証閲覧アプリをインストールする必要があります。
    初回ダウンロード時には利用規約への同意が必要です。なお、アプリは定期的にメンテナンスが行われているため、利用できない場合があります。
    自動車保険の更新時などは余裕をもってお手続きください。

    車検証の電子化でさらにダイレクト型自動車保険は便利に

    電子車検証の導入は、自動車保険の基本的なしくみを大きく変えるものではありません。しかし、保険加入や更新時の情報確認方法がスマホ1台に集約されているため、以前よりもお手元での自動車保険契約がスムーズになりました。

    代理店型よりも一般的に自動車保険料も安く、この機会に代理店型の方はダイレクト型への見直しもおすすめです。

    車検切れには要注意!うっかりミスを防ぐコツとは

    「まだ大丈夫だと思っていたら、いつの間にか車検が切れていた!」そんなうっかりミスは、法律違反となってしまうため絶対に避けたい事態です。

    車検切れの車で公道を走行すると厳しい罰則(違反点数6点・30日間の免許停止、6か月以下の懲役または罰金30万円)が科せられるおそれがあります。
    さらに、万が一事故を起こしてしまった場合は自賠責保険も無効となり、莫大な補償責任を自身で負うことになりかねません。
    電子車検証は情報の多くがICタグ化したため、車検期間の確認が漏れるおそれがあります。

    そこで、この章では車検切れを防ぐコツを紹介します。

    まずは正確な車検満了日を確認!

    自動車(軽自動車)のフロントガラスに貼られた検査標章(ステッカー)で車検の「年月」は表面で、日にちは裏面で確認できます。
    車検証がお手元になくても車検満了日は把握できるため、定期的に確認することがおすすめです。

    早めの予約・準備を心がける

    車検は有効期間満了日の1ヶ月前から受けることが一般的です。
    早めに受けても、次回の満了日が前倒しされることはありません。

    車検が集中しやすい2~3月は整備工場が混み合っていたり、予期せぬ整備箇所が見つかって時間がかかったりすることもあるため、お早めに手配し、車検切れが起きないように注意しましょう。
    ディーラーや整備工場とお付き合いがある場合は、はがきやメールなどでお知らせをお願いしておくこともおすすめです。

    まとめ

    この記事では、導入が進む電子車検証について、紙の車検証との違いや情報の読み取り方法、電子化のメリット・デメリットを中心に詳しく解説しました。

    国交省は現在自動車関連でデジタル化を推進しており、車検証以外にも利便性が高まる予定です。ただし、利便性を享受するためにはスマホなどのデバイスが必要となるため、お手元に用意しておくことが望ましいでしょう。

    デジタル化は進んでいるものの、車検切れなどの罰則は維持されています。
    安心のカーライフのためにも、車検切れは起こさないようにご注意ください。

    投稿者プロフィール

    岩田あき
    岩田あき
    経歴:大手損害保険会社に勤務後、弁護士事務所で秘書として交通事故訴訟の調査に従事

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