【法人向け】自動車保険を選ぶポイントと注意点をわかりやすく解説

「企業が入る自動車保険は、どのようなものを選べばいいのかわからない」「事故が起きたときのために、しっかりとした補償内容の自動車保険に加入したいけれど、どのような点に気をつければいいのかわからない」
このように、法人向け自動車保険の選び方に困っていませんか?

法人向けの自動車保険は、個人で加入する自動車保険とは異なる点が多くあります。そのため、難しく感じてしまう方も多いでしょう。
そこでこの記事では、法人向け自動車保険の選び方のポイントをわかりやすく解説します。

保険の基本的な仕組みから、個人向けとの違い、保険料を安くするための方法まで、知っておくと役立つ情報をまとめました。
法人向け自動車保険で悩んでいる方、これから加入しようと考えている方は、この記事を参考にすれば、自動車保険選びのヒントが見つかるでしょう。

この記事をまとめると

  • 法人向け自動車保険は、企業が業務用として使用する自動車を対象にしている。
  • 法人向け自動車保険は、個人向け自動車保険と保険料の算出条件や対象となる車が異なる。
  • 緑ナンバーや黒ナンバーの営業用自動車も対象にできる。
  • 10台以上のフリート契約と9台未満のノンフリート契約では保険料の算出方法が異なる。
  • 加入方法は「代理店型」と「ダイレクト型」から選べる。
  • 対面サポートを重視するなら代理店型、保険料の安さを優先するならダイレクト型がおすすめ。

法人向け自動車保険の基礎知識

法人向け自動車保険とは、企業や団体が業務用として使う自動車を対象とした保険です。

法人向け自動車保険の補償内容は、対人賠償責任保険、対物賠償責任保険、人身傷害補償保険、車両保険など、個人向けの自動車保険と基本的には変わりません。しかし、業務上のリスクに対応した特約や法人契約ならではの特徴があります。

法人向け自動車保険とは?

法人向け自動車保険とは、原則として以下の3つが同一の法人である契約です。

  • 1.契約者(保険の加入者)
  • 2.記名被保険者(最も車を運転する人または法人)
  • 3.車両所有者(車検証に記載されている所有者または使用者)

ただし、契約者と記名被保険者のいずれかが法人であれば、法人向け自動車保険に該当する保険会社もあります。そのため、「契約者」「記名被保険者」「車両所有者」が同一の法人でない契約については、各保険会社によって取扱いが異なります。
※「契約者」「記名被保険者」「車両所有者」については、次の章で詳しく解説します。

法人向け自動車保険では、タクシーや運送業などで使う、いわゆる緑ナンバーや黒ナンバーの営業用自動車も契約の対象です。これらの車種は個人向け自動車保険では加入できないため、法人向けの保険に加入する必要があります。

また、法人向け自動車保険の保険料は経費として計上できます。経理処理上のメリットがある点も特徴の一つです。

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自動車保険の保険料と消費税の関係!仕訳や免責についても解説

契約者・被保険者・車両所有者の違い

法人向け自動車保険の基礎知識を理解するには、「契約者」「記名被保険者」「車両所有者」の違いを知っておいた方が理解しやすくなります。
それぞれの違いは以下のとおりです。

契約者● 保険契約を締結する人または法人
● 保険料を支払う
記名被保険者● 主に車を運転する人または法人
● 補償の中心
車両所有者● 車検証の所有者欄に記載されている者
● ローン会社やリース会社が所有者の場合は、車検証の使用者

契約者は保険会社と自動車保険契約を締結し、保険料の支払い義務を負う人、または法人です。
保険期間の途中で変更があったり、解約したりする場合は、契約者の意思確認が必要です。法人契約の場合、基本的に契約者は法人となります。

記名被保険者は、契約する車を最も多く運転する人を設定します。
法人向け自動車保険では、この被保険者を法人にすることで、複数の従業員を補償の対象とできるのです。ただし、法人の代表者やその家族など、特定の人が運転する車の場合は、契約者を法人にして、記名被保険者を個人(特定の人)にすることも可能です。

個人契約の場合、補償の中心は記名被保険者です。
例えば運転者の限定をする場合、記名被保険者からみて同居の親族までとするのか、記名被保険者の配偶者までとするのかなど、被保険者を中心として考えます。また、等級の持ち主もこの被保険者です。

車両所有者は車検証の所有者欄に記載されている者を設定します。
ただし、ローンで購入した車やリースで借りている車の場合、車検証の所有者はローン会社やリース会社になっています。そのため、これらの場合は使用者に記載されている人や法人を車両所有者とみなします。

法人向けと個人向け自動車保険の違い

法人向け自動車保険と個人向け自動車保険の主な違いを以下の4つの観点から解説します。

  • 契約種類の違い
  • 保険料の違い
  • 加入できる車の種類
  • 補償内容の違い

保険種類の違い

保険会社によっては、個人と法人で異なる保険種類を提供しているところがあります。
保険料の算出条件や対象となる車が個人と法人とでは異なるからです。

たとえば、三井住友海上保険の場合、以下の保険種類でわけられています。

  • 個人向け:GKクルマの保険(家庭用総合保険)
  • 法人向け:自動車保険・一般用

その他の保険会社の自動車保険のホームページを見ても、個人向け自動車保険のページとは別に法人のお客さま向けの別ページが設けられていることが多いです。法人向け自動車保険を検討している場合は、契約種類を間違わないように気をつけましょう。

【当サイトおすすめの法人向け自動車保険】

三井ダイレクト損害保険の法人向け

保険料の違い

法人向け自動車保険は、個人向け自動車保険と保険料を算出するための項目が異なります。

具体的には、個人向け自動車保険にある以下の項目が法人向け自動車保険にはありません。

  • 使用目的
  • 予想走行距離
  • 被保険者の生年月日
  • 免許証の色
  • 運転者の限定

法人の車は業務に使用されるため、使用目的が業務用に限定されます。また、従業員が交代で車を運転することが多いため、特定の運転者の情報(生年月日や免許証の色など)を保険料に反映させることができません。保険料を決める項目として、個人向け自動車保険にはあって、法人にはないものがあるのです。

また、法人向け自動車保険は契約台数が10台以上になると9台未満の時の等級がなくなり、別の方法で保険料が計算されます。
このように、保険料の算出にかかわる項目が異なるため、一概に個人契約と法人契約のどちらが高い、安いとは言えません。

法人向けと個人向けで保険料シミュレーション

そこで、同じような補償内容にした場合、個人向け自動車保険と法人向け自動車保険で保険料がどれくらい違うのかシミュレーションしてみました。

今回はノンフリート契約で12等級のプリウスを例に試算します。

 個人向け自動車保険法人向け自動車保険
 67,660円86,380円
使用目的家庭用業務用
走行距離9,000km以下
被保険者生年月日1990年1月1日
免許証の色ブルー
運転者限定本人・配偶者

【見積り条件】
保険会社:ソニー損保/保険始期:2024年9月1日/型式:ZVW51/初年度登録:令和5年11月/対人・対物・人身傷害:無制限/車両保険:一般、335万、免責5-10万円/年齢条件:30歳以上

今回の試算結果では、法人向け自動車保険の方が個人向けに比べて、約19,000円高くなりました。
これは、被保険者年齢区分や走行距離、運転者限定などが影響しています。

このシミュレーションで、個人向け自動車保険の走行距離を無制限、運転者限定をなしにすると、保険料は96,840円 となり、法人向け自動車保険より高くなります。
このように、個人向けと法人向けでどちらの保険料が安いかは、条件によって異なります。

加入できる車の種類

法人向けと個人向け自動車保険で加入できる車の種類には、大きな違いがあります。

個人向け自動車保険では、自家用自動車のみが対象です。
一方、法人向け自動車保険では、自家用自動車だけでなく、営業用自動車も加入できます。

例えば、営業用の乗用車や貨物車、バスやタクシーなど、業務に使用されるさまざまな車が法人向け自動車保険で契約できます。いわゆる黒ナンバーや緑ナンバーの車も、法人向け自動車保険なら補償の対象です。

このように、法人向け自動車保険は、個人向けと比べてより幅広い車種の車を補償できるのが特徴といえます。

補償内容の違い

法人向け自動車保険と個人向け自動車保険では、車の使用目的や運転する人の範囲が異なるため、補償や特約にも違いがあります。

個人向け自動車保険では、以下の保険が基本補償です。

  • 対人賠償保険(相手のケガ)
  • 対物賠償保険(相手のモノ)
  • 人身傷害保険(自分のケガ)
  • 車両保険(自分の車の修理代)

法人向け自動車保険も基本的には上記の補償を含みます。

ただし、人身傷害保険の補償範囲には違いがみられます。個人向け自動車保険の場合、人身傷害保険の補償範囲を広げて設定できます。
例えば、他の車に乗っているときや歩行中に自動車事故に遭った場合でも、補償を受けられるようにすることが可能です。
しかし、法人向け自動車保険では、人身傷害保険の補償範囲は契約している自動車に乗っているときに限られます。つまり、法人向け自動車保険では、契約車両以外での事故には補償が適用されないのです。

また、個人向け自動車保険では「他車運転危険特約」が自動的についていることが多いですが、法人向けの場合はセットされないのが一般的です。
「他車運転危険特約」とは、他人の車を運転しているときに事故を起こした場合、自分の保険から損害賠償金が支払われるという特約です。
例えば、友人の車やレンタカー、修理中の車の代車を運転しているときに事故が起きた場合でも、この特約があれば自分の保険で補償を受けられます。しかし、法人向け自動車保険には、この特約がついていません。同じような補償を受けるには、別で特約を追加しなければなりません。

被保険者が法人の場合、補償対象が広いため、リスクが高くなります。そのため、個人向け自動車保険に比べて補償が限定的になるのです。
補償を広げるために、法人向け自動車保険には業務上のリスクに備えるさまざまな特約が用意されています。
たとえば、以下のような特約があります。

特約内容
対人賠償使用人災害特約契約自動車によって業務中の従業員にケガを負わせてしまった場合、対人賠償保険金が支払われる
搭乗者傷害事業主費用特約契約自動車に搭乗中の事故によって役員や従業員が死亡または後遺障害を追った場合、事業主が負担する費用が支払われる
対物賠償非所有管理財物特約取引先等から借りて使用・管理中の財物に損害を与えてしまったの賠償金を支払われる
積載貨物賠償特約事故により運送中の積載貨物を損傷した場合の損害賠償責任を補償する
積載事業用動産特約車両保険を支払う事故により、車内にあった事業用動産(商品等)に損害が発生した場合の修理費を補償する
臨時代替自動車補償特約契約自動車が整備・点検などで使えない場合に、代わりに借りた車を契約自動車とみなして補償する

参考URL:SBI損保
法人のお客さまへ自動車保険のご案内

このように、法人向け自動車保険には個人向けとは異なる点があります。
これらの違いがあることを知り、必要な補償や特約を選ぶことが重要です。

法人向け自動車保険の選び方のポイント

法人向け自動車保険を選ぶ際には、いくつか重要なポイントがあります。
ここではとくに重要な3つのポイントについて解説します。

  • 契約台数に応じた契約方式に対応しているか確認する
  • 必要な補償内容や特約の有無を確認する
  • 加入方法(代理店型とダイレクト型)を選択する

契約台数に応じた契約方式に対応しているか確認する

契約台数が10台以上の法人の場合は、自動車保険を選ぶ際にフリートが契約対象かどうかを確認しましょう。

10台以上はフリート、10台未満はノンフリート

自動車保険を契約している車が10台以上ある場合はフリート契約、10台未満の場合はノンフリート契約になります。

フリート契約とノンフリート契約の主な違い は以下のとおりです。

 フリート契約ノンフリート契約
契約している台数10台以上1〜9台
契約方法法人単位で一括契約1台ごとに個別契約
保険料の決まり方契約している車すべてに対して、支払った保険料と支払われた保険金額の割合(損害率)で決まる1台ごとの等級、事故件数などで決まる

10台に到達するとフリート契約となり、ノンフリートでは契約できなくなります。
一般的にフリート契約は、所有または使用している車すべてを一つの契約とする方式です。

毎年、保険会社に支払った保険料と事故などで受け取った保険金の割合に応じて割増引率が決まり、その割増引率はすべての車に適用されます。
一方、法人契約でも10台に満たなければ、個人契約と同じように等級によって保険料が決まるノンフリート契約です。
保険会社によって、法人契約の扱いはあるものの、フリート契約は取扱い対象外となっているところがあります。とくに、インターネットで加入できるダイレクト型自動車保険の多くで、10台以上のフリートは契約できません。
すでに10台以上ある法人や1年以内に10台に到達する見込みがある場合は、フリートが契約できる保険会社を選びましょう。

ミニフリートとは?

「ミニフリート」や「セミフリート」とは、ノンフリート契約の車を複数台まとめて契約する方式をいいます。
ノンフリート契約は1台ごとに契約するのが一般的ですが、複数台まとめて1つの契約にすることも可能です。
複数台まとめると割引が適用され、その割引率は保険会社によって異なります。

    (例)ノンフリート多数割引の割引率

  • 2台:3%
  • 3〜5台:4%
  • 6台以上:6%

参考URL:三井住友海上保険
保険料の決定の仕組み

たとえば、契約台数が3台〜9台の法人がミニフリートを契約すれば、1台ごとに契約するよりも保険料が安くなります。さらに、ミニフリートにすることで、継続手続きや保険料の管理が1契約分で済むため、複数台バラバラに契約するよりも事務手続きが簡単です。

ただし、ノンフリート多数割引はすべての保険会社で適用できるわけではありません。
ノンフリート契約を一つの契約にまとめたい場合は、それができる保険会社を選ぶ必要があります。

必要な補償内容や特約の有無を確認する

事業用に車を使う場合、業種やリスクに応じて必要な補償内容が違うでしょう。
法人向け自動車保険は各保険会社ごとに、用意されている特約が異なります。

たとえば、運送業の場合、車内にある商品等に損害が発生した際の修理費を補償できる特約をつけたいと思うかもしれません。しかし、希望する内容の特約をすべての保険会社でつけられるとは限りません。
自社に必要な特約や、補償に対応している保険会社を選ぶことが重要です。

加入方法(代理店型とダイレクト型)を選択する

法人向け自動車保険への加入方法には、大きく分けて「代理店型」と「ダイレクト型」の2種類があります。
代理店型は、保険会社の代理店を通じて加入する方法です。一方、ダイレクト型はインターネットで直接保険会社と契約する方法です。

それぞれのメリットとデメリットをまとめてみました。

加入方法メリットデメリット
代理店型● 保険内容や手続きについて直接説明を受けられる
● 事故対応や変更手続きなどの窓口となってくれる
● ダイレクト型と比べて保険料が高くなる傾向がある
● 代理店の営業時間内のみ対応可能
ダイレクト型● 代理店型と比べて保険料が安くなる傾向がある
● インターネットで24時間いつでも手続きが可能
● 事故対応や各種手続きを自分で行う必要がある
● 加入できる車種が限られる
● フリートは契約できない

法人向け自動車保険は業務上のリスクに対応するため、個人向けと比べてわかりにくい印象を持つ人もいるでしょう。しかし、代理店型なら代理店の人に直接質問でき、ダイレクト型でも電話で相談できる問い合わせ先があります。どちらも不安を解消し、納得がいくまで説明を聞くことが可能です。

保険料は、代理店型よりもダイレクト型の方が安くなる傾向にあります。
ダイレクト型はインターネットで見積もりから契約まで自分で行わなくてはなりません。手続きしてくれる代理店を介さない分コストが抑えられ、リーズナブルな保険料になるでしょう。

ただし、ダイレクト型の法人向け自動車保険の多くは対象車種が自家用自動車に限られています。また、契約台数が10台以上のフリート契約もダイレクト型では契約できません。

営業用自動車で自動車保険に加入したい場合や10台以上車を所有している場合は、代理店型を選ぶことになるでしょう。9台未満で社用車が自家用自動車なら、ダイレクト型も選択肢になります。
どちらの加入方法を選ぶかは、コストや対面でのサポートが必要かどうかなどを総合的に判断することが大切です。

法人向け自動車保険の注意点

法人向け自動車保険には、いくつかの注意点があります。ここでは、以下の3つについて詳しく解説します。

  • 等級継承ができないケース
  • 年齢条件の設定
  • 損害率が高いと全体の保険料に影響する(フリートの場合)

等級継承ができないケースがある

契約台数が10台未満のノンフリート契約は等級が保険料に大きく影響します。
等級は無事故の期間が長いほど上がり、保険料が安くなる仕組みです。個人向け自動車保険では、車を買い替えても、車に乗る人が同居の家族間で変わっても等級を引き継げます。

しかし、法人契約の場合は等級が引き継げないケースもあるため、注意が必要です。
等級が引き継げない主なケースは以下の2つです。

  • 自家用から営業用に変えるケース
  • 個人・法人間で被保険者を変更するケース

車を自家用から営業用に変えた場合、等級をそのまま引き継ぐことはできません。
たとえば、20等級の黄色ナンバー(自家用)の軽乗用車から黒ナンバー(営業用)の軽貨物に車を買い替えた場合、同じ軽自動車同士でも、等級継承ができないため、入替手続きはできません。黒ナンバー(営業用)の軽貨物は、新規契約として6Sまたは7S等級から始めなくてはいけないのです。

また、個人から法人に被保険者を変更する場合も、基本的には等級が引き継げず、新規で契約し直すことになります。ただし、個人で行っていた事業を法人化する等、事業の同一性が認められる場合のみ、必要書類を提出することで等級を引き継ぐことが可能です。

年齢条件の設定に注意が必要

法人向け自動車保険では、年齢条件の設定に注意が必要です。
年齢条件を設定すれば保険料を抑えられるというメリットがある一方、設定を誤ると補償が受けられないリスクがあるからです。

たとえば、年齢条件を30歳以上にした場合、30歳未満の従業員が運転する際には補償が適用されません。
万が一条件を満たさない従業員が運転して事故を起こした場合、保険金が支払われない可能性があります。そのため、年齢条件を設定する際には、運転者の入れ替わりや新規採用も考慮しなければいけません。

法人で使う車は従業員をはじめ、さまざまな人が乗る可能性があるため、年齢条件の設定は慎重に判断する必要があります。

1台でも事故が多いとすべての車の保険料が上がる(フリートの場合)

契約台数が10台以上のフリート契約の場合、事故によって受け取った保険金が高いと、無事故だった車も含めて契約している車すべての保険料に影響します。

フリート契約は法人が所有する10台以上の車をすべて一括して一つの保険契約にする方式です。保険料は加入している車全体の損害率に応じて決まります。損害率とは、フリート契約で支払った保険料に対して、事故などにより受け取った保険金の割合で算出します。

たとえば、10台ある車のうち、1台だけが何度も事故を起こして保険金を多く受け取り、損害率が上がったとします。この場合、残りの9台は無事故ですが、その影響はフリート全体に及ぶのです。また、たった1回の事故でもこの事故による損害額が大きければ、損害率が上がり全体の保険料を上げる要因となります。

フリート契約の場合、一部の車の事故が全体の保険料に影響するため、事故防止対策を徹底することが重要です。

法人向け自動車保険の保険料を抑える方法

法人向け自動車保険の保険料を抑えるためには、いくつかのポイントを押さえることが重要です。
ここでは、以下の3つのポイントについて詳しく解説します。

  • 年齢条件の設定
  • 特約の見直し
  • ダイレクト型自動車保険を検討する

年齢条件の設定

年齢条件の設定を高くすると、保険料を大幅に節約できます。
一般的に、若年層の運転者は事故のリスクが高いため、年齢条件を全年齢や低くすると保険料が高くなります。

たとえば、ソニー損保の法人向け自動車保険で選択できる年齢条件は以下の4つです。

  • 30歳以上
  • 26歳以上
  • 21歳以上
  • 年齢を問わず

「年齢を問わず」を選択し、誰が運転しても補償できるようにするとリスクが高いため、保険料も高くなります。
この中でいえば「30歳以上」に設定するのが、最も保険料を抑えられる方法です。

年齢条件による保険料の違いがどれくらいなのかシミュレーションしてみました。

年齢条件保険料差額
30歳以上86,380円
26歳以上86,560円180円
21歳以上121,430円35,050円
年齢を問わず234,180円147,800円

【見積り条件】
保険会社:ソニー損保/保険始期:2024年9月1日/型式:ZVW51/初年度登録:令和5年11月/対人・対物・人身傷害:無制限/車両保険:一般、335万、免責5-10万円/等級・事故有係数適用年:12等級・0年

30歳以上と26歳の差はわずかですが、21歳以上との差は3万5千円を超えます。さらに、年齢を問わず誰でも運転可能な条件にすると、30歳以上限定と比べて約15万円の差が出ます。
年齢条件が保険料に与える影響は大きいといえるでしょう。

しかし、年齢条件を設定すると、万が一条件を満たさない人が運転した場合は補償の対象外となるため、注意が必要です。実際に運転する可能性のある人の最若年齢を把握したうえで、最適な年齢条件にしましょう。

特約の見直し

法人向け自動車保険の特約は多種多様で、企業のニーズに合わせて選択が可能です。
特約をつければ補償を充実させられて安心ですが、その分保険料は高くなります。そのため、本当に事業に必要な特約かを見直すと、保険料を削減できるかもしれません。

たとえば、運送業を営む人が車で運ぶ貨物を補償するために「積載貨物賠償特約」をつけていたとします。しかし、この法人が別途運送保険(運送業者貨物賠償責任保険)に加入していた場合、貨物に対する補償は重複します。
「積載貨物賠償特約」と運送保険とでは補償内容や支払われる保険金の上限などが異なるため、事業内容によってどちらが適切かを見極める必要があるでしょう。

このように、他に加入している保険と補償が重複している特約はないか、つけている特約の支払い限度額は事業内容に合っているか、などを確認しましょう。
特約の見直しを定期的に行うことが保険料の節約につながります。

ダイレクト型自動車保険を検討する

法人向け自動車保険の加入方法には大きく分けて2種類あります。

  • 代理店型の自動車保険に対面で手続きして加入する
  • ダイレクト型の自動車保険にインターネットで手続きして加入する

保険料を抑えたい人にはダイレクト型自動車保険での加入がおすすめです。代理店を介さないため、保険料は代理店型に比べて安くなる可能性が高いからです。

さらに、インターネットで手続きできるため、時間や場所を選ばずに見積もりや手続きができます。
忙しい人にとっては時間の節約にもなるでしょう。わからないことやアドバイスが欲しい時は、電話で相談することも可能です。希望の条件を話して見積もりしてもらうこともできるので、補償内容の選び方に不安がある人でも安心です。

ただし、ダイレクト型自動車保険ではフリート契約が契約できなかったり、営業用自動車が対象外だったりと条件があります。
自社の状況で契約可能かどうかを事前に確認してみましょう。

法人向け自動車保険の加入手続きと必要書類

実際に法人が自動車保険に加入しようとする際、どのような流れで、何が必要なのでしょうか。
ここでは、自動車保険を契約し、補償が開始するまでの流れや必要書類について解説します。

自動車保険の契約手続きの流れ

法人向け自動車保険を契約するための手続きは、個人向け自動車保険と大きく変わりません。
主な流れは以下のとおりです。

  • 1.見積もり
  • 2.保険会社の選定
  • 3.申し込み
  • 4.保険料の支払い
  • 5.証券を受け取る

まずは候補となる保険会社を選びましょう。10台未満であれば、ダイレクト型自動車保険も候補になります。
代理店型、ダイレクト型からそれぞれ数社を選んで見積もりすると、保険料などの違いがわかります。見積もりを依頼する際には、保険をかける車の情報や、希望する補償内容を詳細に伝えることが重要です。

複数社の見積もりが揃ったら、それぞれの内容や保険料などを比較検討します。保険料だけでなく、補償内容や特約がニーズに合ったものになっているかも考慮して選びましょう。

保険会社を決めたら、いよいよ申し込みの手続きです。
ダイレクト型ならインターネットで手続きが完結します。代理店型の場合は、申込書への署名や押印が必要になるでしょう。
この際、申込書とともに必要書類もあわせて提出します。

申し込み手続きが完了し、内容に問題がなければ契約成立です。申し込みした保険始期から補償が開始され、間もなく保険会社から保険証券が届くでしょう。

保険料の支払い方法や支払う時期は保険会社によって異なります。申し込みする際に保険料を支払うケースもあれば、後から口座引落しされるケースもあります。希望する支払い方法がある場合は、事前にその方法が使えるかチェックしておくこといいでしょう。

必要書類

法人向け自動車保険を契約するために必要な書類は以下のとおりです。2.以降は状況に応じて必要となる書類です。

  • 1.車検証
  • 2.保険証券
  • 3.法人の登記簿謄本
  • 4.リース契約書
  • 5.その他保険会社に求められる書類

車検証

見積もりを作成する際、車の情報の確認に必要です。フリート契約の場合は車の所有者や使用者を確認するためにも必要となります。
車検証がない用途車種の場合は、車の情報がわかる書類を用意します。

保険証券

他社からの切り替えの場合は、保険証券で車の情報や補償内容を確認し、見積もりすることも可能です。
申し込みには前年契約の情報も必要なため、保険会社名や証券番号などを証券で確認します。

法人の登記簿謄本

個人事業を法人化して新たに契約する場合は、法人の登記簿や事業の継承を証明する資料の提出が必要です。
登記簿謄本だけでなく、税理士の確認書など、求められる書類は保険会社によって異なります。

リース契約書

10台以上のフリート契約で、リース車など車検証上の所有者が契約者である法人以外になっている場合は、法人が使用していることを確認するためにリース契約書などを求められることがあります。

まとめ|ニーズに合った保険を選ぼう

法人向け自動車保険は、企業や団体が業務用として使う自動車を対象とした保険です。
個人向け自動車保険とは、加入できる車の種類や補償内容が異なります。
たとえば、営業用の車が契約できたり、業務上のリスクに備える特約がつけられたりします。
また、保険料の算出にかかわる項目も異なります。そのため、一概に個人契約と法人契約のどちらが高い、安いとは言えません。

法人向け自動車保険を選ぶには、以下のポイントを確認しましょう。

  • フリート契約に対応しているか(契約台数が10台以上の場合)
  • 必要な補償や特約があるか
  • 加入方法(代理店型とダイレクト型)を選択する

法人向け自動車保険は、企業規模や事業内容によって求められる補償や重視するポイントが異なります。
そのため、まずは法人向け自動車保険について知ることが重要です。そのうえで複数の保険会社に見積もりを依頼して、それぞれの内容を比較検討し、納得のいくプランを選びましょう。
適切なプランを選ぶことで保険料を抑えつつ、企業のリスクに備えられます。

投稿者プロフィール

佐藤まめか
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