「会社で使用している社用車とその自動車保険は経費にできる?」
「事業用社用車や自動車保険は、経費処理の際にどのような仕分けや勘定科目になるのか知りたい」
自動車を事業用に使用している会社は多く、セットで任意保険である自動車保険に加入していることが多いでしょう。
事業用の自動車や自動車保険は会計処理を適切に行うことで「経費」にできます。そこで、本記事では社用車やその自動車保険の経費処理について、仕分けや勘定科目を中心に詳しく解説します。
この記事のまとめ
1社用車や保険料は経費にできる。
2車は減価償却、任意保険は期間按分に注意。
3帳簿の管理のために同じ勘定科目で継続処理を行う。
4自動車保険料は非課税でインボイス不要。
5領収書などは経費処理の関連証拠として適切に書類を残す。
社用車や自動車保険は経費処理できる
会社が業務で使用する社用車(公用車)の購入費用や、維持にかかる各種自動車保険料は、原則としてすべて経費(損金)として処理が可能です。
ただし、支払った全額をその年の経費にできるとは限りません。適切な会計処理を行う必要があります。本章では、それぞれの勘定科目と具体的な仕訳例を解説します。
社用車の仕分けと勘定科目
社用車を購入した場合、経費処理をすることが可能です。事業に使用する目的で、車両名義人も法人名義であれば問題なく計上できます。
個人名で購入したものを経費処理する場合は、法人への売却をして名義変更を行うか、個人から借りていることがわかる「賃貸処理」などの処理が必要です。
社用車を購入した場合、購入費用は原則として一括経費計上できず、「車両運搬具」として資産計上したうえで、法定耐用年数に基づく減価償却を行う必要があります。
ただし、取得価額が30万円未満の車両については、青色申告を行っている中小企業者等であれば、少額減価償却資産の特例を活用することで、取得した年度に全額を経費として計上することが可能です。
社用車の調達方法は購入だけでなく、レンタルやリースという選択肢もあります。
- 短期のレンタルであれば車両賃借料として全額をその期の経費に算入できます。
- リース契約の場合は、契約形態によって会計処理が異なります。
オペレーティングリース(一般的なカーリース)は、リース料を毎月全額経費として計上できる上、資産計上が不要なため管理がシンプルです。
ファイナンスリースは実質的に購入と同等とみなされ、資産計上のうえで減価償却を行う処理が必要となります。
社有車はどの取得方法を選ぶ場合でも、業務との関連性が経費認定の大前提となります。特に高級車については、税務調査で業務利用の実態が厳しく審査される傾向があります。ただし、事業上の必要性(営業活動、役員送迎など)を合理的に説明できれば経費として認められますので、事前に税理士へ相談することがおすすめです。
走行記録や業務日誌などの証拠書類を整備し、経費計上に備えておくことが望ましいでしょう。計上できる金額に法的な上限は定められていませんが、業務実態に見合った適切な処理が求められます。
自賠責保険の仕分けと勘定科目
車両を事業で使用するためには強制保険である「自賠責保険」に加入する必要があります。自賠責保険ももちろん、経費処理を行うことが可能です。
自賠責保険は「損害保険料」もしくは「車両費」の勘定科目にて処理を行います。次に紹介する自動車保険と自賠責保険は加入のタイミングや保険料が異なるため、処理時に注意しましょう。
自賠責保険は1年を超える期間で加入することが多い傾向があります。本来1年を超える前払費用は資産計上して期間按分が必要ですが、自賠責保険は強制保険であるため、支払った年度に全額経費計上が可能です。
自動車保険の仕分けと勘定科目
任意保険である自動車保険も経費処理が可能です。自動車保険料を経費として計上する場合も、一般的には「損害保険料」の勘定科目を使用します。
会社によっては「保険料」や「支払保険料」の名目である場合も考えられるほか、車両費としてまとめることも可能です。
自賠責保険や自動車保険は「損害保険料」としての勘定科目が充てられることが多いですが、満期保険金のない損害保険の保険料に用いるものとして覚えておきましょう。
1年を超える前払費用は期間按分が必要で、当期対応分のみ損金算入できます。
自動車保険がフリート契約の場合の注意点
複数台の社用車を保有する会社では、「フリート契約」を利用するケースがあります。
フリート契約とは、10台以上の車両を所有した場合に自動的に移行する自動車保険の契約方式です。フリート契約は10台を超えると強制的に移行します。一般契約より保険料が割安になることが多く、車両管理の効率化にもつながります。
会計処理自体は通常の自動車保険と大きく変わりませんが、以下の点には注意が必要です。
事故歴による等級管理が車両全体に影響するため事故発生時の保険料増額リスクも考慮しておきましょう。
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社用車関連でその他に経費処理できるもの
社用車を維持・運用する場合、車両の購入費用や自賠責保険などの損害保険以外にも経費にできる費用は数多くあります。
社用車にまつわるものは「事業に関わる移動」のために支出したものであれば、法人の場合は全額、個人事業主の場合は事業供用割合(仕事で使っている割合のこと)に応じて経費処理が可能です。詳しくは本章で解説します。
ガソリン代や修理代など
社用車の運用やメンテナンスにかかる費用は、以下のような勘定科目で仕訳を行えます。勘定科目は税務処理をスムーズに進めるためにも、継続的に同じ勘定科目を選ぶことがおすすめです。
| 発生する費用 | 主なの勘定科目 | 具体例 |
|---|---|---|
| ガソリン代・軽油代 | 車両費 燃料費 | 給油時のレシートや、ガソリンカードの利用明細を根拠とします。 |
| 修理代・オイル交換・洗車代 | 車両費 修繕費 | 故障の修理、定期的な消耗品交換など。車の維持にかかる費用です。 |
| 車検費用 | 車両費 支払手数料など | 車検は内訳ごとに科目を変える必要があります。 ・整備料や代車費用:車両費(修繕費) ・自賠責保険料:保険料(損害保険料) ・重量税や印紙代:租税公課 ・業者への手数料:支払手数料 |
| 駐車場代(月極・コインパーキング) | 地代家賃(月極) や旅費交通費(一時利用) | 本社や営業所の月極駐車場は地代家賃、出張先や訪問先で使ったコインパーキング代は旅費交通費(または車両費)で処理します。 |
| 高速道路代・有料道路代 | 旅費交通費 | ETCの利用明細や領収書を残しておきます。ETCカードを仕事とプライベートで共有している場合は、明細上で仕事分を明確に区別します。 |
車両にまつわる税金はどうする?
社用車を所有していると毎年発生する自動車税などの税金についても支払いが発生します。こうした税金は「租税公課」として経費処理が可能です。
自動車税(軽自動車税)だけではなく、自動車重量税や、印紙代、車両取得時の環境性能割や消費税も計上できます。取得時の環境性能割は車両運搬具の取得価額内に含むことも可能です。
経費処理に迷ったらどうする?
経費処理の判断に迷ったときは、以下の3つのステップで確認を進めましょう。
税務調査で最も重視されるのは「その支出が売上を作るために本当に必要だったか」という点です。「○月○日の○○社への訪問に使用した」など、業務とのつながりを領収書の裏メモや運行記録簿(タコグラフや運転日報)で客観的に証明できるようにしておきましょう。
決算前や仕訳の段階で科目判断がつかない場合は、一旦「仮払金」などの流動資産科目で処理しておき、あとから適切な科目に振り替えます。そのまま放置せず、顧問税理士などの専門家に早めに確認しましょう。
経費処理の基本は証拠を残すことです。特にコインパーキングの領収書やガソリンのレシートは感熱紙が多く文字が消えやすいため、保管方法に注意しましょう。私的利用を疑われないためにも、誰と会うための移動だったのか、レシートの余白などに「○○への出張時」と簡単に手書きしておくだけで、後々の計上もスムーズになります。
知っておきたい所得控除上の注意点
個人事業主の所得税や住民税を計算する際、一定の要件を満たす支出がある場合に所得から差し引くことができる「所得控除」という仕組みがあります。
税負担を軽くするための重要な制度ですが、すべての支出が対象になるわけではありません。
特に「自動車保険料」に関しては、対象になるものとならないものの線引きがあるため、事前の正しい理解が必要です。
自動車保険料は所得控除の対象外
強制保険である「自賠責保険)」と任意で加入する「自動車保険(任意保険)」ともに、個人の所得控除の対象にはなりません。
過去には「損害保険料控除」という制度があり、自動車保険や火災保険の保険料も一部控除の対象となっていましたが税制改正に伴い廃止されています。
そのため、現在は確定申告や年末調整で自動車保険料を申請しても、個人の所得控除を受けることはできません。
・個人事業主の「経費」として計上する
個人の所得控除にはなりませんが、個人事業主が「仕事(事業)」で使っている車であれば、自動車保険料は所得控除ではなく「必要経費(損害保険料など)」として処理できます。プライベートと兼用している場合は、仕事で使う割合に応じて「家事按分」を行います。
自動車保険を経費処理する際のポイント
自動車保険は強制保険である自賠責保険とは異なり、あくまでも任意で加入する保険です。しかし、社用車として走行する以上は、交通事故によるトラブルに加害・被害の両面に対応できる自動車保険には加入しておくことが大切です。
そこで、本章では大切な自動車保険を経費処理する際のポイントをわかりやすく解説します。
インボイスは不要
自動車保険料は法律上、消費税の課税対象外(非課税)であるため、インボイス(適格請求書)として認められる領収証は発行されていません。自動車共済も同様です。
ただし、修理費用や部品代など車両本体に発生するものは消費税の対象となるため、しっかりわけて考える必要があります。
また、自動車保険は等級や免許証の色、車種などさまざまな条件によって保険料が変動しており、毎年同じではありません。「毎年同じ掛け金だろう」と判断せず、大切に金額を計上しましょう。
適切に自動車保険にまつわる資料を保管しよう
インボイスの要件は満たさなくとも、保険証券や領収書、保険料の振込明細は経費の証明として保管しましょう。
特に保険証券は事故時に確認する証券番号や加入内容などが記載されているため、適切に社用車へ備え付けておくなど、運転している方がすぐに契約内容を確認できるようにしておくことがおすすめです。
まとめ
社用車や自動車保険は、業務で使用するものであれば適切に経費処理(損金算入)が可能です。購入時の「車両運搬具」は減価償却を行い、自賠責保険や自動車保険料は「損害保険料」などの勘定科目を用いて正しく仕訳を行います。
特に自動車保険(任意保険)は、1年を超える長期契約の場合に期間按分が必要となる点や、消費税が非課税のためインボイス(適格請求書)の保存が不要である点など、実務上のポイントを押さえておくことが大切です。
日々のガソリン代や修繕費、税金なども含め、経費計上の際は「事業との関連性」を客観的に説明できるよう、運行記録や領収書などの証拠書類を確実に保管・管理しておきましょう。
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社用車に関するよくあるご質問
投稿者プロフィール
- 経歴:大手損害保険会社に勤務後、弁護士事務所で秘書として交通事故訴訟の調査に従事
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