「来月だけ車に乗るので、自動車保険も1ヶ月だけ契約したい」
「レンタカーではなく知人の車を1ヶ月ほど借りるので、その間だけ保険をかけたい」
——そんなふうに考えて検索している方も多いはずです。結論からいうと、通常の自動車保険を1ヶ月単位で契約することは、多くの保険会社でできません。
ただし、目的に応じた代替手段はいくつか用意されています。
この記事では、なぜ1ヶ月契約が難しいのかという理由から、代わりに使える保険の種類、そして今すでに加入している保険を短期で解約する場合の注意点まで、順を追って解説します。
この記事のポイント
1通常の自動車保険は1年契約が基本で、1ヶ月単位の契約プランを用意している保険会社は一般的ではありません。
2「1日だけ乗る」なら1日自動車保険、「他人の車を日常的に運転する」ならドライバー保険というように、目的によって選ぶべき代替手段が異なります。
31日自動車保険は自分名義(または配偶者名義)の車には契約できないケースが多く、対象は原則として借用車です。
4契約中の自動車保険を1年より前に解約すると、短期率に応じて保険料の一部しか戻ってこない場合があります。
5等級を維持したまま契約を中断したい場合は、「中断証明書」の発行条件(等級・申請期限)を事前に確認しておく必要があります。
自動車保険は1ヶ月単位で契約できる?
自動車保険(任意保険)は、多くの保険会社で「1年契約」を基本の契約期間としています。これは保険料の算出方法や等級制度(ノンフリート等級別料率制度)が、1年単位の契約を前提に組み立てられているためです。等級は1年間の無事故・有事故の実績によって上下する仕組みなので、そもそも1ヶ月単位で更新するという発想と相性がよくありません。
このため、「1ヶ月だけ加入したい」という希望を伝えても、通常の自動車保険をそのまま1ヶ月契約に変更してくれる保険会社は基本的にないと考えておいた方が安全です。一部の保険会社では特約や短期契約プランとして数ヶ月単位の契約に対応している場合もありますが、一般的な商品ラインアップではなく、加入できるかどうかは保険会社ごとの個別対応になります。加入を検討する際は、最終的に各保険会社の公式サイトや窓口で最新の取り扱いを確かめておきましょう。
1ヶ月だけ車を運転する必要がある場合は、通常の自動車保険を1ヶ月契約するのではなく、次に紹介する「1日自動車保険」や「ドライバー保険」といった、そもそも短期利用を前提に設計された商品を使うのが現実的な選択肢になります。
1ヶ月だけ車に乗りたい場合の代替手段
短期間だけ車を運転する事情は人によって異なり、それに応じて向いている保険も変わります。代表的な選択肢が「1日自動車保険」と「ドライバー保険」の2つです。
1日自動車保険とは
1日自動車保険は、必要な日だけ24時間単位(会社によっては12時間単位)で加入できる保険です。コンビニのマルチコピー機やスマートフォンから、出発直前でも申し込めるのが特徴です。
多くの1日自動車保険は、自分名義や配偶者名義の車には契約できず、家族や友人などから借りた車を運転する場合を対象としています。帰省中に実家の車を借りる、友人の車を少しだけ運転する、といったケースに向いています。1ヶ月分をまとめて契約できるわけではなく、あくまで「必要な日だけ」を積み重ねる形になるため、ほぼ毎日運転するなど利用頻度が高い場合は、1日単位の保険料が積み重なってかえって割高になることもあります。
ドライバー保険とは
ドライバー保険は、自分名義の車を持たない人が、家族や友人の車を日常的に借りて運転する場合に向いた保険です。1日自動車保険とは異なり、1年契約でまとまった期間を補償するタイプの商品で、車を持たないペーパードライバーや、実家の車を頻繁に運転する人などが加入しています。
「1ヶ月だけ」というピンポイントの短期利用にはあまり向きませんが、今後も車を持たないまま人の車を借りる機会が続きそうな場合は、1日自動車保険を都度契約するよりドライバー保険のほうが結果的に割安になることがあります。ドライバー保険の補償内容や加入時の注意点は、ドライバー保険がおすすめな人とは?でさらに詳しく解説しています。
1日自動車保険とドライバー保険の違い
どちらも「車を持っていない人」向けの保険ですが、想定している利用頻度が異なります。
| 項目 | 1日自動車保険 | ドライバー保険 |
|---|---|---|
| 契約期間 | 24時間・12時間などの短期単位 | 1年契約が基本 |
| 向いている人 | 年に数回、数日だけ他人の車を運転する人 | 車を持たず、日常的に他人の車を借りて運転する人 |
| 対象となる車 | 借用車が中心(本人・配偶者名義の車は対象外の場合が多い) | 借用車が中心 |
| 申込方法 | スマホ・コンビニ端末などですぐに契約可能 | 通常の保険と同様に事前契約 |
| 1ヶ月だけの利用への向き不向き | 日数分を積み重ねる必要があり、頻度が高いと割高になりやすい | 1年契約が基本のため、1ヶ月だけの利用にはやや不向き |
主な1日自動車保険の商品比較
1日自動車保険は複数の保険会社が販売しています。ここでは代表的な3商品を比較します。保険料や補償内容はプラン・契約条件によって変わるため、あくまで目安として捉え、契約前には各社公式サイトで最新情報を確かめることをおすすめします。
| 商品名 | 提供会社 | 保険料の目安 | 主な補償の特徴 | 申込方法 |
|---|---|---|---|---|
| ちょいのり保険 | 東京海上日動 | 24時間800円(シンプル)/1,800円(レギュラー)/2,600円(プレミアム) | 対人・対物賠償が中心。プランによって補償範囲が異なる | スマートフォン、コンビニのマルチコピー機など |
| 1DAY保険 | 三井住友海上 | 24時間800円(エコノミー)/1,000円(スタンダード)/2,500円(プレミアム)(初回利用時の料金。継続利用で割安になる場合あり) | 対人・対物賠償は全プラン無制限。車両補償はプレミアムのみ(300万円限度、自己負担15万円) | スマートフォン、セブン-イレブンのマルチコピー機、三井住友カード会員サイト |
| 乗るピタ! | 損保ジャパン | 12時間650円程度から(プランにより変動) | 対人・対物賠償は全プラン無制限。上位プランに人身傷害3,000万円、代車費用日額5,000円(30日限度)など | 出発前にスマートフォンから契約可能 |
いずれの商品も、勤務先や役員として所有・使用する車など「借用の正当な権利を持たない車」は対象外です。またレンタカーは通常レンタカー会社の保険でカバーされるため、これらの1日自動車保険の対象外となる点も共通しています。契約前に、自分が運転する車がそもそも補償対象になるかどうかを確認しておくと安心です。
シーン別の選び方
「1ヶ月だけ」といっても、実際の利用シーンによって最適な選択肢は変わってきます。
| シーン | 向いている選択肢 |
|---|---|
| レンタカーを借りて運転する | レンタカー会社が提供する保険・補償プランに加入するのが基本(レンタカー自体に保険が組み込まれていることが多い) |
| 帰省中に実家の車を数日〜1週間ほど借りる | 1日自動車保険(必要な日数分を契約) |
| 車検・修理中の代車を1ヶ月近く借りる | 代車を貸し出す整備工場側の任意保険で補償されるケースが多いため、まず整備工場に確認する |
| 免許を取ったばかりで、しばらく親や友人の車を借りて練習する | 利用頻度が低ければ1日自動車保険、頻度が高くなりそうならドライバー保険 |
| 今後も継続的に家族や友人の車を借りる予定がある | ドライバー保険(1年契約でまとめて補償) |
1年契約の自動車保険を途中で解約する場合の注意点
「新しく1ヶ月だけの保険を探す」のではなく、「今の1年契約を途中で解約したい」というケースもあるでしょう。この場合は、等級の引き継ぎと保険料の返金という2つのポイントを押さえておく必要があります。
等級を引き継ぐための中断証明書
車を手放す、譲渡する、車検切れのまま乗らなくなるなどの理由で自動車保険を解約する場合、「中断証明書」を発行してもらうことで、将来また車を持ったときに今の等級を引き継いで契約できます。中断証明書がないまま解約すると、次に契約するときの等級が下がってしまう(多くの場合6等級からの再スタートになる)ため、将来また車に乗る可能性が少しでもあるなら発行しておくことをおすすめします。
中断証明書の発行には、主に次のような条件があります(SOMPOダイレクト「おとなの自動車保険」公式サイトの記載を基に、他社も概ね同様の運用です)。
- 中断する契約の等級が7等級以上であること
- 解約日または満期日から一定期間内(SOMPOダイレクトの場合は13ヶ月以内)に発行を申し出ること
- 発行された中断証明書の有効期間は、中断日の翌日から10年間
申請期限や有効期間は保険会社によって多少異なる場合があるため、詳しい条件は契約先の保険会社に問い合わせて確認しておくと確実です。等級制度そのものの仕組みや、乗り換え・家族間での引き継ぎ条件については、自動車保険の等級とは?でまとめて解説しています。
短期率と解約返戻金
1年分の保険料をまとめて支払っている契約を年の途中で解約すると、残りの期間分の保険料の一部が「解約返戻金」として戻ってきます。ただし、単純に「残り月数÷12」で日割り計算されるわけではなく、「短期率(短期料率)」という保険会社独自の料率表に基づいて計算されるため、感覚よりも戻ってくる金額が少なくなる点に注意が必要です。
多くの保険会社では、次のような早見表に近い短期率を採用しています(三井ダイレクト損保公式FAQに掲載の早見表と、ソニー損保公式FAQの数値を突き合わせて確認したものです。実際の料率は保険会社・商品によって異なる場合があります)。
| 経過期間 | 短期率の目安 | 経過期間 | 短期率の目安 |
|---|---|---|---|
| 7日まで | 10% | 7ヶ月まで | 75% |
| 15日まで | 15% | 8ヶ月まで | 80% |
| 1ヶ月まで | 25% | 9ヶ月まで | 85% |
| 2ヶ月まで | 35% | 10ヶ月まで | 90% |
| 3ヶ月まで | 45% | 11ヶ月まで | 95% |
| 4ヶ月まで | 55% | 12ヶ月まで | 100% |
| 5ヶ月まで | 65% | ー | ー |
| 6ヶ月まで | 70% | ー | ー |
解約返戻金は「年間保険料×(1−経過期間に対応する短期率)」というかたちで計算されます。たとえば年間保険料が5万円の契約を、契約から2ヶ月〜3ヶ月の間に解約した場合、短期率45%が適用されると仮定すると「5万円×(1−45%)=27,500円」が目安になります。あくまで一例であり、実際の金額は契約内容や保険会社の料率によって変わりますので、実際にいくら戻るかは解約前に保険会社へ試算を依頼するのが確実です。また、保険料を月払いにしている場合は、そもそも解約返戻金が発生しない契約もあります。
まとめ
通常の自動車保険を1ヶ月単位で契約することは、基本的には難しいと考えておいたほうがよいでしょう。1ヶ月だけ車に乗る必要がある場合は、利用頻度に応じて1日自動車保険かドライバー保険を選ぶのが現実的な代替手段です。また、今の1年契約を途中で解約する場合は、等級を守るための中断証明書と、短期率によって目減りする解約返戻金の2点を事前に確認しておくと、あとで想定と違う結果になるのを防げます。
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1日だけの利用を検討している方は、1日自動車保険についてより詳しく解説した記事もあわせてご確認ください。





