自動車保険の比較・見積もり【自動車保険STATION】

自動車保険における対人賠償とは?

対人賠償責任保険は他人の死亡・後遺障害・ケガを補償する重要な自動車保険の基本補償です。
しかし、多くの人は補償範囲や必要性についてよく理解していません。

「対人賠償でどこまで補償してくれるの?」
「対人無制限って聞くけど、そんなに必要なの?」
このように思っている人も多いでしょう。

この記事では、対人賠償の必要性や補償範囲、事故で使った場合などをわかりやすく解説します。
対人賠償の知識があれば、自動車保険に加入するときに必要な補償を選べます。
適切な補償の自動車保険で自分の安全と他人への責任をしっかり守り、心地よいドライブを楽しみましょう。

この記事でわかること

  • 対人賠償保険は、他人の死亡・後遺障害・ケガを補償する保険
  • 自動車保険全体で99.6%が対物賠償保険を無制限にしている
  • 自分や家族は対人賠償保険では補償されない
  • 事故で対人賠償保険を使うと3等級ダウンする
  • 双方に過失がある場合、対人賠償保険金は過失割合に応じて支払われる

対人賠償保険とは

対人賠償責任保険について、以下のポイントで解説します。

  • 自動車保険における対人賠償とは
  • 対人における賠償保険とは
  • 対人賠償保険の必要性

対人賠償の基礎を知って、補償範囲や無制限にする必要性の理解に役立てましょう。

自動車保険における対人賠償とは

自動車保険における
対人賠償保険は、他人を死傷させた場合に発生する損害賠償責任を補償する保険
です。
たとえば運転している車で歩いている人とぶつかってケガをさせてしまった場合、相手の治療費などが対人賠償責任保険から支払われます。

参考サイト:損害保険料率算出機構 
2022年度版自動車保険の概況

対人における賠償責任とは

一般的に賠償責任とは、他人に与えた損害を金銭で賠償する責任を負うことです。

自動車の運行によって他人を死傷させた場合に負う賠償責任は対人賠償責任保険で補償
されます。
自動車事故で自分に賠償責任が発生した場合、相手から損害賠償を請求され、示談に向けた話し合いが必要です。
自動車保険には保険契約者に代わって保険会社が解決に向けた話し合いをしてくれる示談交渉サービスがついており、事故後の多方面とのやりとりをすべて保険会社に任せられます。
しかし、あなたに責任がないもらい事故で被害者になった場合は賠償責任が発生しないため、示談交渉サービスが使えません。
もらい事故の場合は自身で示談交渉をするか、弁護士に依頼する必要があります。示談サービスが使えない事故もあることを知っておきましょう。

対人賠償保険の必要性

自動車の保険には法律で加入を義務付けられている「自賠責保険」と任意で加入する「自動車保険」があります。

自賠責保険に入っていても補償が足りないため、任意で加入する自動車保険が必要
です。
「自賠責保険」も「自動車保険」も相手の死亡やケガを補償しますが、補償限度額に違いがあります。
「自賠責保険」の補償は必要最低限となっており、限度額は以下表のとおりです。

【自賠責保険の補償限度額】

補償内容補償限度額
死亡3,000万円
後遺障害75〜4,000万円
ケガ120万円

「自動車保険」は契約時に対人賠償で設定した保険金額を上限に、自賠責保険の支払限度額を超える分を補償します。
1回の事故で被害者が複数いる場合は、1名につきそれぞれ保険金額を限度として支払われます。

参考サイト:損害保険料率算出機構
 2022年度版自動車保険の概況

保険金額を無制限にしておけば、複数の被害者から高額な賠償請求額を要求されても保険で支払うことが可能です。
任意の自動車保険に入っていない場合は、自賠責保険から支払われる額を超えた分はすべて自己負担しなければいけません。
賠償請求額が高額になると経済的に大きな負担を強いられるため、自動車保険に入って必要な補償を準備しましょう。

オススメの記事

【自賠責保険】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
自動車の自賠責保険(共済)とは?任意保険との違いや特徴を解説

対人賠償保険は無制限にすべき?

「対人対物は無制限」とよく聞きますが、本当に無制限まで必要なのか、対人賠償保険の保険金額について以下の点で解説します。

  • 対人賠償保険を無制限にしているのはどれくらい?
  • 対人賠償保険を無制限にする必要性
  • 補償対象となる損害

対人賠償がなぜ高額になるのかがわかり、無制限の補償が必要とされる理由も理解できるでしょう。

どれくらいの人が対人賠償保険を無制限にしている?

自動車保険に加入している車のうち、対人賠償保険を無制限にしているのは99.6%です。多くの人が対人賠償保険の重要性を理解し、事故による高額な損害に備えていることがわかります。
ほとんどの保険会社では個人向けの自動車保険で、対人賠償保険の保険金額を無制限以外に変更できません。
対人無制限は基本補償として必要だと判断しているのでしょう。

【任意自動車保険対人賠償責任保険保険金額別契約構成表(2021年度)】

保険金額構成比
2,000万円まで0.2%
2,000万円超5,000万円まで0.1%
5,000万円超
1億円まで
0.1%
無制限99.6%

参考サイト:損害保険料率算出機構
 2022年度版自動車保険の概況

オススメの記事

【自動車保険(任意保険)】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
車の任意保険とは?加入するメリットや補償内容、利用例を解説

対人賠償保険を無制限にする必要性


対人賠償保険の保険金は無制限にする必要があります。

自動車事故によって相手を死傷させた場合、損害賠償請求が高額になる可能性があるからです。
実際に発生した高額賠償事例を見てみましょう。

【高額賠償判決例(人身事故)】

認定総損害額裁判所被害者性年齢被害者職業被害態様
5億2,853万円横浜地裁男41歳眼科開業医死亡
4億5,381万円札幌地裁男30歳公務員後遺障害
4億3,961万円鹿児島地裁女58歳専門学校教諭後遺障害

参考サイト:損害保険料率算出機構
自動車保険の概況 
上の例から、自動車事故による損害賠償請求額が大きいことがわかります。

対人賠償保険の保険金を無制限にしておかないと高額な請求に対応できません。

通勤や業務で自家用車を使用する場合、会社から対人と対人は無制限にするよう求められることがあります。無制限にしているか確認するため、自動車保険証券のコピー提出が義務付けられている会社もあるでしょう。
社会全体として対人保険は無制限が基本という考え方が定着しています。
事故での高額請求に備え、対人賠償には無制限の補償が必要です。

補償対象となる損害

対人賠償保険で賠償請求されるのは直接かかった費用だけでなく、逸失利益も入ります。
逸失利益とは事故にあわなければ得られたはずの利益や収入です。
治療にかかった費用など実際に支出した費用だけでなく、後遺障害による逸失利益や慰謝料なども賠償の対象となります。
人身事故の補償対象となる損害の例をあげました。

  • 治療費
  • 介護費用
  • 葬儀費用
  • 治療期間中の休業損害
  • 死亡または後遺障害による将来の逸失利益
  • 慰謝料

被害者の職業や年収、性別や年齢によって異なりますが、損害賠償額が高額になる要因のひとつは逸失利益の高額化です。
いつ事故にあうか予測できないうえ、どれくらい損害賠償が必要になるかもわかりません。相手への補償は無制限で備えておきましょう。

対人賠償保険の補償範囲

対人賠償保険で補償される範囲や人身傷害との補償の違いを解説します。
人身事故における対人賠償と人身傷害の役割を理解できれば、自動車保険の補償内容を適切に選べるでしょう。

対人賠償保険の補償範囲【家族・兄弟・同乗者の扱い】

対人賠償で補償されるのは他人のみで、自分や家族のケガは補償されません。
家族とは以下の範囲をさします。

  • 配偶者
  • 同居の親族
  • 別居の未婚の子

たとえば、以下のケースでは家族が損害を受けているため、対人賠償では補償対象外です。

1.自宅駐車場で夫が運転する車に妻がぶつかってケガをした
2.父親が運転する車で事故があり、同乗していた子どもがケガをした

上記2.の場合、対人賠償では補償対象外ですが、人身傷害で補償されます。
対人賠償では、同乗者のケガを補償するケースもあります。事故にあい、ケガをした
同乗者が運転者の兄弟だった場合は対人賠償の対象
です。
また、同乗者が友人だった場合も対人賠償の対象となります。

対人と人身傷害の補償の違い

対人賠償と人身傷害はどちらも人の死亡・後遺障害・ケガに対する補償ですが、補償の対象となる人に違いがあります。

対人賠償の補償対象は事故の相手(他人)
なのに対し、人身傷害の補償対象は自分・家族・他人を含める同乗者全員です。

【補償対象者の違い】

 対人賠償人身傷害
事故の相手(他人)×
同乗者(家族以外)
自分×
家族×

同乗者のケガなど、対人賠償も人身傷害も補償の対象となる場合は、対人賠償から優先的に支払われます。

補償対象外になる場合

対人賠償で補償対象外になる場合は次のとおりです。

1.故意による事故
2.戦争、内乱、暴動などの異常な事態による損害
3.自然災害(地震・噴火、津波、台風、洪水、高潮)による損害
4.競技や試験による損害
5.被保険者、被保険自動車を運転中の者、親族などによって生じた損害

参考サイト:日本損害保険協会
 損害保険Q&A

なお、対人賠償では被害者救済の観点から無免許運転や酒酔い運転などによる事故であっても保険金が支払われます。

事故で対人賠償保険を使う場合

事故により対人賠償保険を使う場合を「等級」と「過失割合」の2つの観点で解説します。
等級では保険を使うことによる等級の変動、過失割合では賠償責任の考え方が理解できます。実際に事故にあったとき、役に立つでしょう。

対人賠償を事故で使った場合の等級

事故により対人賠償から保険金が支払われると翌年の等級が3等級下がります。
事故の種類によって下がる等級は異なりますが、対人事故は3等級ダウン事故に該当します。
人身傷害は保険を使っても等級は下がりません。事故により人身傷害のみを使う場合、等級は下がりませんが、対人賠償と人身傷害の両方を使う場合は3等級ダウンします。
また、対物賠償や車両保険も同じく3等級ダウン事故ですが、1つの事故で対人・対物・車両のすべてを使っても下がる等級は3つです。
等級は事故件数でカウントするからです。
たとえば17等級の契約で事故にあって対人・対物・車両すべての保険金を使った場合、翌年は14等級になります。
同じ保険期間中に2度目の事故で対人を再度使った場合は、翌年11等級になります。
等級は事故件数でカウントすると理解しておきましょう。

オススメの記事

【等級】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
等級とは?自動車保険の基礎知識|等級ごとの割引率は?

過失割合

交通事故などで双方に過失がある場合、被害者の過失割合相当分を損害賠償額から差し引きます。
民法による公平負担の原則に基づき、過失割合を考慮して賠償額を定めるためです。

【具体的例】
車を運転していたAさんは赤信号で交差点に侵入し、バイクのBさんと衝突してしまいました。
バイクのBさんの信号も赤信号で、お互いにケガを負います。
事故の状況からAさんの過失割合は60%、Bさんの過失割合は40%になったとします。
Bさんの治療費は50万円でした。AさんはBさんの治療費50万円からBさんの過失割合40%分(50×40%=20万円)を差し引き、残りの60%分(50×60%=30万円)を賠償します。

一方、AさんはAさんの治療費の40%分の賠償をBさんから受けられます。
双方に責任がある事故の場合、加害者がすべての賠償責任を負担するのではなく、過失割合に応じて支払われることを知っておきましょう。

自分に過失がないもらい事故の場合は相手から100%の損害額が補償されます。
自身の保険を使わないため、等級の引き下げの心配もありません。
過失割合など、相手との主張が折り合わない場合は交通事故相談センターへ無料相談する方法もあるので活用してください。

まとめ

対人賠償保険は他人の死傷を補償する重要な保険です。この記事では以下について解説してきました。

  • 自賠責保険との違い
  • 対人賠償保険を無制限にする必要性
  • 対人賠償保険の補償範囲
  • 人身傷害との補償の違い
  • 事故で対人賠償保険を使う場合

対人賠償は高額請求になるケースが多いため、無制限で加入する必要があります。
自分や家族のケガは対人賠償で補償対象外になりますが、人身傷害では補償されます。
対人賠償と人身傷害でそれぞれ補償対象が異なることを理解し、必要な補償の自動車保険に入ってください。

対人賠償を無制限にすれば、相手への損害賠償だけでなく、事故による大きな経済的負担にも備えられます。
しっかり保険の内容と必要性を理解し、十分な補償の自動車保険に入りましょう。

お得なキャンペーン実施中!

特集記事

ダイレクト型自動車保険【引受保険会社】