自動車保険の比較・見積もり【自動車保険STATION】

自動車保険における対物賠償とは?

自動車保険の基本補償のひとつが対物賠償です。
対物賠償は、他人の車やモノに対する損害を補償する重要な保険ですが、多くの人は補償範囲や保険金額についてよく理解していません。

「対物賠償の補償内容がよくわからない」
「対物無制限って聞くけど、そんなに必要なの?」
このように思っている人も多いでしょう。

この記事では、対物賠償の補償範囲や保険金額の決め方、事故で使った場合などをわかりやすく解説します。

対物賠償の知識があれば、あなたにとって適切な補償内容を選べます。しっかりした補償の保険に加入して自身や他人の財産を守り、安心してドライブを楽しみましょう。

この記事でわかること

  • 対物賠償保険は、他人の車やモノを壊した場合に補償する保険
  • 自動車保険全体で96.2%が対物賠償保険を無制限にしている
  • 自分や家族の車やモノは対物賠償保険では補償されない
  • 事故で対物賠償保険を使うと3等級ダウンする
  • 双方に過失がある場合、対物賠償保険金は過失割合に応じて支払われる

対物賠償責任保険とは

対物賠償責任保険について、以下のポイントでわかりやすく解説します。

  • 自動車保険における対物賠償とは
  • 対物における賠償保険とは
  • 対物賠償保険の必要性

基礎を知って、補償範囲や保険金額の決め方の理解に役立てましょう。

自動車保険における対物賠償とは

自動車保険における対物賠償保険は、他人の車やモノを壊した場合に発生する損害賠償責任を補償する保険です。

たとえば車と車の衝突事故の場合、相手の車の修理費用が対物賠償責任保険から支払われます。
また、誤ってガードレールに衝突し、ガードレールを曲げてしまった場合、ガードレールの復旧費用が対物賠償責任保険から支払われます。

参考サイト:損害保険料率算出機構
2022年度版自動車保険の概況

対物における賠償責任とは

一般的に賠償責任とは、他人に与えた損害を金銭で賠償する責任を負うことです。
自動車の運行によって他人の車やモノを壊した場合に負う賠償責任は対物賠償責任保険で補償されます。

自動車事故で自分に賠償責任が発生した場合、相手から損害賠償を請求され、示談に向けた話し合いが必要です。

自動車保険には保険契約者に代わって保険会社が解決に向けた話し合いをしてくれる示談交渉サービスがついており、事故後の多方面とのやりとりをすべて保険会社に任せられます。

しかし、あなたに責任がないもらい事故で被害者になった場合は賠償責任が発生しないため、示談交渉サービスが使えません。

もらい事故の場合は自身で示談交渉をするか、弁護士に依頼する必要があります。示談サービスが使えない事故もあることを知っておきましょう。

対物賠償保険の必要性

法律で加入を義務付けられている自賠責保険では、他人の車やモノに対する補償がないため、自動車保険の対物賠償に入っておく必要があります。
自賠責保険は他人を死傷させた場合の人身事故にのみ補償される保険です。
例えば交通事故で以下の被害が発生したとします。

  • 相手がケガ
  • 相手の車が損傷
  • 道路沿いの家の塀が壊れた

自賠責保険で補償されるのは相手のケガだけです。
自動車保険の対物賠償に加入していなければ、相手の車と塀の修理費用はすべて自己負担となります。

事故はいつ誰の身に起こるかわかりません。いくらあなたが気をつけていても、他人の事故に巻き込まれる可能性もあります。

対物賠償で十分な補償金額を設定し、事故の際の大きな経済的負担を回避しましょう。

オススメの記事

【自賠責保険】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
自動車の自賠責保険(共済)とは?任意保険との違いや特徴を解説

対物賠償保険は無制限にすべき?

「対人対物は無制限」とよく聞きますが、本当に無制限まで必要なのか、対物賠償保険の保険金額の決め方を以下の点で解説します。

  • 対物賠償保険を無制限にしているのはどれくらい?
  • 対物賠償保険の保険金はいくらにしたらいいのか

根拠を理解したうえで納得のいく保険金額を決められるようになりましょう。

対物賠償保険を無制限にしているのはどれくらい?

自動車保険に加入している車のうち、対物賠償保険を無制限にしているのは96.2%です。多くの人が対物賠償保険の重要性を理解し、事故による高額な損害に備えていることがわかります。
保険会社によっては、対物賠償保険の保険金額を無制限以外に変更できません。
対物無制限は基本補償として必要だと判断しているのでしょう。

【任意自動車保険対物賠償責任保険保険金額別契約構成表(2021年度)】

保険金額構成比
500万円まで1.5%
500万円超1,000万円まで1.3%
1,000万円超2000万円まで0.5%
2,000万円超0.5%
無制限96.2%

参考サイト:損害保険料率算出機構
2022年度版自動車保険の概況

対物賠償保険の保険金はいくらにしたらいい?

対物賠償保険の保険金は無制限がおすすめです。
自動車事故によって相手の車や建物に損害を与えた場合、損害賠償請求額が高額になる可能性があるからです。

実際に発生した高額賠償事例を見てみましょう。
【高額賠償判決例(物損事故)】

認定総損害額裁判所判決年月日被害物件
2億6,135万円神戸地裁1994年7月19日積荷(呉服・洋服・毛皮)
1億3,450万円東京地裁1996年7月17日店舗(パチンコ店)
1億2,036万円福岡地裁1980年7月18日電車・線路・家屋

参考サイト:損害保険料率算出機構
自動車保険の概況

上の例から、自動車事故による損害賠償請求額が大きいことがわかります。
対物賠償保険の保険金を無制限にしておかないと多額の請求に対応できません。
事故での高額請求に備え、保険金額は無制限にしましょう。

対物賠償保険の保険料

自動車保険は保険金額を上げると保険料が高くなります。
対物賠償保険の保険金額による保険料への影響を実例で紹介します。保険金額を決めるヒントにしてください。

保険金額による保険料への影響

対物は保険金額による保険料への影響が小さいため、無制限と無制限以外とで保険料にあまり差が出ません。
対物賠償の保険金額を無制限にした場合と1,000万にした場合でいくら違うか計算してみました。

A社B社
無制限25,900円33,140円
1,000万円25,010円32,160円
差額890円980円

無制限と1,000万円の差額はA社890円、B社980円でした。
無制限と1,000万円では補償される金額が大きく違います。しかし、A社もB社も保険料の差は1,000円未満です。

保険料への影響を懸念して対物を無制限にしなくてもいいと思う人がいるかもしれません。
しかし、年間1,000円未満を負担すれば無制限の補償が得られます。
負担する保険料と得られる補償とのバランスを考慮すれば、無制限を選ぶ人が多いのも納得できます。

対物賠償の免責金額

対物賠償には免責金額を設定できるプランがあります。
免責金額とは契約者が自己負担する金額です。事故の際、支払われる保険金から免責金額が差し引かれます。

免責金額を設定すると保険料が安くなります。どのくらい安くなるのか計算してみましょう。

免責金額免責0との差額保険料
3万円▲1,280円
5万円▲2,090円
10万円▲3,810円

対物賠償で免責金額を設定すると、差し引かれた分の金額は契約者が負担します。
保険料は安くなるものの、契約者が事故後にすぐ免責分を支払わずトラブルになる事例もあるため、対物に免責を設定できるプランを用意している保険会社は少ないのが現状です。
対物補償は相手への補償のため、できる限りスムーズに支払えるように用意したいですね。
負担できる保険料と得られる補償とのバランスをよく考えて免責金額を決めましょう。

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【免責金額】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
車両保険の免責金額とは?自己負担額はいくらにしたらよいか

対物賠償保険の補償範囲

対物賠償保険で補償される範囲や損害を詳しく解説します。
補償される損害を知ると対物賠償がなぜ高額になるのかがわかります。多くの人が無制限にしている理由も理解できるでしょう。

自分や家族のモノは補償される?

対物賠償で補償されるのは他人の財物のみで、自分や家族のモノは補償されません。
家族とは以下の範囲をさします。

  • 配偶者
  • 同居の親族
  • 別居の未婚の子

たとえば、以下のケースでは自分や家族のモノが損害を受けているため、対物賠償では補償対象外です。

  • 自宅の駐車場で妻が夫の車にぶつけた
  • 車庫入れの際にガレージのシャッターを壊した

事故で壊れた自分の車の修理費用も対物賠償保険では補償されず、車両保険で補償されます。

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【車両保険】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
車両保険いつまでつける?外す際の注意点と保険料を下げる方法

補償対象となる損害

対物賠償保険では他人の車やモノが補償の対象です。賠償される損害は「直接損害」と「間接損害」に分けられます。
「直接損害」とは事故の際に直接生じた損害です。相手の車やガードレール、店舗や家屋などが該当します。
「間接損害」とは直接損害によって失った利益をさします。
タクシーやバスなどの営業車両にぶつけた場合は、事故によって休んでいる間の休業損害費用が間接損害に該当します。
コンビニなどの店舗に突っ込んだ場合は、休業中の休業損害費用が間接損害として補償対象です。
対物賠償では間接損害によって賠償請求額が高額になるケースも多く見られます。

補償対象外になる場合

対物賠償で補償対象外になる場合は次のとおりです。

  • 故意による事故
  • 戦争、内乱、暴動などの異常な事態による損害
  • 自然災害(地震・噴火、津波、台風、洪水、高潮)による損害
  • 競技や試験による損害
  • 被保険者、被保険自動車を運転中の者、親族などによって生じた損害

参考サイト:日本損害保険協会
損害保険Q&A

なお、対物賠償では被害者救済の観点から無免許運転、酒酔い運転などによる事故であっても保険金が支払われます。

事故で対物賠償保険を使う場合

事故により対物賠償保険を使う場合を「等級」と「過失割合」の2つの観点で解説します。

「等級」では保険を使うことによる等級の変動、「過失割合」では賠償責任の考え方が理解できます。実際に事故にあったとき、役に立つでしょう。

対物賠償を事故で使った場合の等級

事故により対物賠償から保険金が支払われると翌年の等級が3等級下がります。
事故の種類によって下がる等級は異なりますが、
対物事故は3等級ダウン事故に該当
します。
対人賠償や車両保険も同じく3等級ダウン事故ですが、1つの事故で対物・対人・車両のすべてを使っても下がる等級は3つです。
等級は事故件数でカウントするからです。

たとえば17等級の契約で事故にあって対物・対人・車両すべての保険金を使った場合、翌年は14等級になります。
同じ保険期間中に2度目の事故で対物を再度使った場合は、翌年11等級になります。
等級のカウントは事故件数ですると理解しておきましょう。

オススメの記事

【等級】について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
等級とは?自動車保険の基礎知識|等級ごとの割引率は?

過失割合

交通事故などで双方に過失がある場合、被害者の過失割合相当分を損害賠償額から差し引きます。
民法による公平負担の原則に基づき、過失割合を考慮して損害賠償の額を定めるとされているからです。

たとえば、車同士の事故でAさんの過失割合は60%、Bさんの過失割合は40%だったとしましょう。
Bさんの車の修理代は50万円でした。AさんはBさんの車の修理代50万円からBさんの過失割合40%分(50×40%=20万円)を差し引いて60%分(50×60%=30万円)を賠償します。
一方、AさんはAさんの損害額の40%分の賠償をBさんから受けられます。
双方に責任がある事故の場合、加害者がすべての賠償責任を負担するのではなく、過失割合に応じて支払われることを知っておきましょう。

しかし、自分に過失割合が発生しないもらい事故であれば相手から100%損害額が補償されます。自分の保険は使わないため等級も下がりません。

よくあるトラブルと解決策

交通事故では事故後にトラブルになり、解決まで時間がかかるケースがみられます。
トラブルの要因はさまざまですが、よくあるケースと解決策を紹介します。
未然に防げるトラブルもあるので知っておきましょう。

過失割合のトラブル

対物賠償では示談で決まった過失割合に納得がいかず、トラブルになるケースがよくあります。

たとえば、保険会社へ事故報告をする前に過失割合を口約束してしまい、最終的に判断された過失割合と違っていた場合はトラブルになりやすいです。
交通事故の多くは双方に責任が発生します。責任割合の決定には一定の基準があり、過去の判決事例を基に決められています。
口約束したとおりの過失割合にならないこともあるため、過失割合は事故対応のプロである保険会社に任せ、自己判断はしないように注意しましょう。

過失割合など、相手との主張が折り合わない場合は交通事故相談センターへ無料相談する方法もあるので活用してください。

対物全損時修理差額費用特約

対物賠償では相手の車の修理費用は時価額で支払われます。

時価額とは事故発生時の車の価値をさし、新車で購入した金額から経年や使用による消耗分を差し引いて算出されます。
相手の車が古い場合など、修理費用が車の時価額を上回ってしまい、対物賠償では十分に補償できずトラブルになるケースがあります。
対物賠償だけでは足りないときのために多くの保険会社で用意しているのが対物全損時修理差額費用特約(対物差額修理費用特約)です。

対物全損時修理差額費用特約では時価額と修理費用の差を一定額(多くは50万円)まで補償します。
たとえば、時価額が100万円の車で修理費用に150万円かかったとします。
修理費用のうち50万円は対物賠償では補償されません。
しかし、対物全損時修理差額費用特約をつけていれば差額の50万円を補償してもらえます。

参考サイト:損害保険料率算出機構
自動車保険の概況

対物全損時修理差額費用特約は、自動セットされているプランがあるほど必要性の高い特約です。トラブル防止のために対物全損時修理差額費用特約をつけておくことをおすすめします。

まとめ

対物賠償保険は他人の車やモノに対する損害を補償する重要な保険です。この記事では以下について解説してきました。

  • 対物賠償保険の必要性
  • 保険金額の決め方と保険料への影響
  • 対物賠償保険で補償される範囲
  • 事故で対物賠償保険を使う場合
  • よくあるトラブルと解決方法

対物賠償は高額請求になるケースが多いため、無制限で加入する人がほとんどです。対物は無制限と無制限以外とで保険料にあまり差が出ないため、多くの人が無制限にしています。
対物賠償では自分や家族のモノは補償対象外となるため注意してください。

対物賠償は相手を補償するためだけでなく、示談交渉を円滑に進め、経済的な負担を最小限にするために必要不可欠な保険です。
しっかり保険の内容を理解したうえで、万が一の事故に備え、十分な補償の自動車保険に加入しましょう。

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